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向精神薬で自殺未遂、診療所は… 人、設備足りず拒否も [2010年08月03日(Tue)]

こころを救う:向精神薬で自殺未遂、診療所は… 人、設備足りず拒否も

 こんな記事がある。

 「医療機関で処方された向精神薬を飲んで自殺を図る人が増えている問題で、過量服薬の 恐れがある患者への対応は、診療所ごとに大きく異なる。診察を断る診療所がある一方、受 け入れても有効な手立てを打ち出せずにいるところは少なくない。」 1人の医師の場合。
 「自殺未遂などの問題行動には対応できません」とホームページに掲げているという。
 「今の診療所は看護師もいない。過量服薬する患者を受け入れれば時間も手間もかかる。 そのしわ寄せは他の患者へ向かう。「未遂者を誰が責任を持って診るのかという仕組みがな い。行政が作るべきだ。私は他の患者をあふれさせてまで、診る気はない」と言う。」

 別の医師の場合。たとえ自分のクリニックに通院している患者でも過量服薬をした時には、自分で扱わず、 すぐ救急病院の受診を勧める。自殺未遂は、自分の処理できる限界を超える。「たらいまわし」するしかないのだ。だが、・・。

 「『もう診られません』と言うのは簡単だが、断れば他の医師に押し付けることになる」 。ジレンマが募る。

 「人も設備も足りない診療所で患者をどう支えるか、試行錯誤が続く。」とある。
 過量服薬(OD)やリストカット(自傷行為の一つ)などを繰り返すのは、境界性パーソナリ ティ障害の場合にある。もちろん、すべてが境界性パーソナリティ障害ではない。しかし、 つらい出来事で感情的になって、ODや自傷行為になることは共通である。家族やパートナー への暴力の場合もある。つらくない、ネガティブな感情を強めることのない人はこういうこ とにはならない。
 ストレス(いじめ、仕事、対人関係、経済など)や環境(家庭、職場など)などの上流の 除去の支援対策も必要であるが、メンタルなこと、つまり、 境界性パーソナリティ障害や自傷行為、暴力行為の治療の対策も重要である。性格だけと誤 解されていることが多いようだが、治療すれば治る病理も多いといわれる。認知行動療法や 弁証法的行動療法がある。
 最近、夫婦間、家族や恋人への暴力(DV)も多い。子どもを虐待する親もいる。
 うつ病、不安障害のほかに、DV、過量服薬(OD)やリストカットなどを繰り返す問題行動を 治療する病院、カウンセラーも不足している。繰り返すが、欧米では、こういう問題も認知 行動療法や弁証法的行動療法で治療している。しかし、日本では、そういう領域の支援者が 少ない。
 DV、過量服薬(OD)、リストカット、うつ病、不安障害などを医者が薬物療法で治せない場 合、どこへ行ったらいいのか。支援拒否(?)を表明している医者が「未遂者を誰が責任を 持って診るのかという仕組みがない。行政が作るべきだ。」と提言しているように、医者や心理士の個人経営のサービスの限界を超える。行政が支援体制を作るべきだ。長期化する心の病気、難治性 の心の病気も心理療法で治る人もいるのだ。そういう方を治療、支援するセンターを県に1 か所以上作るべきだ。現存のセンターでは治すスキル、受け入れ態勢が不充分だ。 治らない人があふれて、予約がとりにくい。心の病気の治療支援の領域に、もっと、 予算をさくべきだ。 国で1、2か所実験施設を作って、治療法の研究、セラピストの育成をしたらどうなのか。

 難治性のうつ病、非定型うつ病、不安障害の患者は、薬物療法が効果がない場合、それからは、医者も治せない。臨床心理士も治せない。欧米のような認知行動療法のスキルを習得する機会がなかったからである。 それぞれ、それなりの収入を得てその組織での職務をまかされているので、難治性の心の病気の人を支援する時間もスキル習得の時間も費用もないというのが実際の本音だろう。心理療法であるから臨床心理士に期待したいのだが、精神分析、傾聴型の心理療法が多くて、認知行動療法は主流ではない。
 他の領域(たとえば、学校カウンセラー)において活動しており、その領域で貢献しており、 心の病気の治療の領域は臨床心理士に期待されていない(医者が行うものと期待されてきた)。もし、自立するならば、収入が安定しない。心理士のサービスは保険の対象ではないから、雇用する精神科病院は少ない。カウンセリング料金が高いと自立のカウンセリング所ではクライアントが来ないので収入が安定しない。だからカウンセリング所を開くのは勇気がいる。学校や企業、官庁、種々の団体に勤務するほうが安定する。そこでは、うつ病、不安障害などの治療のスキルは要求されない。当然、学習する動機がない。大学院で学ぶときから、こうした進路が想定されるだろう。将来、うつ病、不安障害などの治療に専念する、そのために認知行動療法などを徹底的に習得するという体制になっている大学院は少ないだろう。
 うつ病、非定型うつ病、不安障害、境界性パーソナリティ障害、など医者でも心理士でも治せない場合、日本では、一体、誰が救うのか。欧米には、種々の認知行動療法、マインドフルネス心理療法がある。それを駆使すれば、何割かは治せるだろう。日本では、その活動に乗り出すリソースがいない。この視点を強調する医者、心理士団体の声は小さい。
 患者、家族が多数苦しんでいる。毎日、100人近く、自殺している。 自殺防止対策は厳しい局面を迎えている。
Posted by MF総研/大田 at 10:13 | 自殺防止対策 | この記事のURL