貴重な体験を語ってくださった・その後 [2010年04月15日(Thu)]
セッションに参加中に、改善状況を報告してくださるかたもいるが、
セッションを終って、半年後、1年後の改善状況を報告してくださる方がいる。
心理療法の有効性を追跡確認できるありがたいデータとなる。
マインドフルネス心理療法のセッションは心の使い方のトレーニングをして、セ ッション10までいく。その後は、
2)になった方のその後の改善状況をおしらせいただくことがある。 パニック障害となり、種々の場面の回避がみられた方。 心理療法の手法を十分習得したと半年ほど前「あとは自分でやってみます」と双方 合意で通うことをやめた(セッション10までいかずに一方的にやめるのではなく )かたから数日前に連絡があった。
自分の残された問題について分析して、改善計画、実行ということをやっていく のは、うつ病でも不安障害でも同じである。回避、逃避したくなる出来事が一生起 きる。つらいことがあっても、のりこえていく「意志作用」の心の使い方は一生用 いていくものである。面倒だが若い頃の半年から1年のトレーニングに通うことは 生涯の宝をみつけることになる。「自分はすばらしい宝を持っていた、気がつかず にうまく使いこなしていなかっただけだ。自分は大丈夫だ。」と思えるようになる 。私が25年前にうつ病になって、今生きていられるのも、ずっとマインドフルネ ス心理療法として体系化した自己洞察法を続けているからだ。対人関係での感情的 な出来事から発作的症状(感情的に激しく興奮、拒絶過敏、鉛様麻痺感、過食、過眠、パニック発作、痛み、暴言、ひどい落ち込みなど)が起きるかたがおられる。つらいのが自殺したくなることもある。心理療法で治療すると、症状がでなくなってからも、対人関係、つまり、 人とのコミュニケーションがついてまわる。 友人、同僚、親戚、患者さん、クライアントの方との応対などのおつきあいにマイ ンドフルネス心理療法の心得がいかされる。 中学生の時に読んだ田宮虎彦の小説の最後に近い場面の言葉が忘れられない。自殺する場所を求めてさまよう青年に向かって、年老いた遍路のおじいさんがいう。
成人までに、不安過敏などがなかった人でも、社会に出てかなりたってから、限度を越えるストレスにあって、うつ病、不安障害を起す人もいる。40代、50代、60代でうつ病になったり、自殺も起きているのはそういうケースが多い。特に、定年後は 失うものが多くて、介護、がん、配偶者の死などもあって、うつ病、自殺が多くなる。 こうしたところにも、自分について知らない、自分の精神作用の自覚がない、そういう心の探求をしていないことが原因の一つであると思う。 自己の精神作用を自覚せず、悩みの思考(つらい、嫌だ、不満だ、思いどおりにいかない、こわい、不安だ、など)を渦まかせていて解決行動をしないと、うつ病になる。 私の場合でも、不安過敏は、大学生のころなくなっていた。就職して順調で、40歳まで何も感じなかった。しかし、40代でうつ病になった。後からわかったが、自分について知らなかった。対象的知識ばかりが豊富でも、自覚的自己の作用、自己自身を知らなかった。ストレスが自己の処理できる限度を越えてうつ病になった。不安過敏性だったからではなくて、自分を知らなかった。後に習得する禅の心得、マインドフルネス心理療法の心得を身につけていれば、発症を防ぐことができたはずだと思った。実際、回復の後、15年後に、もっとストレスの強い状況になっても再発しなかった。 対象的知識(産業領域の知識)ばかりで、自己の精神作用、自己の存在について知らなかった。限度を越えれば、知識では間にあわず、うつ病、不安障害を発症する。 そういう人が多いと思う。 子どもを持って、育てる年代の人も、ストレスが与える子どもの心への影響を知っておくと、育て方がちがってくるだろう。 社会的、経済的な支援のほかに、心の健康ということは、すべての人にとって重要だ。 |