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(4)呼吸法をしながら種々の作用を識別 [2011年03月29日(Tue)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (4)呼吸法をしながら種々の作用を識別
 =病気にならない心の反応パターンを作るために、まず、種々の心を観察して名前つけ

【洞察を深めるB】種々の心理現象の観察
 問題を解決するには、今ここの心理作用やその対象(心理現象)が何であり、ど のような関係にあるかを理解して、適切な意志作用を実行することが大切です。ま ず、外部感覚(見る、聞く)、内部感覚(痛み、吐き気)、想起(思い出し)、思考(価値崩壊的思考 、価値実現的思考)、感情、気分、身体反応(動悸、過呼吸、振るえなど)、価値 崩壊的行為(衝動的欲求、衝動的決意、衝動的行動)、価値実現的行為(=意志作 用、意志的行為=意志的欲求、意志的決意、意志的行動の3段階)などの区別ができるようになることが 、自分の問題解決に役にたちます。苦悩するのは心理作用によるからです。
 心理作用の区別ができるようになりましょう。そして、日常生活の中で、起きた り、消えたりするものが、感覚であるとか、思考であるとか、感情であるとか判別 して、名前をつけることができるようになりましょう。
 呼吸法の中で、あるいは、日常生活の行動中に、感覚、思考、感情などのどれで あるか、名前をつける(ラベリング)練習をしてみましょう。

 マインドフルネス心理療法は、論理的です。治るわけ、予防できるわけを論理的 に理解して、了解できる人は、その理論を信じることができて、実践するから、治 るし、予防もできるでしょう。だから、科学的というか哲学的というか、神経生理 学的などの理屈が理解できる人に向いています。
 この予防法は、自主的にできる人に向いています。強制してできることではありません。強制されると思う人には怒りや嫌悪的な感情が起こり、このような課題実行を拒絶する欲求が起こり、実行されません。心の病気になって、他の治療法でも治らないことが現実になった時には、やってみようという欲求が出ますが、予防的な段階では、うつ病のつらさを知らない人が多いために、また、状況が過酷であるために、まだ、予防的なことをやってみようという気にならないことがあるのは当然です。予防の意義を理解することが大切です。意義を理解できる人は実行することが奨励されます。
 うつ病になると、脳神経生理学的な変調が生じるために、復興の意欲がなくなり、仕事ができなくなり、ひどくなると自ら死んでしまいたくなる深刻な病気です。意義を理解して予防したほうがいいのです。

 種々の作用の識別をします。観察して識別できるようになります。 その次に、コントロール法(次の記事)を理解します。

●感覚、思考

 問題や症状や悩みは思考や感情によって大きく影響されます。何かを見たり聞い たり(「外部感覚」です)して、ある出来事をつらいと思ったり、こころよ いと思うのは、「思考」です。だから、何かの出来事が起きたとき、苦しむか、喜 ぶかは、その人の思考、評価によって大きく変わります。 外部感覚には見る、聞く、におう、味がする、触感・温感などがあり、痛い 、はきけ、など「内部感覚」があります。
 思考は言葉による理解、推論、判断、解釈などの作用です。 似ているのは、想起=思い出しがあります。言葉による想起と、言葉によら ないイメージの想起(フラッシュバックもその一つ)もあります。過去の出来事の エピソード記憶の想起もあります。
 思考は、いつのまにか自覚しないうちに長い間考えていることがあります。考え が自動的に続いていくような様子がありますので「自動思考」ともいいます 。思考の内容がネガティブ(否定的、悲観的)な内容でなければ、つらい感情や気 分の悪化はおこりません。
 思考には、価値実現の反応パターンにつながる思考(価値実現的思考、肯定的思 考、建設的思考、問題解決的思考)と価値崩壊の反応パターンにつながる思考(価 値崩壊的思考、否定的思考、悲観的思考、苦悩の思考)があります。この思考の場 合、不快な感情(不安、怒り、焦燥、嫌悪、悲しみなど)が引き起こされます。

●感情、身体反応、気分、抑うつ気分

 思考の内容がネガティブなものであれば、つらい「感情」をひきおこし、 自律神経は亢進し、ストレスホルモン(グルココルチコイドなど)が分泌され、 「気分の悪化」をもたらします。すぐに「症状」(精神症状、身体症状) の悪化をもたらす場合と、しばらく後に現われる「症状」があります。 「症状」としての内部感覚を感じます。
 過去の出来事のイメージが思いだされたり、言葉によって反すうしている(思考 )と、イライラ、怒り、不安、ゆううつ、悲しみ、などの「感情」が再現さ れます。いやなことを聞いたり、見たりしたときにも、こういう感情が起きます。
 こういう不安などの感情がおきるのを「当然だ」と思う(評価)人もいれば、不 安が起きるのを「嫌い、悪い」と思う人もいます。 ここには「つらい」「嫌だ」という「評価」や、「当然」「喜ぶ」という評 価があります。評価は思考の一種です。
 不安や怒りの感情が起きると、心臓がドキドキしたり、呼吸が早くなったり、顔 や手足がふるえたりします。これは、交感神経が刺激されたことによる「身体反 応」です。症状ではなく誰でも起きる現象です。
 怒りや不安の相手や出来事が去った後も、数分の間、いやな感じがしています。 「気分」の悪化です。これは、自律神経の亢進によって、副腎皮質からグル ココルチコイドなどが分泌されたための反応などによっておきる内臓全体の感覚で す。これは、うつ病の症状にある「抑うつ気分」とは違います。抑うつ気分 は、直前に感情的な出来事がなくても、重苦しい感じがあるものです。抑うつ気分 は、うつ病の患者だけにあるものですが、感情に伴う気分の悪化は誰でも経験しま す。

●衝動的欲求・決意・行動と意志的欲求・決意・行動

 欲求や決意、それに行動は、問題や症状を改善するもの(価値実現的)と持続さ せたり悪化させるもの(価値崩壊的)があるので区別します。
 つらいことがあっても自分の願いを崩壊させないし他者も傷つけないことを思い 起して、建設的な行動を決意(意志的決意)して行動するのは「意志作用」 です。自分の願いに合致した行為(意志的行為、価値実現の行為)をするのが意志 作用です。意志作用は他の種々の心の作用を観察して自分の願い実現のための行動 を選択するので、感覚、思考、感情などよりも深い位置にある統合的な作用です。 意志作用のプロセスは、細分化すると、意志的欲求、意志的決意、意志的行動の順 序になります。総称して「意志的行為」ということにします。
 価値実現の反応パターンをとることができないのは、価値崩壊の反応パターンで す。 衝動的欲求、衝動的決意、衝動的行動の順序になります。総称して「衝動的行為」「価値崩壊の行動」「非機能的行動」 ということにします。 結果的に自分や他者が苦しむ行動をとろうとする思いが「衝動的欲求」です 。実際に決意して、実際に行動するのが衝動的行動(価値崩壊の行動、非機 能的行動)です。衝動的行為には、回避行為、過食行為、自傷行為、他者への暴言 、暴力行為などがあります。衝動的な行為には意志作用が十分に働いていません。

 呼吸法をしながら、色々なものが心の中に起こりますから、上記のどれであるか 名前をつけられるようになります。そうすると、次に対処法を理解します。 自分の意志でコントロールできるものとコントロールできないものがあることを理 解して、コントロールできるところをコントロールできるスキルを訓練するのです。 大災害のために、つらいことが多いです。どういう心の使い方が、心の病気になってしまうのか 論理的に理解して、予防できる心のありかたで、生きていくのです。
 そのような反応パターンが実際に行使されるように練習するのが、マインドフルネス心理療法の課題です。この連続記事は、治す段階ではなくて、予防的段階の練習、課題を記述しています。
(続く)
  • <目次>被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事
  • Posted by MF総研/大田 at 20:55 | 災害とストレス | この記事のURL