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 (3)意識を観察・作用と対象 [2011年03月28日(Mon)]

被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法

 (3)意識をつらい内容(対象)ではなくて、作用に意識を向ける

 つらいことがある時に乗り越えていく心を持つにはいくつかの方法があります。 まず、心を深くみていく方向での乗り越え方を実行します。

【洞察を深めるE】作用と対象の観察

 私たちの心理現象には、2つの側面があります。心の病気を治したり予防したり するために、自分の心理現象についてよく知り、新しい心理的反応パターンをとり ましょう。
 呼吸法をしながら、「見ることについての観察」を実行してください。 眼の前にあるものを見ています。 畳、壁、障子などがあります。外では、家、犬、花などがあります。これは「見ら れたもの」です。事物の名称を言葉にできます。これらが「対象」です。見る働き (作用)の「対象」です。物がある時に、その見えるものを作り出している働きが 「作用」です。この場合には、「見る」が作用です。自己の作用のうち「見る」作 用が働いていることを自覚します。心の作用の一つとして「見る」という作用が今 動いていることを意識します。見る作用が 「見られたもの=壁、障子など」を映像 として意識に映しているものが、目前の対象であると了解して観察します。対象は 無限に変化しますが、見る作用は変化しません。よく観察してください。壁といい ましたが、対象はさらに細かい部分に焦点を当てることができます。そこに、よご れ、しみ、破れ、模様もあるでしょう。それらも対象です。何分か、見られた対象 と見る作用を観察します。「見える○○、見ている」というふうに。
 次に、音と聞く作用について、対象と作用を観察してください。自動車、人の声 、鳥の声があります。それは対象です。その作用は「聞く」です。呼吸法をしなが ら対象と作用に意識を向けます。音は何に意識を向けるかで移っていく、強弱も変 化します。作用は変化しません。ただし、作用も、自分の意志で観察に向かわない 時には、作用が意識されません。
 次に考える作用と考える内容(対象)です。内容は実によく変化します。しかし 、考える作用は同じです。 内容(対象)は過去、未来、現在、自分、他者、仕事、病気、災害など千変万化し ますが、作用の「考える(思考)」は同じです。

予防的な行い方

 呼吸法をしながら、心に意識されるものを観察してみます。
  • 「見える物」(対象)が見えます。会場の様子、人、ふとん、壁、畳、自分の 手足など見えます。そういうものは見る対象です。「見える物」があるのは、「見 ている作用」が働いているからです。
  • 「音」(対象)が聞こえてきます。話し声、せき、泣き声、犬の声、機械の音 など。こういう音は、「聞く作用」が働いているからです。
  • 色々なことを考えます。「考えた内容」が対象です。考える作用が働らいてい ます。
  • 感情がわかります。「イライラ」「不満」「怒り」などがわかります。そうい うとき、そういう感情そのものだけに意識を向けていると、 ひどくつらくなります。そういうことが起こっている時は「感情」「感情が起こっ ている」と意識を向けます。
 対象(見える物、聞こえる音)は次々と移り変わっていきます。しかし、作用、 働きは変化しません。つらくなるのは、対象をきっかとして、つらい思考に移って いくからです。
 私たちは、自由な意志によって、意識を何に向けるかコントロールできます。考え続けるか、行動するかコントロールできます。つらい考えの渦にはいっていると、うつ病になってしまうおそれがあります。建設的、前向きの対策が出てくる思考は大丈夫です、そうするのはいいことです。思考内容を肯定的な内容に置き換えるのは、認知療法です。その方法は、その専門のカウンセラーの助言があるでしょう。この記事では、内容を変える認知療法ではなくて、心の反応パターン全体を変える方法(マインドフルネス心理療法)を述べます。治すのではなくて、予防法を述べています。治すのは、治すスキルを持つカウンセラーの助言が必要になります。
 うつ病や不安障害などを予防する心を作る練習法を述べます。
 まず、対象(無数に変化する、こわいものもある)ではなくて、作用(ごく少数しかなくて、作用は変わらない)に意識を向ける練習をします。
 対象は、物や音ですが、 これがつらいことがあります。そこで、意識を作用に向けます。「見えている」「 見ている」「聞こえている」「聞いている」「今考えている」と作用、働きに意識 を向けています。
図は、見る、聞く、考えるなどの作用の部分に意識を向けることを示しています。考えが動いたら、「考えている」と働きのほう を観察します。呼吸法(ゆっくり呼吸法)をしながら、「見ている」「聞いている」と、作用を観察しています。1分、5分、10分と観察します。
 非難所でも、個人宅でも同じです。すぐには、うまくできないかもしれませんが 、何度も練習します。段々、できるようになります。「見ている」「見ている」「聞いている」「聞いてい る」と作用を注目していると、つらい考えが渦巻きにくいはずです。
 心のスポットライトが、対象ではなくて、作用(働き)にあてられています。 内容(対象)ではなく、作用に意識の焦点があたっていますので、感情があまり増 幅せず、HPA系(視床下部ー下垂体ー副腎皮質)の興奮が弱くなり、うつ病にな りにくくなります。
 毎日、10分から30分、連続して、実行してください。10秒から1分の短時間呼吸法(自己洞察をおりこんだ呼吸法)は、思い出したら、何度でも実行してください。
 このような大震災は、つらい状況が、長く続きますので、1か月、3か月、半年、1年後に、うつ病になります。長い期間、乗り越えていくので、少し時間がかかっても、練習していただきたいと思います。 うつ病になってしまってからは、心がおとろえているために、呼吸法の習得までに、かなり時間がかかります。まだ、病気になっていない段階ならば、割合、短期間で、習得できるでしょう。
 なお、押さえつけるのではありません。現われたものを、おさえつけようとするのは、無茶です。現われたもの、認識された時は、すでに過去です。くつがえりません。 現われる心の動きを観察します。こういう方法ができない人は、つらい心の内を、他の人にきいてもらうのがいいです。そうすると、楽になりますから。
 まだ、ほかの心の持ち方が続きます。
(続く)
  • <目次>被災者の心のケア、心の病気の予防のためのマインドフルネス心理療法
  • 参考記事

  • Posted by MF総研/大田 at 20:10 | 災害とストレス | この記事のURL