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自己洞察瞑想療法(SIMT)の構造 [2010年10月23日(Sat)]

「どうやってうつ病、不安障害を治し自殺を防止するのか」

自己洞察瞑想療法(SIMT)の構造

 自己洞察瞑想療法( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )は、マインドフルネス心 理療法の一種です。しかし、アメリカで開発された種々のマインドフルネス心理療法(弁 証法的行動療法、マインドフルネス認知療法、ACTなど)とは違って、日本で開発され たもので、理論も技法も違うものです。その理論を簡単に書いておきます。詳細は、カウ ンセラー講座のテキストにあります。
 前の記事に自己洞察瞑想療法(SIMT)のモデル図を掲載しました。簡単に説明しておきます。

 (=この章は、マインドフルネス心理療法を研究しようという専門家、カウンセラーの人向けに書いています。)
(心の病気を治したいという人はこの記事を理解する必要はありません。そういう方には 、半年から1年かけて、順を追って、やさしく理解できるように実習を併用して習得され るように配慮されます。)

個人と世界との関係 =(A)の領域

 西田哲学に「個人は創造的世界の創造的要素」という理論がある。また、個人は世界によって作られ、世界を作る存在であるという「作られたものから作るものへ」という理論もある。
 個人は環境、世界の一要素である。従って個人が変化することは世界が変化する。 個人(心の病気になった人でも)がどう行動するかによって個人は環境、世界を変えるこ とができる。環境の一番身近なものが夫婦の関係や親子の関係、家庭である。そして、職 場である。個人は環境によって生きているので、環境から外的知覚作用によって外的環境 (A)から情報を得て種々の反応を起して自己を変えていく。自己は世界から作られる。
 また、個人は環境に働きかけて環境を変えている。 ただ、環境や世界は多数の個人からなるので、各個人が世界を変えていく。自己から見れ ば、世界は自立的に動いている。そういう環境世界が瞬間瞬間個人にせまる。自立的に動 く環境に自己はさらされる。
 自立的に動く世界であるが、世界は個人の外にあるのではなく、個人の自己が意識され るという仕方で、個人の「意識の野」という場所(こころ)にある。

非叡智的フュージョン(NIWiF)
 =(B)の領域

 自己は自立的に動いている環境・世界によって作られたものであるが、環境・世界から 情報を得て自己の中で処理して、行為によって環境・世界を変化させる。世界を作る。 自己は創造的世界の創造的要素として環境・世界を作り変えていく。自己は種々の作用、 意志作用によって行為することによって世界を作っている。自己が作った環境・世界は他 の個人も作り変えており、自立的に動いている。時々刻々と自己に迫ってくる。

 自己は知覚(内的、外的)、思考、感情、欲求、意志など種々の作用をするが、その内 奥には、作用するもの(自己自身と考えられる)がある。自己の種々の作用や自己自身を 知らないために、非機能的反応を持続させたり、建設的な行動が抑制されて、非機能的反 応が連鎖していることを非叡智的フュージョン(NIWiF, non-intuitive wisdom fusion)と いう。

<第1>自己についての見方の深まり

   自己が「知的自己」にとどまっている場合には、自己の作用を知らず、 作用の対象を嫌悪して、衝動的な行動をとったり、建設的な行動をとることができない。
 「意志的自己」に深まると、自己の作用を知り、種々の作用を統合した意志作用を行使 することができる。意志は、対象的なものの内容ばかりではなく、自己自身の内容を自覚 する。自己の中に自己を映すという自覚を起す。 種々の精神作用やその対象は冷静に観察して、目的の実現のために統合的な決意をして行 動しなければならない。意志はそういう統合的な合目的的作用である。

 意志作用は一段深い作用であっても、作用であって真の自己ではない。真の自己は作用 するものを包み作用するものである。意志の底に意識を向けていくと、意志するものがあ ることを自覚する。種々の作用や意志の対象や作用を包むものである。叡智的自己という 。 叡智的自己の働きは直観である。 直観は、自己が自己において自己の内容を映して見ることである。 自己の意識内容をすべて自己自身を見るものの内容となす。自己を没することによって、 自己が客観界を包むことである。
 意志的自己であっても、限界を 超えるストレスに見舞われると、心の病気になることが ある。自己を深めることが精神疾患の予防、再発予防に貢献する。直観は、すべての対象 も作用も、自己自身の根底のもの(真の自己)の内容であるという見方である。叡智的自 己の意識では、すべてのことが、根底の自己自身の表現するものとなる。環境も苦悩も症 状も自己の表現するものとなり苦痛が低減することによって、精神疾患の治癒をもたらす ことができる。

<第2>非叡智的フュージョン

 自己(私)は、知覚(内部、外部)、思考、感情、欲求、行動などの種々の精神作用を 起すが、作用は対象を持つ。対象にふりまわされて、目的(自己の人生の価値実現、幸福 )を失うような反応(思考、欲求、行動など)が形成されているのが、非叡智的フュージ ョンである。 非叡智的フュージョンによる反応を起すと即座に神経生理学的な変化を起こして、繰り返 されると身体的、精神的な症状が発現する。
 非叡智的フュージョンがあると、自己を知らずに適切な意志作用を起すことができない 。問題が深刻であると、回復には直観的な叡智が貢献することがある。
 直観的な叡智の欠如により、深刻な状況においては、適切な意志を行使できず、価値崩 壊の反応パターンをもたらす心理的な反応を繰り返す。
 重症でない問題は、意志作用の活性化によって、非叡智的フュージョンによる非機能的 行動が修正されて、問題が改善する。深刻な問題を回復させたり、再発の防止には、直観 的叡智の獲得が有効である。自己はすべてのものを包むものであり、すべてのことが内奥 の自己の表現となるので、不快事象の見方が変化する。
(続く)

「どうやってうつ病、不安障害を治し自殺を防止するのか」

 自己洞察瞑想療法(SIMT)の仮説、治癒理論
 ( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )はマインドフルネス心理療法の一種である が 1993年、日本で開発適用を開始した心理療法
Posted by MF総研/大田 at 07:04 | 私たちの心理療法 | この記事のURL