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貴重な体験を語ってくださった [2010年04月12日(Mon)]

貴重な体験を語ってくださった

 10日のグループ・セッションの参加者は14名でした。進度(セッション)が 違う人ですから、講師としても参加者にとっても難しい方式です。 全員に効果のある話しをしたいと思うので苦労します。講師にとって、個別カウン セリングは簡単です。 本当は、個別面接の継続がいいのかもしれませんが、コスト、会場、講師の時間、 参加者の負担料金など考慮して、今は、マインドフルネス総研ではグループ・セッ ションが基本です。
 グループ・セッションのよいところもあります。10日には、参加者のお1人が ご自分の改善した体験を語ってくださいました。このカウンセリングを受ける前は 、パニック発作、鉛様麻痺感、痛みなどがありましたが、セッション10を終えて 、その後も通い1年たった今では症状がほとんどなくなったと語ってくださいまし た。こうした発言は強要はしていませんが、語ってくださると 他の参加者の励み、信頼が生まれます。ありがたいことです。
 この日も、西田哲学の「意志作用」について勉強しました。 自己洞察瞑想療法( SIMT: Self Insight Meditation Therapy )の理論的根拠でもあり、課題の指針でもあるような位置にあるのが、意志作用です。禅の哲学や実践方向の言葉による、論理的な説明です。 セッション1から1 0までのトレーニングの課題が、まさに、意志作用の活性化をねらうものであり、 それぞれのセッションの課題は、意志作用に必要である詳細な心のスキルをトレー ニングしているのだということです。セッション1から10までの 全体のまとめのような内容です。こういう説明は非常に重要なので、グループ・セ ッションにおいでにならないで欠席された方がおいでになると、また語りますので 繰り返されます。でも、わかるようで、ストレス状況におかれた時、なかなか意志 作用を実行できないで、対人関係でトラブルを起したり、激しく落ち込んだりしま すので、この基本は耳にたこができるくらいにすぐ思い出し、即座に実行するまで にならないと、症状や問題が改善しません。100回でもきいて、参加者自身が自 分で他者に説明できるほどに会得されていればいいでしょう。「それは、もう何度も 聞いた、聞き飽きた」というのは未熟です。「では、それが体現されているか。な ぜ、まだひどい症状、結果的に後悔するような行動が止まないのか」と自問すれば 、その瞬間に思いだされ実行されるほどには、聞いていないのだと思いあたるでし ょう。半年近く経つころ、セッション9,10あたりで大きく変化する人が多いよ うです。 心理的な学習作用も、脳神経生理学的な変化も半年くらいたったところで大きく変 化するようです。そこで怠けず、さらに自己洞察(意志作用の活性化の努力という ことになります)を継続していると、1年から2年で、症状や問題行動はほとんど 消失します。セッション10のあとは、ご自分ひとりで続けるか、セッションに 参加するか、心の健康クラブに移るかは自由です。 軽くなって喜びの顔を見せてくださることが励みです。全部のかたがそうなるわけ ではないところに、心の病気の難しさがあります。個別面接のみでセッション2に入らない人が2,3割、 グループ・セッションに参加して、 セッション2,3くらいでやめるひとが1割(非常に重症か非常に軽症なのでしょ う)くらいでしょうか。これまで、初回面接をしたうちで、6,7割くらいの人がセッション10まで参加 なさいました。
 非常に重症の人には個別面接の継続が必要であると思っています。個別面接のマインドフルネス心理療法を提供できるカウンセラーがふえるといいですね。ACT,弁証法的行動療法、SIMT も含めて。
 個別面接の継続ならば、今回のカウンセラー講座でのテキスト(セッション1から10まで全部に改訂を入れまして、セッション12 までに拡張予定)で行っていけば十分です。今後は、カウンセラーが時間をかけず に治療効果の高い、マインドフルネス心理療法のプログラムを研究していきます。 医者や医療補助者やカウンセラー、NPOスタッフ、組織の人事スタッフが時間を 多くかけずに、効果の高いプログラムを研究していきます。
(以前、カウンセラー講座を受講なさった方には、セッション1から12の新版テキスト12冊を格安料金で提供します。今回の講座の修了後、12月にご案内します。)
Posted by MF総研/大田 at 07:35 | 私たち | この記事のURL