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PTSDの予防法(2) [2011年04月13日(Wed)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (16)PTSD(心的外傷後ストレス障害)を予防法(2)

 大災害の被災者の方は、その出来事が去ってから、心的外傷後ストレス障害 (PTSD)になる人がおられます。フラッシュバック、悪夢などの 再体験症状、回避症状、過覚醒などの症状に 苦しみます。
 こうした症状が現われる背景に、 前部帯状回(内側前頭前野)、海馬、前頭前野の体積の減少、交感神経の亢進があ るようです。
 PTSDを治すための治療法には、薬物療法や心理療法があります。 PTSDを発症(数か月後まで発症し、5年10年治らない人もいます)してからは、 治療法があります。薬物療法(SSRIなどの抗うつ薬)、認知行動療法、EMDR(眼球 運動による脱感作と再処理法)、マインドフルネス心理療法(第3世代の認知行動 療法)があります。
 PTSDの予防法はどうでしょうか。

PTSDの発症を予防できるのか(2)
 心理教育など

 PTSDの発生を予防する方法として、(1)ディブリーフィングと(2)ローカルゲート キーパーの確保が提案されている。

(1)ディブリーフィング

 「ディブリーフィングとは、災害を体験した人の心理状態や行動にどのような変 化が起きても当たり前かを説明し、そうした変化を軽減する、できれば予防するた めの災害後の生活上の留意点やストレス対処法を具体的に説明する手法である。ス トレスによる心身変化に関する情報提供を受け、自分の体験を語り合うことを通し て、人生の危機に遭遇した個人が自分の置かれた状況の意味を自分自身で把握し、 ストレスと上手につきあっていく方法等を学ぶことを目的としている。」 (林,1996,198頁)  直接説明する方法と印刷物を配布する方法とがある。

(2)ローカルゲートキーパーの確保

 ローカルゲートキーパーは、心のケアが必要である地域の人を、専門的な治療の できる精神科医や専門的なカウンセリングのできる臨床心理士、社会福祉士につな ぐ 役割を持つ人である。

 「心の傷のケアのために動員できる専門家の絶対数も不足しており、同時にそう した体制に対する被災者の心理的抵抗も予想されるため、専門家だけによるケアは 実行不可能である。」

 「最も核となるのは、心的外傷後ストレスによる悩みを持つ人との人間関係を維 持しつつその人のストレスの状態を継続的に見守り続け、重大な問題があれば専門 家との間の連絡役を果たせる地域リーダーの存在である。こうした役割を担う人を ローカルゲートキーパーと名付ける。」(林,1996,199頁)
 地域リーダー、保健師、ヘルパー、各種協議会の方、学校の先生、産業医、カウ ンセラー、人事担当者などが期待されている。
 今回も報道によれば、保健師を中心として、こうした人たちが活躍されている。 政府は子どもの心のケアのためにスクールカウンセラーなど13300人を派遣することを決めた。 こうした活動によって、PTSDの発症をある程度、予防できるだろう。 ただし、PTSDを発症した人は、前に述べたように、海馬、前頭前野、帯状回などが変調を起している。予防するということは、 発症前からあった脆弱性を、こうした予防活動によって、発症させない、変調が起きることをくいとめることになるから、相当手厚いケアが必要だろう。訓練されたローカルゲートキーパーの人員が多い地区はできるだろうが、そういう人が多くない地区では、PTSDが発症してしまうだろう。
 マインドフルネス心理療法による 予防法も書いておきます(次回)。
 あとは、こうした活動でも間に合わずに、発症してしまった人の治療体制である。

(注)
(林,1996)林春男「災害による「心の傷」を癒す支援体制の確立」(現代のエスプ リ別冊)至文堂,1996。


(続く)
  • <目次>災害時、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事
  • Posted by MF総研/大田 at 18:06 | 災害とストレス | この記事のURL