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つらいですね(1)持続する不快な症状 [2010年12月17日(Fri)]

つらいですね(1)持続する不快な症状

 今、私がおいあした方でつらい状況にあって、マインドフルネス心理療法にと りくんでおられる方が30人くらいおられます。つらいですね、今。ただ、つら いことばかりを見ているのでは、そのつらいことだけが心の場に、大きくなって しまいます。 当面のつらい状況とその方針は、大きく分けると3つあるでしょう。
  • (A)持続する症状・状況
    慢性的に症状がひどくつらい。抑うつ症状、鉛様麻痺感、起き上がれない 。痛い。あるいは、就職できていない状況、対人関係がつらい状況、いじめられ ている状況・・。 長い間、改善しなかったので、これからも治らないのではないか、変わらないの ではないか、と<考 える>と必ずついらい結果が加わります。ひどく、落ち込みます。それがひどい と、死にたくなります 。消えたくなります。もう、どうなっていいやと絶望的な行為をします。
  • (B)対人関係で感情的になり重い症状が出る
    拒絶過敏性の対人関係が起きた。非定型うつ病にある状況。家族や友人知 人、同僚との間での会話、情報によって、つらい状況になって、感情的になる( 1次、2次)。そして、その人と別れた後、10分後、2,3時間後、数時間後 、思いだして(想起)、推理、反論、批判、怒り、判断、比較、あきらめ、絶望 などを含む思考を持続させる。そうすると、その事後思考によって、つらい感情 (3次)が起こります。そして、おちこみ、気分が悪化して、ひどいと、死にた くなります。こういうことを 翌日、1か月後、1,2年後にも同じような思考をすることもあります。 非定型うつ病の場合には、急性の希死念慮、自殺念慮が起きることがあります。 何日か、何週間か、安定していても、完治しない状況では、こういう発作的な希 死念慮、自殺念慮が強まることがあります。
  • (C)予期不安、広場恐怖、対人恐怖
    予期不安、広場恐怖、対人恐怖があるために、したいことができない苦悩。 予期不安は、次の「必然的な結果推測」とは違います。現実には起らないのです 。そう認知でわかっていても、不安恐怖が強くて踏み出せない。長く続くと、非 定型うつ病になってしまう。
 自己洞察瞑想療法(SIMT)での対処方針を述べます。テキストや助言に書くので すが、カウンセリングの中間に起きて、「つらい」という状況になって、間に合 わなくて、直接助言できないことが起きるので、ここに書きます。課題を実行し ている方は、つらいでしょうが、のりこえていただきたい。

 まず、(A)の場合です。持続する症状、状況がつらい場合。

必然的な結果推測
 不満の内容を思考する、つまり、ひどい状況(病気、経済状況、対人関係、仕 事など)が継続するだろうというネガティ ブな内容の思考(内部前頭前野)をすると→即座にネガティブな感情(扁桃体) →しばらくしてひどい落ちこみ=気分の悪化(視床などによる感覚)(ここまで は、必ずこ うなります。生命(脳神経)はそのように作られています)→さらにネガティブ な思考→●→●→ → →。
この思考、感情、落ち込み気分が同時並行しますから、つらさがひどくなって、 意欲、集中量力、判断力などが低下して、ひどい場合は 死にたくなります。人はそのようにすればそのように脳神経が反応するように作 られています。これは、 必然的な連鎖です。真理です。予期不安とはちがいます。予期不安が予期する発 作は 必ず起きるのではありませんから必然的な真理ではありません。つらい時に過食 したり覚醒剤に手をだすと必 ずつらくなる、治らないというのも、必然的な結果推測です。他人から批判、拒 され たら、私の価値が下がるというのは誤りです。「私」「自己」とは何か、批判さ れた、考えられた内容が自分ではありません。絶対に傷つかない真の自己がある のですから。言われたことは本質的なことではないので、こだわる必要がありま せん。

解決にならない思考によってつらい結果になるよりもためになることをしよう
 こういう結果を冷静に推測して智慧(意志)を働かせて、つらい症状、状況が あって も、どのステップからでも、不快さを感じながらもそのまま受容(心の場にある ことを映しあることを許す)して、一方では意志により課題の実行(呼吸法、自 己洞察法、行動・活動など)に入るのがいいのです。そうすると、過敏であるた めにつらく感じていた思考、感情、気分が少し軽く感じます。心の場に、思考、 感情、気分、鉛様麻痺感、抑うつ症状が占領していると、ひどくつらく感じます が、心の場に、治そうという目的、課題への実行が入ってきまして、そちらに焦 点があてられるので、 つらいものが小さくなります。心の場の処理容量に限界があるからです。

心理的ストレスを軽く感じると脳神経生理学的な変化

 症状がつらくなったら、治そうという目標を思い浮かべて、自分のセッション の課題をしましょう。課題をコツコツとやっていると、心理的な要因(事故によ る怪我や腫瘍などによる損傷ではなく)でなったうつ病、非定型うつ病ならば、 長い間には、症状が軽くなってきます。治りたいという目標を持ち課題を実行す る意志作用を行使つづけると軽くなります。そういう脳の部分をたくさん使うか らです。症状が悪化する脳の部位を興奮させることが少なくなるからです。

人はみな心の病気を克服できるようにできている

 Aさん、あなたのことです。せっかく授かった命です。自分の生命は、何億年も 前からの何兆もの先祖が生存競争をして守ってきた結果、今の「私」が、私の生 命があります。この世に生まれるのは奇跡です。大切な生命を消そうとしないで ください。 今、自己の生命が悲鳴をあげていますが、その生命は、何億年もかけてはぐくま れてきたもので、これでいいのだという証です。人が生きているのは、その出来 ばえでいいということです。何の不足もないのです。 生命の働きを嫌悪するとつらくなります。何億年かけてそのように作られてきま した。 上記の「必然的な結果」を推測して、 小さな、しかし、強い意志を起されるならば、何億年もかけて作られた生命です から、生き抜いていけるように作られているものだということが了解されるでし ょう。

使わないために怠けている脳神経の部位をリハビリ

 つらい症状がある時、必然的な結果を推測して、それを離れて、課題を十分に 実行することはすぐには、実行できないでしょう。すぐにできるならば、世界か らうつ病がなくなります。でも、少しならできるでしょう。 少しづつ長期間かかるけれど、実行するのです。バケツの中に泥水がいっぱい入 っています。その中に、真水をたった一滴注ぎます。その泥水はきれいになった でしょうか。いいえ、そうはみえません。でも、1分に1滴注ぎ続けると、何年 かしたら、泥水は真水になるでしょう。

小さな尾根を登り下がり、ついに高い位置にある高原に

 1週間調子よくなっても、また、悪くなります。人の心と体は精密です。多く の器官が相互にネットワークをなしていますから単純ではありません。課題を実 行したくらいでは、一直線に上りになるわけではありません。内臓の状況、生活 の心理ストレス、それについて思考するなど、色々なことが症状に影響します。 だか ら、課題を実行していても、 上下を何度も繰り返しますが、上った日もあるということは治る証です。こうい うことも理解しておく必要があります。本の出版(11年晩夏)で、そういうこ とを適宜に助 言するカウンセラーが不要になるとは思えません。 これを読む方は理解して、課題を実行し続けてください。
 調子が、下がっても、思考の渦巻きでさわぐことをせずに、つらいことを包み 映し観察し受容し、目的行動のことに 生命のエネルギーを注ぎます。過去を重視せず、未来を思わず、ただ、今、全生 命を課題に注ぐ。そうすると、心理的要因でなったうつ病、非定型うつ病ならば 、必ず改善します。改善するということは、不快事象がゼロになることではあり ません。多少、不快な症状があっても、仕事、家事、対人関係を何とかできるよう になることです。他の人たちも、不快事象がゼロというわけではなく、つらいこ ともあるのですが、うつ病や不安障害の 病気にまではなっていないのです。そ れで十分です。そこまで回復したですね。
 課題とは、呼吸法、自己洞察法、行動・活動です。つらい考えが渦巻いて呼吸法さえもできない時には、たちあがって、育ててくれたご両親のところへ行って肩をもむ。自分のつらいことを思わず、他者の喜ぶことを思う。 部屋や外で体を動かす。短時間ですが、つらい思考からそれます。それでいいのです。現在を全力で生きているから。「また、つらさがもどってくる」なんて、未来を思わないのです。今の一瞬に何をするかで、次の未来が変わります。その一瞬の行為、思考が、脳神経生理学的な反応をします。現在から現在へです。
 人は、あなたは、何億年もかけて、この生命を伝えてきたのです。適度な行動と思考が生命活動を苦しまないようにしてくれています。あまりに、自分の思考を重視せずに(我(が)を用いず)、生命の、身体の作られた機能にまかせてみるのです。身体の病気が重症(がんや難治性の介護状況など)で、行動、活動ができない人は、作られた呼吸の運動を観察する。生かそうとして呼吸が行われています。自分の努力をしていないのに、生かそう、呼吸をさせようという力が働いています。それを観察しているのです。そうすると心がおだやかになっているのも感じます。その一瞬でもいいのです。 今、自分をお世話してくださっている家族、医療、介護の関係者がいます。つらいけれど、つらいところだけを見ずに、その人たちが自分に注いでくれる慈悲、愛情を思い、感謝の思いで、心を満たすのです。簡単ではありません、つらいのですから。でも、感謝の思いを満たすのです。他の人が自分に注いでくれる心こそ、現在の真実です。現在だけです。 過去も未来もないのですから、今の一瞬を、生きていることの意味をしみじみと感じるのです。今を生きるだけでいいのです。

何とか社会と交わって生きていけるものが備わっている、ただ使いこなして いないだけ

 生命は多少のストレスは受容できるように、そのように作られているようです 。私の前に二人の親がおり、4人の祖母がおり、何億年もさかのぼると、何兆になるのでしょう。途方もなく多くの生命を引き継いで伝えられ てきて今ある生命ですから。貴重な生命です。このものでいいのです。不足はありません。
 世界も自分も固定していません。過去はなく未来もなく、絶対現在から絶対現 在へと変化しています。私ちたちの行為によって家族が変化し、日本が変化して いきます。世界はそういう個人の創造であるから、世界が変わり、個人が変化し ています。 そのような個人の生命が、この日本を作っています。私たち1人1人が「創造的 世界の創造的要素」(西田幾多郎)。何とか社会と交わって生きていけるものが 備わっている、ただ使いこなしていないだけです。人間の構造はみな同じです。 人の苦しさを知るあなたこそ、この日本をすみやすいところに作っていくことが できる尊い存在です。治してください。必要な道具はそなわっています。まず、 もっとも小さい世界、自宅、家族をすみやすいところにしていきましょう。
Posted by MF総研/大田 at 09:44 | 私たちの心理療法 | この記事のURL