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(9)呼吸法による自己洞察が心の病気になりにくい理由 [2011年04月02日(Sat)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (9)呼吸法による自己洞察が心の病気になりにくい理由

 前の記事で呼吸法(自己洞察を織り込んだ)を「たくさん行うと 、心の病気にな りにくい心になります。」「日常生活の行動中にも、この心の使い方が瞬時に応用 できるようになるのです。 脳神経生理学的な意義もあります。 」と書きました。
 そのことについて、述べます。

哲学的な理由

 呼吸法を行いながら、自分の種々の作用と対象(=作用が作るもの)が体験的に わかり、つらい内容(対象)が起きても、受容する心のトレーニングをしますので、 日常生活において、意志的欲求、意志的決 意、意志的行動を取るようになります。 呼吸法の時ばかりでなく、日常生活の行動中にも、自分の心を洞察して、 衝動的思考・行動にならないようにします。 これができないと、つらい思考、感情が渦巻くために、 状況を変革する意志的行動がとられず、 衝動的欲求、衝動的決意、衝動的 行動(衝動的思考の持続を含む)になります。 衝動的思考・行動では、つらい思考とつらい状況の受け入れがされないので、心理 的な苦脳が増大します。
 個々人は環境に中に生きていますので、個人が何か建設的な行為をすると、その環境の一角が住みやすいように変化します。しかし、衝動的思考・行動では、その一角がより住みよい場所に変 わりません。不快な環境が持続して、それを見て、 苦痛が持続します。それが、脳神経生理学的な反応をひきおこして、心の病気にな りやすいのです。
 一方、よく自分の心の作用がわかると、どういう心の反応パターンがつらくなる のかがわかりますので、つらい状況を受け入れて、その中でも、将来の再建に向け ての行動をしますので、心理的な苦脳が大きくありません。新しい環境を作ってい く欲求を起し、建設的行動をしますので、その一角の環境もよりよいものになっていくのです。環境を変えていく欲求をもちb、それに向かって行動する時に、その人の心には、 絶望はなく、少しでもよりよくしたいという希望があります。 個人が環境 を創造する、そして、その作られた環境が快適なものとなり、個人の前に現われます。良い循環になります 。心の病気になる隙はありません。 多くの個人がそこの環境の中に生きていますので、多くの人が意志的行動をするほど、環境が変化します。多くの人に快い環境を与えます。 それを見て、その個 人や周囲が幸福に感じます。住みやすい環境へ、そして、心理的苦痛の減少へ、さ らに建設的行動へと環境が住みよいものとなっていきます。自分だけではなくて周囲の人も心の病気になりにくい のです。
 みな、そうできるわけではなく、つらい人がいますので、その環境を変えてあげられる「支援」というものも極めて重要です。あまりつらいことを考えないですむような物理的な支援と、 心を軽くする心のケアの支援があります。

神経生理学的な理由

 神経生理学的な理由があります。衝動的思考・行動では、つらい思考、感情がし きりに起こりますので、扁桃体(感情を起す部位)が亢進し、 交感神経が亢進し、ストレスホルモンが過剰に分泌され、 うつ病、非定型うつ病、不安障害(パニック障害、PTSDなど)が発症してしまいま す。つらい思考、感情が持続すると、不眠症、自律神経系の失調症などになってしまう人もいます。
 そこまで到らなくても、行動への意欲がなくなると、生活不活発病になる人がい ます。高齢者でなくても、交感神経の亢進、ストレスホルモンの過剰分泌により、 免疫が低下して、身体の病気になりやすいです。脳血管系の病気、心臓疾患にもなり やすいです。だから、他の人により、支援が必要です。
 できる人は、呼吸法を行いながら、自分の心がわかり、ひどい状況であっても、環境を変えたいという欲求を持ち、建設的な行為をする意志的行動を すると、上記の神経生理学的な反応が強くひきおこされませんので、心の病気、身体の 病気になりにくいです。
 さらに、意志的行動は、長期報酬課題であり、重要な社会的機能をになう背外側前頭前野を活性化しま すので、心の病気になりにくいのです。うつ病になりますと、背外側前頭前野の機 能が低下します。前頭前野の種々の機能が低下します。
 このような理由で、被災者の方の心のケアの一つとして、こうした、心のトレー ニングが効果を発揮すると思います。この心の使い方は、短期間では習慣化されませんので、1,2か 月、継続したトレーニングをしていただきたいと思います。毎日、トレーニングしているとできるようになります。やはり、繰り返しの練習が重要です。短期間であきらめずに、長い間、練習を続けると、熟練してきます。 そうすると、日々の生活の中で、種々の不快なこと、つらいことがあっても、苦脳神経生理学的の思考、感情の反応パターンではなく、不快事象を受容して、意志的行動をする反応パターンをとるはずです。意識をどこへ向けていくか、違ってきます。
 こうした心の訓練は、 衝動的思考・行動にな らないように継続する必要があります。うつ病やPTSDは、疲労や苦脳 が持続する3か月、6か月後にも、発症するからです。もし、発症してしまったら 、治すための、薬物療法、心理療法が必要となります。

(続く)
  • <目次>災害時、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事
  • Posted by MF総研/大田 at 22:00 | 災害とストレス | この記事のURL