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自己洞察瞑想療法(SIMT)で治す方針 [2010年12月16日(Thu)]

<連続記事>「どうやってうつ病、不安障害を治し自殺を防止するのか」

 自己洞察瞑想療法 ( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )はマインドフルネス心理療法の一種である が 1993年、日本で開発適用を開始した心理療法。常に、臨床適用して、刻々と改良を重ねてきている。
うつ病、非定型うつ病、不安障害、家族の不和、がん患者やリハビリ患者のメンタルケア、死ぬ不安、低い自己評価などに効果があり、自殺を予防するのに、 実効性のあるツールになります。こういう問題は、薬物療法だけでは限界があります。 (図)「自己の深まり」=西田哲学による

自己洞察瞑想療法(SIMT)で治す方針

目的をめざして行動を決意し実行する意志作用

 生きていく上で、種々の悩ましいことや不快なことが起きます。そういう不快 事象がある時に、対人関係を悪化させる行動をしたり、社会生活から逃避するわ けにはいきません。適切な行動ができずに、苦悩する思考を継続していると、う つ病その他の精神疾患になるおそれがあります。不快事象が起きても、自己の役 割をはたす行動が目的実現の行動です。合目的的行動の時に働く統合的な精神作 用が意志作用です。
 西田幾多郎は「意志」について次のように述べています。

 「意志はある目的の自覚より起こり、その目的を達することによって消滅する 。・・・合目的的作用というものが成立するには、その終わりに現われるものが 始めに与えられ たものでなければならない。合目的的作用とはその前後を包むも のが、自己自身の内容 を限定する過程と見ることができる。・・・かかる意味に おいて我々の意志の奥底に考えられる真の自己とは、我々の意志を超越し てこれ を内に包むものである、我々の意志はかかる自己によって基礎づけられているの である。」(西田幾多郎の論文「叡智的世界」)。

 社会生活を阻害することのないような行動が意志的行動ですが、意志的行為の 過程を分析して考えてみます。先ず自分をそそのかす現状 と異なった願わしき自 己の状態、つまり、いわゆる目的観念なるものが心に現われます、自己の意識が それに向かう傾斜の状態をなすと共に、この両者(不足の現状と願わしい状態) を結合するために、過去の経験から目的に達する過程や手段が想起されます。こ の結合が十分と考えられた時、つまり、実現可能と信じられた時、決意すると共 に動作に移ります。
 自己(私)は、知覚(内部、外部)、判断、思考、想起、推理などの種々の精 神作用を起しますが、作用は対象を持ちます。時に、対象は不快ですが、そうい う対象にふりまわされて、目的(長期的には人生の価値実現、幸福)を失うよう な行動を、今もしない、目的崩壊の思考や行動を抑制するのも意志です。

 目的は長期のものから、ごく短期の目的まであります。 ごく短期の目的をそこなう行為をしたために長期間、目的がそこなわれてしまう ことがあります。しかし、それでもなお、現在、新しい目的を設定して、意志を 起して、現在の願わしくない状況を変える目的行動、意志を起すことができます 。いつでも、回復可能なのです。 種々の精神現象を冷静に観察して、目的の実現のために統合的な決意をして行動 しなければなりません。そういう統合的な合目的的精神作用が意志です。

意志作用を活性化するトレーニングによって心の病気を治す

 うつ病、非定型うつ病、不安障害の場合、こういう深い心を知らずに、表層の 「対象」にふりまわされて、症状→苦悩の思考→つらい感情→行動回避や抑うつ 症状、鉛様麻痺感などの症状→苦悩の思考の悪循環になっています。
 自己洞察瞑想療法(SIMT)(マインドフルネス心理療法の一種)は、 心を深く洞察する訓練、すなわち、意志作用をうまく使いこなす訓練をします。
 この程度の意志作用くらい、従来の心理学はもっと精緻に分析しているでしょ う。しかし、不足していたのは、分析、認知、思考レベルにとどまっていて、 実行される「意志」になって動くトレーニング法がなかったことでしょう。自己 洞察瞑想療法(SIMT)は、その訓練をするのです。過去もなく、未来もなく、現在しかありません。現在から現在へです。現在の瞬間で決まるのが、心の病気です。今の瞬間をどう生きるのか。すべてのことをあるがままに見たいところですが、各人には、各人の価値を絶対視すること、各人が独自の好き嫌いの基準(独断的・自己中心的な評価的基準、本音という)による判断をまじえて見るものであることを観察によって訓練をする。自分も相手も自分の価値、自分の本音で評価して感情を起こす。そういうものだと了解して、事態を包み映し観察し受容し、その瞬間に価値、および目的を想起し、合目的な行動を決意し実行する訓練を するのです。表面の対象や、浅い思考作用、感情、衝動に振り回されず、価値と目的を 想起して機能的行動を選択実行するトレーニングを繰り返すのです。こうした、 意志作用の訓練が体系化されているのがマインドフルネス心理療法です。欧米の ものは、行動分析学など、日本の自己洞察瞑想療法(SIMT)は西田哲学(場所的論 理が中心)が理論的背景になっています。
 その心の使い方を繰り返し訓練することによって、
    (1)前頭前野を繰り返し動かすことになって、前頭前野の変調が回復する
    (2)ネガティブな感情を起すことが少なくなって、 HPA系(視床下部ー下垂体ー副腎皮質)や交感神経の亢進がしずまるので、 新しく症状を悪化させる脳神経生理学的な反応が少なくなる
 こうして、心理的な反応パターンと脳神経生理学的な反応の2つが健康的にな って、心の病気が回復するのです。 こうした意志作用に反する思考や行動の反応パターンが脳神経生理学的に苦痛を引き起こす変調をもたらすのが心理的な要因による精神疾患であり、意志作用的な反応パターンを習得すると、脳神経生理学的に健全な影響をもたらして、抑うつ症状、鉛様麻痺感などの症状や広場恐怖やまぎらしによる社会的行動の回避行動が軽くなるのです。
 精神疾患の人たちだけではありません。ほとんどすべてのひとが、自分の価値の執着、自分の評価基準による言葉や行為によって、弱い立場の人を苦しめることをします。差別、偏見、不正、ハラスメント、虐待などがその一例です。
 元来、こうした心の使い方は、中学生、高校生でしっかり訓練すれば、いじめも減少し、精神疾患も減少し、ひきこもりも少なくなるはずです。せっかく、知性のある高度の学問をおさめても、うつ病や不安障害、ひきこもりで挫折するのは、若い人にとって大きな苦痛です。30歳代のひきこもり、自殺が増加しています。予防のためにも、自己洞察瞑想療法(SIMT)は普及されるべきだと思います。大人の社会、各種の団体にあるエゴイズムも、独断的・自己中心的な自己、自己の団体の利益追求によって、多くの善良な人たちが苦しむ背景です。
 たいていのうつ病、非定型うつ病、不安障害は、意志作用の活性化までで治り ます。非常に 深刻な苦悩は、さらに自己なくして見、自己なくして行動する直観(西田哲学で いう)ということを訓練していきます。意識されるもののすべて自分をこちら側に立てて対象的に見ることをせずに、場としての今ここの心に包み映して意識されるものを直に見ることを通して自分とは何かを探求します。西田哲学では、人の最も内奥の心は自己、自我らしいも のが微塵もない「内的生命の流れ」(西田哲学)であり、それが真の自己であるといいます。それならば、自己を立てることによって苦しむうつ病(たとえば、 がんや難病で「自分が死ぬ」ということの苦悩、自分は価値がないとか自己評価が極めて低い苦悩)が解決するでしょう。自我を立てて、他者の利益を害してまで自己の利益をむさぼることにより他者を苦しめることもあります。エゴは他者間はざらですが、親子、配偶者の間でも、それに、自覚がないこともあります。無知、理解不足、偏見による場合もあります。支援者にも言えることです。カウンセラー、医者、種々の団体のトップ、構成員にもあることでしょう。そして、自己自身にも。エゴは自覚があれば抑制できます。今は、経済的に厳しいので、特にエゴイズムが強まっているのかもしれません。心の病気の支援も遅れてしまっています。

 心が弱いと思って自己評価が低くなっている人が、ふつうの心をとりもどしてほしいです。苦しんだ人ほど、他者の苦悩を共感できて、社会で苦悩する人のために貢献できるでしょう。日米のどのマインドフルネス心理療法でも、自分とは何かという哲学を探求しています。自己の哲学を深めていくことが大切です。決して、無価値ではありません。たまたま、病気になっただけです。
Posted by MF総研/大田 at 07:25 | 自殺防止対策 | この記事のURL