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つらいですね(2)拒絶過敏性、非定型うつ病 [2010年12月18日(Sat)]
hon2013s4.jpg ★ここに改善事例があります。 このテキストによって実践した人々の1−2年の熱心な実践の賜物です。

★非定型うつ病も、評価する/評価される場面で起こります。「対人場面で起きる感情にある本音を評価し評価される場で発言や行動をどうすべきか評価して表出する行動時自己洞察」の実践で、こういう難治性、慢性の非定型うつ病も改善するひとがいます。

つらいですね(2)拒絶過敏性、非定型うつ病

  • (A)持続する症状・状況
    慢性的に症状がひどくつらい。抑うつ症状、鉛様麻痺感、起き上がれない 。痛い。あるいは、就職できていない状況、対人関係がつらい状況、いじめられ ている状況・・。 長い間、改善しなかったので、これからも治らないのではないか、変わらないの ではないか、と<考 える>と必ず感情が起きるので、つらい結果が加わります。ひどく、落ち込みます。それがひどい と、死にたくなります 。消えたくなります。もう、どうなっていいやと絶望的な行為をします。
  • (B)対人関係で感情的になり重い症状が出る
    拒絶過敏性の対人関係が起きた。非定型うつ病にある状況。家族や友人知 人、同僚との間での会話、情報によって、つらい状況になって、感情的になる( 1次、2次)。そして、その人と別れた後、10分後、2,3時間後、数時間後 、思いだして(想起)、推理、反論、批判、怒り、判断、比較、あきらめ、絶望 などを含む思考を持続させる。そうすると、その事後思考によって、つらい感情 (3次)が起こります。そして、おちこみ、気分が悪化して、ひどいと、死にた くなります。こういうことを 翌日、1か月後、1,2年後にも同じような思考をすることもあります。 非定型うつ病の場合には、急性の希死念慮、自殺念慮が起きることがあります。 何日か、何週間か、安定していても、完治しない状況では、こういう発作的な希 死念慮、自殺念慮が強まることがあります。
  • (C)予期不安、広場恐怖、対人恐怖
    予期不安、広場恐怖、対人恐怖があるために、したいことができない苦悩。 予期不安は、次の「必然的な結果推測」とは違います。現実には起らないのです 。そう認知でわかっていても、不安恐怖が強くて踏み出せない。長く続くと、非 定型うつ病になってしまう。
 自己洞察瞑想療法(SIMT)での対処方針を述べます。テキストや助言に書くので すが、カウンセリングの中間に起きて、「つらい」という状況になって、間に合 わなくて、直接助言できないことが起きるので、ここに書きます。課題を実行し ている方は、つらいでしょうが、のりこえていただきたい。

拒絶過敏性

 次に、(B)の場合です。対人関係でひどく感情的になり、つらい状況になる場合 。
 この場合にも、必然的な反応があります。人の脳神経はそのように作られてい ます。

必然的な結果推測
 対人関係で相手への不満、怒り、自分の不幸の嘆きを起す。昔からの習慣によ って、感情を連鎖的に起しま す。一次、二次の感情は短いので、大きな症状悪化にはなりませんが、 3次の感情、思考の連鎖は持続時間が長く脳神経生理学的に広範な影響を及ぼす 。その実情が変わらないだろうと、未来を悲観的、否定的に予測する思考も同じ ような脳神経生理学的な反応が起きます。
つらい感情、ひどい落ち込みが起こり、 意欲、集中力、判断力などが低下することは無論のこと、 鉛様麻痺感、眠気の症状が悪化します。長引くと、メランコリー型うつ病の症状 も加わってきますので、希死念慮が起こります。こういう状況に一度でもなった ことがあり、完治させていない人は、ある時の対人関係の出来事で急にこの状況 になることがあります。これは、必然的な連鎖です。真理です。人間の脳神経は そのように作られています。 相手に問題があろうとも、自分が感情的になると自分の脳神経生理学的反応パタ ーンをもたらします。
 この反応パターンは、非定型うつ病に多い反応パターンですが、非定型うつ病 ではない場合には、感情的になって、相手(子ども、配偶者、親など)に暴力、 虐待行動を繰り返す反応パターンがあります。これは、非定型うつ病ではありま せん。この場合には、虐待、DVですから、被害を受けたほうに、深刻な心の病 気をひきおこし、家庭が崩壊します。結局、相手も自分も不幸になります。これ も、結果を推測して、暴力をしなければいいのですが、習慣化していて、止める ことが難しいのです。弁証法的行動療法は、そういう問題も治療しようとする心 理療法です。

解決にならないような3次的思考感情によってつらい結果になるよりもために なることを
 非定型うつ病の場合、自分の側が過敏すぎるということを心底、理解しておい て、価値崩壊の反応パターンは自分を不幸にするという結果を冷静に推測して智 慧(意志)を働かせて、対人関係の相手に問 題があっても、相手が変わってくれない状況ならば、 自分ができることをして、自分が不幸にならないように 洞察、自分が変わる方向、拒絶過敏性を変えて症状を軽くする方向での課題(治 ることが判明している治療法)を実践していく ほうが賢明です。
(もちろん、社会的な支援、法的な支援で、ストレスを除去できる場合には、そ の対策を実行することは当然です。)
 1次、2次の感情的な反応パターン(1,2分間の相手のいる現場での)が変 わるのは、相当期間のトレーニングを した後に獲得されるので、まず、3次(その人と別れた後)の思考感情を長引か せないことがコツです 。 1次、2次の出来事を思い浮かべて、怒り不満の思考の泥水の中でもがくよりも 、その泥水の池をチラチラと見ながらも、広い平野が見渡せる高原に上っていく 方向 に一歩一歩歩いていくのです。
 重大な決断をするのは、健康になってからすべきです。感情的になっている時 や症状が重い時には重大な決断をしてはいけないのです。感情や症状がない時に は、そういう決断をするはずがないからです。
 拒絶過敏性による対人関係の悪化、鉛様麻痺感などは明らかに心理的要因です 。心理的ストレスですので、自分の反応 のしかたを変えれば発作性の症状にはつながりません。拒絶過敏性さえ治せれば 、対人関係悪化や身体症状の発現につながらないでしょう。 何億年もかけて生き抜いてきた生命です。生きていくものがそなわっています。 内面の備わりは、西田幾多郎は「内的生命」といっています。わずか、50年し か経験のない他者からの批判、拒絶など無関係の長い長い年月をかけて はぐくまれた生命です。
 生まれてからの2,30年という短い(何億年の生命の歴史と比べたら)経験 で覚えた、嫌だ、起きるな、いつも快適であれなどの小細工(独断的・自己中心 的な評価的判断=本音といいます)で、生命の現象をあつかわず、もともと作ら れた生命の現象にまかせてみ る。大切な生命を自分の頭で扱わず、重大な決断は保留して、つらい状況を過敏 に感じ る心が 普通の感じかたの状況になるのが先です。

自己を洞察して自己を知る

 ささいなことで感情的になるのは、自分をよく知らず、自分に自信がなくて、 自分が傷つくのを防衛するためです。内奥の真の自分を知っていれば、それほど 拒絶過敏性にはなりません。自分のこと、自分の精神作用をよく知り、他者の言 葉や比較など気にならないようになる必要があります。
 マインドフルネス心理療法のトレーニングを始めて、まず、初期の内は、ひど い状況にならないように、1次2次にとどめる。それができなくて、考え 続けて、ひどい状況、死にたいという気持ちまで起きてしまっても、その時、上 記の「必然的な結果推測」のことを思い起こす。「今、ここ」に全力で生きてい ない現実を洞察して「今、ここ」でできることに全力であたる(意志作用です) ことしかないのではないでしょうか。つらい過去(つい、先ほども過去)を考え て嘆くことではなく、悲観的な未来を考えて意欲を落とすのではなく。今しかな い、大切な一度きりの生命なのですから、今を生きる。過去でもなく、未来でも なく。自己を深く洞察して、他者の言葉などでは絶対に傷つかない 内奥の自己を探求していけば、自己評価が高まり、拒絶過敏性は解決するでしょ う。他者の様子を見て、つらくなった時は、今、ここに生きることを忘れている 瞬間です。いつも新しいのです。いつも現在です。初心にもどりましょう。
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/1881
    【参考】自己の自覚
 以下は、前の記事と同様です。

 予期不安、広場恐怖も、今を生きずに、過去と未来にとらわれています。
Posted by MF総研/大田 at 12:43 | うつ病 | この記事のURL