• もっと見る
«NHK/「第1章 ”不適切”な投薬」のあらまし | Main | NHK/「第3章 抗うつ薬の死角」のあらまし»
NHK/「第2章 クリニック乱立の闇」のあらまし [2009年10月01日(Thu)]

「第2章 クリニック乱立の闇」のあらまし
 =NHK「うつ病治療 常識が変わる」

=第2章 クリニック乱立の闇  =なぜ診断がバラバラなのか

 NHK取材班による「うつ病治療 常識が変わる」(宝島社)から、日本のうつ病治 療の現状をみます。
 詳しく見ていると、ひと月もかかりそうですので、あらましを見ておきます。

第2章 クリニック乱立の闇

 なぜ、うつ病が治らないのか、診断ミスがあるのか、多剤投与という治験データのな い処方を行うのか。治療技術レベルの低下、医師のモラルなど。
 第2章には、次の内容が述べられている。
  • 特に東京は精神科のクリニックが乱立。 簡単に開業できるので、勤務医の過酷さから独立。多くの医師が精神科医を開業。 ミス らしいことがあっても、症状のためか投薬が不適切のせいかわかりにくく、自殺しても訴訟になりにくい。 ビジネスになる。
  • こうして、必ずしも精神科の治療がうまい医師ばかりではない。レベルの低い医師 もいる。
  • 必要ないはずの注射をする医師もいた。
  • 患者を守る市民活動。「藍の会」は仙台市の精神科医のリストを作り、良い医者、 ひどい医者の点数をつけて、患者さんに情報を提供。投薬がうまい、カウンセリングが ある病院、患者の自殺が多い、・・。うつ病患者はおとなしい。治らない不満を公表し ない。治っても黙っている。情報が少ない。「飲めば必ず治る」と医者に言われて、そ ればかりを強くすすめて長男に自殺された、自死遺族の代表が、もう自分と同じように ひどい医者の治療を信じて自殺される遺族の苦しみを繰り返させたくないと始めた活動 。 (大田注1)
  • 精神科医のレベルを向上させる計画
    • 医師たちが勉強会を開く
    • 認定医の制度
    • 投薬のガイドライン作り
  • 良い医者選びの注意点5カ条。
     防衛医大の野村さんのガイド。「この5項目にひとつでも該当すれば、その医師の治 療法に対して疑問を抱いていい。」(P91) (大田注2)
(詳細は、本をご覧ください。)


(大田注1)ライフリンクの自死遺族からの聴き取り調査でも自死した人の多くが精神科の治療を受けていた。薬を服用するだけでは治らないことも多く起きている。
(大田注2)これは表も裏もご存知の精神科の先生の助言だから、必見。これに該当する医者にかかっていて、長期間治らないのであれば、医者を変えたほうがいい。元来、心理的ストレスによってなったうつ病ならば、心理的ストレスを軽減、除去して、適切な治療をすれば治ることが多い。 治らないならば、治療法が不適切、薬の効果が少ないタイプかもしれない。 心理療法のカウンセリングも重要な選択肢となる。 傾聴型のみのカウンセリングでも、長引く。重いうつ病は、認知、行動、反応パターンを変える積極的助言が必要である。 早めに相談したほうがいい。遅れると自殺も起きる。
(続く)
NHK「うつ病治療 常識が変わる」 まだある「うつ病、自殺対策関連の問題」
 以上がNHK取材班の本の内容ですが、この本で指摘されていない難しさを考えます。
  • <目次>無視・傍観・軽視・放置・見放される病
     =現在のうつ病治療、自殺対策はどこが問題か、どこがもれているか。
  • <目次>うつ病を治すスキルを持つ心理療法者は少ない
      心理療法的助言の提供は、資格は無関係。宗教者でもできるし、やっている。だが、う つ病の助言はスキルが必要である。治る理論のない方法で助言して悪化させてはならな い。命にかかわる病気である(悪化すると自殺する)。
      うつ病の認知行動療法(マインドフルネス心理療法を含む)を提供できるスキルが必要 であるが日本の医者、心理士はこのスキルを持つ人は少ない。認知行動療法を提供でき れば誰で もいいかというとそうとも言えない。認知行動療法のセラピストにもうまい、 下手があ る。認知療法の仮説、理論にも限界があることがわかってきた。その限界を補 って患者 さんを治癒に導くのはセラピストのコミュニケーション能力、人格、動機づけ などマニ ュアルにない力量に左右される。
Posted by MF総研/大田 at 22:34 | 自殺防止対策 | この記事のURL