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傾聴は健常者向け、認知療法などは病気レベル向け [2009年10月11日(Sun)]

心理療法・2種を使い分ける(9)
 = 傾聴は健常者向け、認知療法などは病気レベル向け

 心理療法やカウンセリングには、大きく分けて2つあります。精神分析療法(傾聴が主 )と認知行動療法(積極的助言)です。患者(クライアント)の方が両方の特徴を理解し て、それぞれ自分の問題、希望に向いた方を受ければいいでしょう。

 私は、重症のうつ病、パニック障害などをできるだけ短期間に改善したいという目標で 活動しているために、認知行動療法側です。しかし、問題や患者さんによっては、傾聴し てもらいたいという人も多いようで、傾聴型のカウンセリングも重要だと思います。孤独 によるうつ病や語りたいのに聴いてくれる場がないというような問題には傾聴型のカウン セリングが患者さんに向いているでしょう。ただし、うつ病の病理的な変調が重い場合、 傾聴だけ(最初から最後まで傾聴だけである)していて、改善の治療をのばしていると悲 劇が起きるおそれがあることは承知しておいたほうがいいと思います。

 傾聴か認知行動療法かという議論と似たテーマを雑誌「こころの科学」113号(日本 評論社)が「カウンセリングと心理療法〜その微妙な関係」特集しています。これの中か ら、病理レベルはカウンセリングではなく心理療法ではないかということに関連している 議論を抽出してみます。心理療法ではなく精神療法という語も出てくる。この2つも微妙 にちがう。 識者によって定義が違う。

傾聴は健常者向け、認知療法などは病気レベル向け

    「精神療法が、精神の病気を抱えている人の治療であるのに対して、カウンセリングの対 象は、より健康レベルの人の、自己成長を援助することを目的としているという点である 。しかし、そのようなものを含んでいる治療法はカウンセリングだけではなく、内観やサ イコドラマについても言えることである。

     もう一つは、わが国におけるカウンセリングは、ロジャーズによる来談者中心のカウン セリングが大多数を占めるということである。現在では、それだけではなく、広がりを持 ってきているのであろうが、基本としてロジャーズの傾聴を主体とした方法が用いられて いる。

     この2つのことは相互に関連しているのであって、受容と共感によって対談者が自力で 問題を解決して行くためには、ある程度の自我の強さ、来談者の健康度の高さが必要であ り、また、その経過には時間も必要になるのである。したがって、より病理的色彩の強い 対象や、より早い治療が求められえうときには、認知療法や森田療法のように、そのため のさまざまな技法が必要になるのである。」 (P31)増野肇、ルーテル学院大学社会福祉学科
 ほかにも見ていくが、幾人かの人は、大体上記のような解釈である。 だから、たとえば、多重債務の方や自死遺族の方、自殺未遂の方(この3つの領域は具体 的な対策がとられ始めた)の支援にも、傾聴型のカウンセリングと病理レベルの認知行動 療法の両者が必要であることにならないだろうか。病理レベルの深刻な人がおられるはず だから。

病理レベルではなく、語りたいのに語れず孤立、孤独であった人には、認知行動療法は不 要で、傾聴型が期待にそう。ひょっとして、うつ病が深刻になっている人は、傾聴型の支 援組織には行かないのではないか。一度行ってみて、二度と行けない(症状が重くて)の ではないか。

病理レベルの深刻なうつ病は傾聴型のカウンセリングだけでは、抑うつ症状や鉛様麻痺感 、睡眠障害、記憶障害、コミュニケーション障害は回復しない可能性が高いからである。

 逆も言える。傾聴型のカウンセリングを期待したのに、傾聴の時間が少なくて問題の改 善課題が中心で期待はずれの健常者レベルの人。症状が重くなくて、聴いてもらいたい、 語りたい場合である。

 クライアントの病気レベル、希望で選択できればいい。自殺対策にはそこを考慮してほ しい。
(続く)
精神分析療法(傾聴型)と認知行動療法(積極的課題提供型)
Posted by MF総研/大田 at 19:12 | 自殺防止対策 | この記事のURL