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イギリス・認知行動療法は再発率が低い [2009年10月10日(Sat)]

イギリス・認知行動療法は再発率が低い
 =NHK「うつ病治療 常識が変わる」

=第4章 心理療法の壁
 医療にj心のケアが定着しない理由

 NHK取材班による「うつ病治療 常識が変わる」(宝島社)から、日本のうつ病治 療の現状をみています。あらましは、見たのですが、重要な点をいくつかクローズアップ します。

イギリスで国家の費用で認知行動療法を普及させるのは再発率が低いから

 イギリスでは、国費によるうつ病の認知行動療法のプログラムが開始された。 薬物療法よりも認知行動療法のほうが再発しないことが わかっているからである。うつ病が治らないと自殺するおそれがあるので、 自殺率が高い日本でも国の予算で、認知行動療法者を育成してもいいはずである。

NHK取材班の言葉(本より、要約と引用)

<再発率が低い認知行動療法>

 「イギリスでは、認知行動療法の効果の高さが実証されている。06年に、国がドンカ スターとニューハムという2つの地域で行なった研究では、症状 が良くなった患者は55%だった。
 さらに注目されるのは、再発率。1年後、抗うつ薬のみで治療した人は44%再発した のに対して、抗うつ薬に認知行動療法を組み合わせると27%に下がった。
 この研究を行なったのは、ロンドン大学精神保健医学研究所教授のデビッド・クラーク さん。先頭に立って、イギリスのうつ病治療の変革を進めてきた。
「薬物療法は、長期間の効用に難点があります。抗うつ薬で回復する人が多くいるのも事 実ですが、そのうちの何人かは、抗うつ薬を飲まなくなると、うつが再発してしまいます 。心理療法が優れている点は、患者が自分自身の抱える問題を認識することができるので 、将来再び、うつになりそうな問題が起きた時に、上手に対処して効果が長続きすること です。その結果、”心理療法と薬物療法のどっちを選びますか?”という質問に対して、 心理療法を選ぶ患者は、薬物療法を選ぶ患者の2倍に上っているのです」(P149) (ここから大田のコメントです)
 「うつ病は実につらい病気である。思考、判断、会話などの頭の回転がしなくなるから 子どもは勉強ができないくなり進学できない。大人は仕事ができないので休職、退職に追 いこまれる。家事、外出ができないので配偶者、子どもから愛想をつかされて離婚になる こともある。退学、退職、寝込む、離婚などになると苦痛がさらに大きくなり、自殺する 人が多い。だから、」予防が大切である。そのために、うつ病になる社会的要因をさぐり 種々の関連組織が連携してうつ病にしないような対策をとっていくことが重要である。こ の方面は、ライフリンクなどのめざましい活動で対策が始まった。
 「  」の部分を繰り返えす。

 「うつ病は実につらい病気である。思考、判断、会話などの頭の回転がしなくなるから 子どもは勉強ができないくなり進学できない。大人は仕事ができないので休職、退職に追 いこまれる。家事、外出ができないので配偶者、子どもから愛想をつかされて離婚になる こともある。退学、退職、寝込む、離婚などになると苦痛がさらに大きくなり、自殺する 人が多い。だから、」
 だから、うつ病になった人が再発しない治療法を提供することが重要なのである。一度 、うつ病になっても、半年ほどで完治して再発しないならば、社会活動からの退却は半年 ですみ、退学、退職、離婚、自殺もない。だが、再発を繰り返すと、社会活動からの退却 が数年におよんでは、退学、退職、離婚、自殺も起きる割合が高くなる。日本でも 認知行動療法の普及に乗り出すべきである。
 日本では、イギリスのような国家的動きがないので、今、うつ病で苦しんでおられる方 は認知行動療法(第2世代)、マインドフルネス心理療法(第3世代の認知行動療法)を 用いるカウンセラー、セラピストをさがして心理療法を受けるのがよいと思う。 心理療法で治すと薬を断つことができる。断薬できると 「完治」という心理的な満足は大きい。 薬物療法で寛解して薬を服用していると、治ったという意識が弱くて、薬の服用をしてい るので就職に支障が起こり、恋愛、結婚に自信をもつことが弱くなるという心理的な満足 度が低くなる。10年も長期服用による副作用(その害がどうなる)かまだ未知であり、 そういう心配もなくなる。
 方法がないのであれば、やむをえず再発リスクの高い治療法を忍ぶしかないが、あるの だ。認知行動療法がある。日本では、医療の遅れがあり、外国では受けられる治療法が日 本では受けられないということが起きているが、難治性のうつ病についてもこれが起きて いる。アメリカ、イギリスで受けられる認知行動療法を日本では受けられない。認知行動 療法がいいのに、それを勉強しない、無視、傍観、知らぬフリをしている。専門家のはずが普及させようと努力しない。種々の壁がある。イギリスでは、政治家、経済学者が動いて、国の政治を変えて、認知行動療法の導入にふみきった。
 特に、非定型うつ病が薬物療法だけでは効果がゼロか、再発率が高い。

(続く)
NHK「うつ病治療 常識が変わる」
  • <目次>=テレビ報道の内容とほかの情報を加えた本が出版された
     これまで、うつ病の啓蒙本やマスコミで紹介されたものはうつ病の”真実”ではなかっ た。隠されていた情報が公開され、これからは、これがうつ病の”常識”となる。
Posted by MF総研/大田 at 06:23 | 自殺防止対策 | この記事のURL