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(5)予防の方針 [2011年03月30日(Wed)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (5)予防の方針
 =刻々の事象を受容し意志的行動の反応パターン

 自分の心にどのような要素があるか、わかるようになると、 心の病気を予防する方針がたちます。
 つらい感情のうち、強い不安の感情によって意志的行為が妨げられるのが不安障害です。パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、対人恐怖症などがあります。これは後で述べます。
 うつ病になるのは図のプロセスです。災難にあうと、大切なものを失ったために、何かの刺激(見る、聞く、余震を感じる、想起など)によって、つらい内容の思考が繰り返されることが多くなります。つらい内容の思考によって、交感神経が興奮して、種々の内臓に影響します。くりかえされると、自律神経系の失調のような病的な身体症状や不眠症が起こります。
 一方、つらい思考によって、苦しい感情(怒り、嫌悪、後悔、不満、悲しみ)が起こり、その刺激が副腎皮質に伝わり、ストレスホルモンが過剰に分泌されて、脳にも侵入して、脳の神経細胞を傷つけるルートが推測されています。前頭前野は、作業記憶(ワーキングメモリ)、注意の分散、意欲(何かしらしようという意欲、目標ある行動へ)、自発性、思考、創造、他人とのコミュニケーション、意思決定、感情の制御、行動の抑制、記憶のコントロール、意識注意の集中などの重要な機能に関係していますが、ストレスホルモンによって脳が傷つき、こうした機能の低下が現われます。うつ病の精神症状です。このほか、抑うつ症状、睡眠障害もあります。非定型うつ病は鉛様麻痺感(身体が重くて起き上がれない)、過眠(眠気が強くて眠る時間が多くて社会的な生活がさまたげられる)の症状が現われます。
 このようなうつ病をひきおこすプロセスの中で、意志によってコントロールできるのは、思考と行動です。感覚や感情、それに想起は、起きる原因があれば必然的に起きるので、コントロールできません。
 思考と行動は、練習すればコントロールできるというので、変えることを指導する認知療法、行動療法があります。保健師や民生委員、カウンセラーのかたたちに、話しを聞いてもらうと、苦痛が軽くなることがあるのは、思考が変わるからです。これで、心の病気の予防に役にたちます。ここで述べるマインドフルネス心理療法による方法がうまくできない方はそういう相談を利用なさるのがいいです。自分ひとりで悩んでいると、図のプロセスによって、うつ病になるおそれがあります。最初は自覚されませんが、症状はゆっくりとじわじわと進行してしまいます。 不眠も長引くようであれば、ストレスになっており、何か月の後に、うつ病の症状が出現するおそれがあります。

自分と家族を責めない

 自分の思考と感情の関係を観察すると、どういう思考、行為が、自分や相手をう つにおいこむかがわかってきます。 あまりに長い時間(失ったこと、未来、身体の不調を)嘆く、あまりに長い悲しみ 、後悔する、自分を責める・批判する、家族を責める・批判する(批判される人が うつ病になります、家族の崩壊が起こります)、避難所で起きる人間関係で悩む、 その日にあった出来事でつらいことを思い出して考え続けることなどです。 異常な自然災害ですから、家族が家族を救えなかった、ああしなかったから、自分 や家族が悪いと責めてはいけないのです。混乱の中、 できなかったのが当然です。家族同志で、自分で責める、後悔すると、さらに、失 うものが追加されてしまいます。 責めることによって、家族が不和、離婚になることもあります。混乱の中でできなかったことを責めて、これ以上、失ってはいけません。 うつ病になると、もっと失います。復興の行動ができなくなります。生きる意欲さ えもなくなります。家族と自分自身を責めないでください。

マインドフルネス心理療法によるうつ病の予防方針

 災害にあった方が、うつ病を予防するためには、つらい思考をコントロールする心の働きを活性化する練習をします。これから述べていきますが、悩みを聞いていただく傾聴型や思考内容を変える(それは認知療法、この方法が向いている人もおられます)のではなくて、つらい思考に早い段階で気づく力、思考を解放して、建設的な行動(意志的行動)に向ける心を活性化させることが、マインドフルネス心理療法的な予防方法です。これが予防の方針になります。
 次のような行動は、意志的行動です。
  • 気になることがある、つらくなっている、という時、相談するという行動に出ること。
  • 今、テレビ報道によれば、ある避難所では、一人一人役割を持って活動することが行われているところがありますが、そういうことが意志的行動の一つです。
  • ほかにも、今後、書いていきます。
 マインドフルネス心理療法は、心の全体を知り、思考、行動を含めて、つらい状況を冷静に観察して、くつがえらない事象は受け入れて(アクセプタンス)、自分や周囲の人にとって役にたつ行動に心を向けて実行(マインドフルネス)する、反応パターンをとる心の練習をします。どちらかというと、長期間、かけて予防する方法です。
 実際のご指導が必要であるところには、行きます。とりあえず、埼玉県内の避難所が、落ち着かれて、受けられる方があれば、行きます。これは、長期的な対策が必要です。

(続く)
  • <目次>被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事  
  • Posted by MF総研/大田 at 21:24 | 災害とストレス | この記事のURL