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PTSD/選択的注意の障害の予防の視点 [2011年04月16日(Sat)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (17)PTSD(心的外傷後ストレス障害)を予防法(4)
 =選択的注意の障害の予防の視点

PTSDの発症を予防できるのか(4)
 予防法=呼吸法と自己洞察法

 PTSDの予防法として、前述の呼吸法や自己洞察法を推奨するのは、その方法を徹 底的にトレーニングすることが治療の局面で行うためである。
 そうした方法が効果がある理由のいくつかを見ておく。
 PTSDの患者には、前頭前野の選択的注意の障害があると推測されている。 前頭前野は選択的注意にも関わりがある。外傷体験、恐怖に関わる言葉、 刺激に注意をひきつけられて課題を実行するのが遅れることが観察されている。
 「PTSDの患者においては情動を喚起する語の再生の頻度が高い」とか、 「こうした注意のバイアスが前頭前野の機能に関わる選択的注意の障害を背景とし て現われている可能性が推測される。」(西川,2008,206頁)
 PTSDの患者は、外傷体験に関連した刺激や類似した刺激にことさら注意をひきつ けられる特徴が生じている。選択的注意の障害がある。
 「@外傷体験に関連した刺激による注意のバイアスは、一方でその刺激の記憶を 強化し、もう一方で情報の処理資源を占有することにより認知の処理に妨害的に干 渉する。
Aこの作用は検査場面での短い時間スケールにおいても、生活上の長い時間のスケ ールにおいても患者の認知活動に影響を及ぼし、次第に患者の認知全体を否定的な ものに歪めて」しまう。
Bこの注意のバイアスは、おそらく前頭前野の機能に関わる選択的注意の障害を基 礎とするものである。」(西川,2008,208頁)

 こうした外傷体験に類似した体験は、たとえば、余震や、大きな音、自動車の地 響きなどに過剰に反応してしまうこともある。 不安、驚愕反応をくりかえしたり、嫌悪、予期不安の思考を繰り返すと、不安過敏 性が強まり、ささいないことでも、注意がひきつけられて仕事、勉強や会話が妨害 されてしまう。
 前述の記事で、余震などがあった直後や、数時間後などの心得について述べた。 類似の体験があっても、不安の感情や情動性自律反応に過度に反応せずに、 呼吸法を行いながら、そのような私的事象を観察してしずまっていくことを了解す ることや、また、刺激が起きても呼吸に注意を向け続ける訓練をして注意のバイア スが形成されることを予防すること、また、余震などを嫌悪する思考や予期不安の 思考に気づいて、少なくすることを実践するのである。こういうことが実践できれ ば、選択的注意の障害が重症化することを予防できるはずである。
 PTSDは、震災や事故などで、不安過敏な心になっていて、長期間そういう状況が続いて、何年か後に、少し大きな出来事にあったり、勉強や仕事を熱心にやった時に、PTSDやパニックが発症することもある。それも治りにくいので、自殺の遠い原因となる。不安過敏になっている人は。予防的にやって、不安過敏な心を解消しておいたほうがいい。
 フラッシュバックや悪夢や回避の症状が頻発する前に、予防的に、呼吸法、自己洞察法を実行されんことを希望する。治療場面では、私どもも、アメリカの心理療法者( ⇒新しいエクスポージャー法)も効果を確認しているのだから、予防にも効果があると思う。ひどくなった不安障害でさえも治るのであるから、前駆状態の不安過敏な心は、マインドフルネス心理療法を数度受け手、あとは自主的に継続すれば容易に回復できる。
    (注)
    (西川,2008)「PTSDと解離性障害にみる記憶と自己の多重性」西川隆(大阪府立大 学総合リハビリテーション学部)(「精神の脳科学」加藤忠史編、東京大学出版会 、2008)。
(続く)
  • <目次>災害時、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事
  • Posted by MF総研/大田 at 20:32 | 災害とストレス | この記事のURL