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(4)治す方法(治療法) [2010年10月17日(Sun)]

「どうやってうつ病、不安障害を治し自殺を防止するのか」

 自己洞察瞑想療法(SIMT)の仮説、治癒理論(指導者向けではなく病気の人のために)
 ( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )はマインドフルネス心理療法の一種である が 1993年、日本で開発適用を開始した心理療法

(4)治す方法(治療法)

 治療法は原因がわかれば、原因を除去する手法を実行します。 外部からのストレスが大きいことが原因である場合には、外部ストレスの減少の対策をと ってもらいます。経済的な支援、職場の配置転換、勤務時間の減少、介護の支援などで きることは自治体や事業所でやってもらいます。そういう外部のストレスの緩和対策だけ では治りにくいうつ病も多いでしょうから、本人の治療が必要になります。
 薬物療法は、非叡智的フュージョンによる心理作用を標的とせず、神経生理学的な変調 のみを標的とします。

 認知療法は、種々の精神作用のうち、認知(思考)を標的として、それを変えるように 助言する心理療法です。このような療法で治るうつ病、不安障害もあります。それでも治 らないうつ病や不安障害などにも、SIMTは働きかけます。

 SIMTは、種々の精神作用全体の観察、意志作用の活性化、自己自身を探求すること、そ のことによって苦痛を克服するという治療法です。こういうことは、認知療法の手法はも ちいません。考えを変えるのではありません。種々の精神作用を言語、思考によらず、観 察するのです。自己自身についても、言語、思考によって、見方思想を変えるのではなく 、自己の作用を観察して、特に感情が自分と相手の本音によるものであることを瞬間的に観察して、価値実現的な反応を選択する手法によるのです。 ということは、状況、見た、聞いたものが何を表現しているのかを「評価」「判断」していることになるでしょう。瞬間的に、(対人場面では)相手や自分の表現を観察評価して、瞬間的に何(言葉、態度、行動など)を相手に表現すべきかを評価観察していることになるでしょう。そして、自分の表出した言葉、行為が相手にどう影響したか、即座に見えます、聞こえます。また、そこにある本音を評価します。こういう対人場面での自己の観察を「行動時自己洞察」といいます。

 このような治療法でないと治らないうつ病、不安障害も多いのです。
 たとえば、抑うつ症状は軽くなっても、意欲がない、集中力がない、仕事の時に必要 なワーキングメモリ(作業記憶)が充分に回転しないような症状が残ります。こういう症 状は認知(思考)に関係なく持続します。認知を変えるつもりでも、制止状態や眠ること が多くて考えることさえしないならば、認知が起きないのだから修正もできません。 認知療法がうまくいかないうつ病もあるのです。非定型うつ病もそうです。鉛様麻痺感の発作が起きるのは、急に起きる対人関係の葛藤がきっかけとなることが多いのですが、 そのように急に起きる拒絶過敏性の傾向も認知の修正の技法では改善が難しい人がいます。

 パニック障害にある広場恐怖、予期不安は、「パニック発作で死ぬことはない」という認知 療法の手法ではどうしても激しく起きる動悸、不安の感情には、そういう認知は効果がな い人も多くて、電車や会合などを回避することが持続します。

 SIMTでは、次のように見ています。
 (1)非叡智的フュージョン(NIWiF)⇒NPF⇒症状が出現
 (2)神経生理学的フュージョン(NPF) ⇒NIWiF⇒症状が出現
 NIWiFとNPFは相互に影響しています。 治療法として、薬物療法も有効ですので、非常に重症の段階は薬物療法をすすめます。 しかし、非常に重症の段階を脱しても、前頭前野の機能低下や広場恐怖により、完治が長 引く患者さんがいます。 心理的柔軟性の欠如、叡智の欠如があれば、回復が遅れますので、SIMTにより治療法を提 供できます。

 SIMTの治療技法は次の2つの視点から構成されますが、実際には同時に適用されます。
(1)目標技法
直接体験注意傾注法、価値保持法、機能分析法、徹底的受容法、連合解消法、 叡智活性化法
(2)形式技法
呼吸法、現在感覚等観察法、生活技法、行動活性化技法、運動技法、高次脳機能活性化技 法
 外部から観察していると、クライアントは(2)「形式技法」だけを実行しているように見 えます。しかし、内面では、その時、同時に(1)目標技法が心理的に実行されています。 呼吸法をしながら、直接体験注意傾注法、価値保持法、機能分析法、徹底的受容法、連合 解消法、 叡智活性化法 のいくつかを実行します。運動をしながら、やはり、 「目標技法」のいくつかが同時に実行されます。

 こうして、生活のすべての時間の中で、「目標技法」が実行されますので、それが神経 生理学的な影響も起して、種々の精神症状、身体症状、行動の変化が解消されるのです。 SIMTを実行して治った場合、外部からのストレスへの対処のしかたが習得された「目標技 法」に準じて処理されるのですから、再発しにくいことが推測されます。


(続く)


「どうやってうつ病、不安障害を治し自殺を防止するのか」

 自己洞察瞑想療法(SIMT)の仮説、治癒理論
 ( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )はマインドフルネス心理療法の一種である が 1993年、日本で開発適用を開始した心理療法
Posted by MF総研/大田 at 20:43 | 私たちの心理療法 | この記事のURL