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(11)思い出して起す思考・感情 [2011年04月04日(Mon)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (11)思い出して起す思考・感情

 被災者の方の、うつ病やPTSDを予防する心得を述べています。 つらい感情の起こり方を理解していて、思い出しによる思考の連鎖を長くしないこ とが予防になります。

1 一次的感情、二次的感情、三次的感情

 感情の連鎖を観察してみましょう。ある出来事で、感情が次々と起こることがあ ります。時間の経過で感情が繰り替えされていくことがあります。
 ある出来事で感情(1次)が起きた時、その相手の受け止め方が不満である場合 、さらに自分の感情が高まる(2次)ことがあります。さらに、その時には、おさ まっても、何時間かの後に、何かをきっかけとして、思い出して考えて、ネガティ ブな感情(3次)を起こします。
 2次的な感情の対応がうまくいかないと、対人関係を悪化させやすいです。3次 的な感情を繰り返すと、うつ病や不安障害の症状が悪化しやすいはずです。3次的 な感情を繰り返すと、つらさがひどくて、建設的な行動ができなかったり、心の病 気になるおそれがあります。
@1次的感情=見たり、聞いたり、感じたり、考えたりした途端に急に感情(怒り 、不安など)が起こります。誰かと会話している時に急に起きる感情や1人でいる 時に急に起きる感情です。
A2次的感情=一次的な感情に反応して、何かの行動(言葉を発したり、黙りこん だり、不機嫌な顔をしたりなど)をしたことによって、相手からさらに言葉(怒り 、批判などを帯びた)や行動が起きて、自分の感情がもっと強まるとか、別の感情 が起きる。しばらく口論になり、感情がかなり渦巻く。
B3次的感情=一次二次の出来事が終った後、1時間後、数時間後、翌日、3日後 、1カ月後、思い出して考える。すると、感情が起きる。



 いざこざ、口論、拒否、叱責、責められるなどの出来事で、他者から態度行動を 批判される例などです。その瞬間に、自分は非常に困惑した感情(とまどい、羞恥 、恐怖、怒り、など)を起こします。 これが1次的感情です。そこで納得できず、相手に反論します。ところが、相手は 謝らないとか怒った場合、自分は不満ですから、もっと感情(怒り、落ち込み、悲 しみなど)が起きます。これが2次的感情です。何かの行動をするかもしれません 。しばらく、気分が悪くなっています。
 その場を離れて、自分の居場所にもどって、1分後、1時間後、その出来事を思 い出して、怒り、落ち込み、後悔などの思考、感情を起こします。これが、3次的 感情です。3次的感情は、際限なく繰り返されることがあります。
 まさに、あの日に起きたこと、自分の行動を思い出して、後悔、自己嫌悪、自己批判、他者批判、他者増悪の思考をするのは、3次です。 思い出して、他者につらくあたるのは、2次です。そのことが終った後、このことを思い出して不快になれば、3次です。想起に引き続いて起す思考が3次です。この3次的感情が繰り返されると、うつ病になることがあります。震災前から、うつ病や不安障害であった人 が 3次的感情をしばしば起すと、うつ病や不安障害が悪化したり、別の心の病気になったりします。不安障害から非定型うつ病、パニック障害、PTSDへの例があります。 震災の被害にあった人には、あの当時の出来事と、避難所での思いどおりでない出 来事があるので、3次的な感情の心理的なケアをしないと、うつ病になるおそれがあ ります。

【洞察を深めるD】感情の連鎖を観察(1次2次3次)
 感情的になる場合、その先行刺激がどういう場合か、また、感情的になった場合 、自分はどんな反応パターンをとっているか分析して下さい。
 1次的な感情は、状況に的確に反応しており、生物としての存続をはかる基本的な 反応であり、正当性のあるものです。これだけでは、ストレス反応は短く、正当で あり、すぐ心の病気にはつながらないことが多いです。
 2次的感情は、評価解釈によって色づけられていて、1次的感情よりも激しい場 合が多いです。そして、学習的であり、その反応パターンは繰り返されやすくなり ます。怒りやすい、不安過敏である、拒絶過敏である、おちこみやすいなど、同じ ように繰り返す傾向があります。
 3次的感情は、過去の出来事を思いだした時、長く考えたり、将来の予測的な内 容を思考してネガティブな感情を繰り返すことによって起こるのですが、これも同 じような内容がくりかえされます。予期不安を起こすのもこれであり防衛行動、回 避行動をしばしば起こすと不安障害になります。
 1次、2次の感情は刺激の起きた現場で起きますが、別の場所で過去の出来事を 思い出して考えて感情が起こり苦しむ場合は、3次的感情です。そこにも、思い出 すきっかけとなる感覚、思考、感情が起きている場合もあります。刺激がなくても 、思い出して考えて3次の感情を起すこともあります。こうして、何かの刺激、思 考、感情、身体反応、気分悪化などのステップが続きます。

予防法

 心の病気を予防するには、 次のようにします。
  • 3次の感情、思い出して思考してつらくなることを「3次の感情」であることを 理解する。
  • 自分の心を観察して、「今、3次の感情が起きるようなことを考えている」 と気づくこと。
  • 気づいたら、それからも、「思考し続けて苦しさを強めるか、それとも思考を 解放して、何か改善に効果のあることをするのがいいか」 と判断しましょう。もちろん、後者のほうがいいのです。
  • その思い出し思考を途中で、止められるか試してみます。 はじめはできなくても、繰り返し練習していると、だんだんできるようになります 。思考を止める働きは、不快なことを思考する脳領域とは別のところです。 思考を解放する意志作用を何度も起してみることをチャレンジしてください。
  • つらい思考を止める方法として、ほかに、呼吸法、立ち上がって行動する、動 作法(身体を緊張させることと、ゆるめることを繰り返す)なども利用するといい でしょう。
 すぐには、止められないかもしれませんが、何度も(2,3週間)チャレンジし ていると、できるようになります。前頭前野の抑制機能を強化するのです。不満、 不安、恐怖の思考→感情を繰り返していると、扁桃体が過敏になり、1、2カ月後 、うつ病やPTSDをひきおこすおそれがあります。思い出して思考してつらく、自分 で止めることができないようであれば、相談できる人に聞いてもらうのがいいです 。話すと楽になるし、アドバイスをえられるでしょう。
 もちろん、こうした災害によって起きた、うつ病は、薬物療法や心理療法によっ て治すことができますので、機会をみて治療を受けるといいです。
(続く)まもなく、心的外傷後ストレス障害(PTSD)について述べます。
  • <目次>災害時、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事
  • Posted by MF総研/大田 at 21:34 | 災害とストレス | この記事のURL