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 (12)うつ病の予防法・要約 [2011年04月05日(Tue)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (12)うつ病の予防法・要約

 被災者の方の、うつ病を予防する心得を述べました。要約します。
  • (1)毎日、2,30分くらいは呼吸法を行いながら、以下のような心の観察、意志作 用の活性化を行うことが望まれます。 はく息を吸うよりも2,3倍長くします。 そして、こうした心の洞察は、生活の中で、10秒でも30秒でも、毎日、20−30回でも行います。行動時自己洞察といいます。 (⇒ ゆっくり呼吸法)
  • (2)うつ病は、つらい思考を繰り返すことによって起きるからです。つらい内容の思 考をすると、扁桃体(感情を起す脳)が興奮して、交感神経、HPA系(視床下部 ー下垂体ー副腎皮質)の興奮でストレスホルモン過剰分泌されます。これによって 、うつ病の身体症状と精神症状が起きます。 (⇒ なぜうつ病になるか)
  • (3)呼吸法をしながら、心の動きを観察します。つらい内容について考えないで 、色々な意識があるのを観察します。対象と作用の違いを観察します。 (⇒ 作用と対象の観察)
  • (4)呼吸法をしながら種々の作用が起こるのを観察して、名前をつけられる ようになります。種々の作用を識別します。うつ病を予防する方針、方略を論理的 、神経生理学的に理解するためです。呼吸法をしていると、思考だけに占領されず に、心の動きを観察することができます。種々の作用を観察するのは「意志作用」 の一部です。思考ではありません。思考をめぐらさずに、心の動きを観察します。その意志作用を活性化させるトレーニングを毎日、時々刻々続けます。 (⇒ 種々の作用を識別)
  • (5)うつ病の予防の方針を理解して、呼吸法をします。 目的をもって行動する、これも意志作用です。自分の心の動きを観察して、 心の病気にならないような心の使い方をして、建設的な行動する、つまり、意志的 行動をするのがうつ病の予防になります。つらいことが多いですが、受容します。  受容せずにつらい思考を長くするとうつ病になります。失ったこと、未来、身体の不調を嘆く、あまりに長い悲しみ 、後悔する、自分を責める・批判する、家族を責める・批判する(批判される人が うつ病になります、家族の崩壊が起こります)、避難所で起きる人間関係で悩む、 その日にあった出来事でつらいことを思い出して考え続けることなどです。
     こういうつらくなる思考は、長く続けないように できる心をもたないと、つらい思考の渦が続き、ストレスホルモンが分泌され続けて、 前頭前野、海馬などを傷つけて、うつ病になってしまいます。 (⇒ うつ病の予防の方針)
  • (6)つらいことが多いですが、その状況を受け入れていく心が「受容」ということで す。起きてしまったつらい状況は、もうくつがえりません。しかし、人はその中に 無限の可能性を見出して新しい環境、世界を作る行動(創造的行動、建設的行動)ができます。つらいですが、建設的な行動 (運動、身体を動かす、家族や他の人の手伝い、家族の中や避難所で役割行動など ) をすることが、うつになりにくい神経生理学的な反応になっています。 だから、受容の大切さを理解して、受容を実践します。 (⇒ 受容の実践)
  • (7)受容の心得を理解して、実際に日々の中で、つらいことを受容する実践をして、新しい環境を作る行動をします。受容し行動 する心のスキル向上は、呼吸法の中で練習して、 日常生活の行動中のすべての場面で、実際に応用して、使います。 (⇒ 受容の心のスキル向上の呼吸法)
  • (8)あまりに甚大な被害であるため苦痛が大きく、将来、未来が心配ですが、心配や嘆 きが大きいと、ストレス反応を起して、心身症や心の病気になるおそれがあります。国から支援があることを 信じてください。環境・世界は、大勢の人の動きによって時々刻々と変化しており、 自分が思いもしない形で支援される可能性があります。 大勢の人が見えないところで支援に動いていますので、やがて形 になって現われます。受容してできる行動をしたり、ひとりで悩まないで、近くの 人に話しをきいてもらうことも心が軽くなります。 宮沢賢治がこんなことを言いました。 「世界が全体幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」と。 皆様が幸福になれるように世界全体が動くのだと思います。ただ、自分が身体を動かさないと、うつになりにくい脳神経の領域が活性化しません。支援を信じつつ、自分でもうつになりにくい心の生活をこころがけて生きていきます。
  • (9)呼吸法による心の観察、受容、行動ということは意志作用です。思考作用ではあり ません。つらいことを思考する脳とは違う脳領域、背外側前頭前野を活性化します。ここは、 社会的な役割行動をするのに重要な役割を果たしています。ここが低下すると、う つ病や不安障害になります。 (⇒ 呼吸法による自己洞察が心の病気になりにくい理由)
  • (10)うつ病、非定型うつ病の予防法として、 呼吸法のほか、身体を動かす、役割行動をするのもいいことです。つらい思考をせ ずに、積極的行動をしているからです。 (⇒ こんなふうにしてうつ病の予防を)
  • (11) つらい感情の起こり方を理解していて、過去のことを思い出して思考の連鎖を長くしないこ とが予防になります。思い出して、つらい思考をすることがうつ病になるようなス トレス反応をもたらします。何か不快なことがその日に起きても、その出来事が終 った後に、思いだして長く思考することが多いとうつ病になりやすいです。 思い出すこと事体は止められませんが、その思い出したものに執着して考え続けるか、思い出しが出たのを観察して、思考に移らないことは、呼吸法の練習を続けることでできるようになります。思考しているのに気づいて、止める力も身についてきます。 今なすべきことは、つらい出来事を思いだして長く思考することか、それとも、 新しい生活にために小さなことでもすることか、考えつづけることの影響を理解し て、創造的行動に意識を向けることが心の病気にならないコツです。 (⇒ 思い出して起す思考・感情=3次)
 このようにして、呼吸法で心をよく洞察して練習して、日常生活の中で、つらい ことを受容して、できる行動をすることがうつ病を予防します。こういうことがで きない場合には、心のケアをしてくださる人に相談します。相談を求める行動を起すことも意志作用です。
 ここに書きましたのは、予防法です。重いうつ病になってしまったら、この予防法ではすみません。薬物療法や本格的 な認知療法、マインドフルネス心理療法による治療を受けるのがよろしいです。悪 化させるとよくありません。ぜひ、早めに治療を受けてください。

(続く)心的外傷後ストレス障害(PTSD)について述べます。
  • <目次>災害時、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事
  • Posted by MF総研/大田 at 23:48 | 災害とストレス | この記事のURL