NHK/「第3章 抗うつ薬の死角」のあらまし [2009年10月02日(Fri)]
「第3章 抗うつ薬の死角」のあらまし
=NHK「うつ病治療 常識が変わる」
=第3章 抗うつ薬の死角 =封印されてきた危険な副作用
NHK取材班による「うつ病治療 常識が変わる」(宝島社)から、日本のうつ病治
療の現状をみます。
あらましを見ておきます。
第3章 抗うつ薬の死角
抗うつ薬は患者によって副作用がある。意識障害、攻撃性、自殺行動などの影響があ
るかもしれない。患者に起きる副作用らしい状況を吸い上げるシステムがない。かなり
明らかになった副作用が患者や家族に知らされていないようだ。そのために、患者の異
変に対策がとられずに悲劇が起こることもあるようだ。
第3章には、おおよそ、次の内容が述べられている。
(詳細は、本をご覧ください。)
- 「SSRIを服用中、他者に対して敵意をむき出しにしたり、暴力を振るった事例が増
加傾向にあることが、明らかになった」(P96)
「5月8日、厚生労働省は、製薬会社に対して薬の添付文書に攻撃性を誘発する危険が
あることを明記するよう指導する方針を打ち出した。」(P96)
- 診断の見誤りが「攻撃性」に拍車をかける。
夫が抗うつ薬を服用中に、妻に重症を負わせる事件があった。夫には記憶がなかった。
裁判の過程で、典型的なうつ病ではなくて双極性障害U型であることが判明した。
「双極性障害の患者には、気分の波を安定させる「気分安定薬」を投与するのが原則
だが、これを典型的なうつ病と見誤り、SSRIを投与すると、危険な事態を引き起こす可
能性がある。気分の波を大きくしてしまい、躁状態の時には、問題行動を起こす危険が
増してしまうのだ。」(P122)
- 抗うつ薬とともに、抗不安薬も同時に処方されることも多い。
「「ベンゾジアゼピン系の抗不安薬によっても、怒りっぽくなったり攻撃的になったり
します。”脱抑制”っていう言葉で言うんですけど、自分の我慢する気持ちが取れて、
ワッと攻撃的になって怒りが出てきたりすることはあるんですね」(野村さん)」
(P127)
- 日本では薬事法で、薬の副作用は病院や診療所および製薬会社に報告の義務が課せ
られているが、他の医療関係者や患者から報告を吸い上げるシステムがない。そのため
、副作用が疑われる事例自体の報告件数がどうしても少なくなってしまう。」
(P128)
- 「今年4月、日弁連は全国2万6000人の弁護士を対象に、少年事件および刑事
事件の被疑者・加害者で、犯行時に抗うつ薬を服用していたかどうかを調査するアンケ
ートを実施した。」(P129)
(続く)
NHK「うつ病治療 常識が変わる」
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<目次>NHK「うつ病治療 常識が変わる」
- 第1章 ”不適切”な投薬
=症状を悪化させる多剤併用
- 第2章 クリニック乱立の闇
=なぜ診断がバラバラなのか
- 第3章 抗うつ薬の死角
=封印されてきた危険な副作用
- 第4章 心理療法の壁
=医療にj心のケアが定着しない理由
- 第5章 うつからの生還
=体験者たちが語る回復のプロセス
- 第6章 うつ病治療の新しい”常識”
=先進医療の現場をたずねて
- あとがき
=うつ病に強い社会をつくるために
まだある「うつ病、自殺対策関連の問題」
以上がNHK取材班の本の内容ですが、この本で指摘されていない難しさを考えます。
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<目次>無視・傍観・軽視・放置・見放される病
=現在のうつ病治療、自殺対策はどこが問題か、どこがもれているか。
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<目次>うつ病を治すスキルを持つ心理療法者は少ない
心理療法的助言の提供は、資格は無関係。宗教者でもできるし、やっている。だが、う
つ病の助言はスキルが必要である。治る理論のない方法で助言して悪化させてはならな
い。命にかかわる病気である(悪化すると自殺する)。
うつ病の認知行動療法(マインドフルネス心理療法を含む)を提供できるスキルが必要
であるが日本の医者、心理士はこのスキルを持つ人は少ない。認知行動療法を提供でき
れば誰で もいいかというとそうとも言えない。認知行動療法のセラピストにもうまい、
下手があ る。認知療法の仮説、理論にも限界があることがわかってきた。その限界を補
って患者 さんを治癒に導くのはセラピストのコミュニケーション能力、人格、動機づけ
などマニ ュアルにない力量に左右される。
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Posted by
MF総研/大田
at 23:11
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自殺防止対策
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