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心の病気と前頭前野(3) [2011年10月08日(Sat)]

心の病気と前頭前野(3)
 =プランニング

 前頭前野の機能の一つは、プランニングである。 何かの仕事をするとか、料理を作るとか、旅行に行くとか、何かをするのに、どういうものが必要か準備するもの、作業するもの、順序を計画します。一々の瞬間に他者からの指図ではなくて、自分 で考えて、実行していきます。プロジェクトのリーダーにも、プランニングの能力が必須であるので、前頭前野が衰えると、指導的な地位での仕事は無理になります。過労によっても前頭前野は機能低下するので、自主的な仕事ができなくなります。
 前頭前野に障害があると、このプランニングが不適切になります。ワーキングメモリ(作業記憶 )とも関係しています。
 「前頭連合野損傷患者が不適切なプランニングをするのは、「必要な情報をアクティブに保持す る」というワーキングメモリー機能の障害に加えて、順序づけ、注意、行動抑制、文脈に基づいた 情報の処理、というような前頭連合野の多様な機能の障害によって生じると考えられる。」(221P)
 うつ病患者は、 脳血管系の疾患や外科的な外傷によらずに、前頭前野の機能が低下しています。容積が縮小してい るという報告もあります。
 前頭前野の変調が重いうつ病の患者は、これが回復するまでは、企画の仕事、自主的な仕事は難 しくなります。重い時には、買い物や料理もできなくなります。
 うつ病の治療には、前頭前野の現状回復が大切なことが理解されます。 そういう治療やリハビリ訓練が有効であることになります。自己洞察瞑想療法においては、 「完治」を目標として、改善に必要な課題を教示して、自分で計画を立てて、実行してもらいます。 この独自の改善計画の作成と実行がよくできる人は、回復が早いでしょう。これだけでは治療効果は測定できな いので、呼吸法(自己洞察法)の時間で効果を測定しています。毎日に、いつ、何分実行するかとい うことも各患者さんのプランニングです。合計して、30分以上、行う人は改善が顕著です。 他のカウンセリングや健康法の課題があるため呼吸法の時間がないとか、仕事があるとか、症状が つらいとかで、呼吸法の時間の短い人は改善しません。これが、これまでの臨床経験の現実です。 種々の本音によって改善する理由の理解不足により、プランニングへの反映ができないのでしょう 。そういう人には、指導の回数を増やすとか、家族の協力を求めると効果がありそうです。

 前頭前野は、重要な役割をもっているので、中学生ころから前頭前野が活性化する自己洞察法のトレーニングをとりいれると、心の病気や非行犯罪を減少させる効果があるに違いありません。 他の心理療法は、予防的には行いにくいでしょうが、マインドフルネス心理療法は、予防的にトレーニングできる点が特徴的です。

注)(P)は「認識と行動の脳科学」東京大学出版会

(続く)
Posted by MF総研/大田 at 18:29 | 新しい心理療法 | この記事のURL