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NHK/マスコミが問題点を指摘しないのは正しくない [2009年09月25日(Fri)]

マスコミが問題点を指摘しないのは正しくない・
NHK「うつ病治療 常識が変わる」

=(7)プロローグ(6)
 =うつ病の薬物療法の問題点、限界、今後の新しい治療法と新しい支援の方向のまと め

 NHK取材班による「うつ病治療 常識が変わる」(宝島社)から、日本のうつ病治 療の現状をみます。

「プロローグ」(6)

 最初に「プロローグ」がある。これは、本書の要約になっている。

マスコミが問題点を指摘しないのは正しくない

 NHKのテレビ報道の影響は大きかった。

NHK取材班の言葉(本より、要約と引用)

<薬物療法を否定しているのではない>
 「本編を読み進めようという読者の皆さんに、これだけは強調しておきたい。それは 、私たちは、決して抗うつ薬の効能や存在意義を否定しているわけではない、と いうことだ。ましてや、一部の問題事例をもってして「抗うつ薬の使用を見直すべきだ 」などといった、粗雑で非科学的な主張をするつもりは毛頭ない。なぜ、こんなことを わざわざ申し上げるかというと、番組放送後、一部の医師や患者の家族から「番組を見 た患者が動揺して”薬の処方をやめてほしい”と言い出して困った」などといった趣旨 のお叱りやご意見をいただいたからである。」(P7-8)

 これが前の文章。この続き・・・。

<問題点を指摘しないというのは正しくない>
 「これまでのうつ病に関する報道は、主に職場や家庭といった社会環境に目を向け て、患者が増える原因を探っていた。
これに対して私たちは、治療の現場に深く斬り込み、”不適切”な抗うつ薬の処方など 、さまざまな問題点を指摘した。 それは確かに、多くの患者やその家族にとってはショッキングであっただろうし、なか には主治医に不信感を抱いた方もいらっしゃったと思う。自分の治療法を否定されてい る感じ、腹を立てた医師がいらっしゃったというのも理解できる。しかし、だからとい って問題点を指摘しないというのは正しくないと思う。」(P8)

(ここから大田のコメントです)
 「これまでのうつ病に関する報道は、主に職場や家庭といった社会環境に目を向け て、患者が増える原因を探っていた。
 ここは、ライフリンクなども力を入れている。4つの大きな要因によってうつ病、自 殺にいたる。だから、上流の要因を改善するために既存の組織がネットワークを構築し ようという対策がすすめられている。(この県ではこれから)
 この方向も必要である。そして、NHK取材班は、別の問題点を指摘した。こちらは既存 の組織、既存のサービスではない。新しい行動が必要となる。
2つの方向からの対策によって、上流と下流の問題が解決される。問題点はわかっても 、具体的な方法は難しいが。
 「問題点を指摘しないというのは正しくない」。こういえるマスコミがあったことを 嬉しく頼もしく思う。反撃、いじめ、取引停止、収入の減少をおそれて無視、傍観する ことも多いこの社会。
<実情を伝えるのはマスコミの責務>
それが間違った指摘であれば反論する説明責任は医師にある。
実際であれは、それを説明するのも医師の責任である。他の病気はそうしている。
 重要な情報が国民に隠されているのであれば、それを伝えるのはマスコミの責務。人 は不都合なデータを公表しないからだ。
 問題点をマスコミが指摘しなければ、改善対策がとられない。

 日本のうつ病、自殺対策が大きく変わるだろう。カウンセリングは何十年も前からあ ったのにうつ病の治療には大きな役割を果たしてこなかった。次々と翻訳紹介されるマ インドフルネス心理療法とこのNHKの報道が後になって日本のうつ病、自殺対策の方向転 換の大きなきっかけであったと評価される時がくるだろう。認知行動療法は予防的には 習得しにくいと思うが、マインドフルネス心理療法は予防的にも実行できる。

(続く)
NHK「うつ病治療 常識が変わる」
  • <目次>序節=テレビ報道の内容とほかの情報を加えた本が出版された
     これまで、うつ病の啓蒙本やマスコミで紹介されたものはうつ病の”真実”ではなかった。隠さ れていた情報が公開され、これからは、これがうつ病の”常識”となる。
  • (1)本の目次から=医者、カウンセラーだけではうつ病を治せない
     ”不適切”な投薬 、クリニック乱立の闇 、抗うつ薬の死角 、心理療法の壁 、うつ からの生還、うつ病治療の新しい”常識”
  • (2)プロローグ(1)=抗うつ薬治療は5割が再発、3割が効果なし
     =うつ病の薬物療法の問題点、限界、今後の新しい治療法と新しい支援の方向のまと め。そのうち、長期間の追跡調査で、抗うつ薬で軽くなっても5割が再発、効果のない のが35%
  • (3)プロローグ(2)=薬が多すぎて薬の副作用が加わりかえって長引くケースも
  • (4)プロローグ(3)=医者だけに頼らない体制の開始
  • (5)プロローグ(4)=うつ病患者100万人、そのうち80万人が治らないのか
  • (6)プロローグ(5)= 薬物療法を否定しているのではない
  • (7)プロローグ(6)= マスコミが問題点を指摘しないのは正しくない
  • (続)

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Posted by MF総研/大田 at 17:09 | 自殺防止対策 | この記事のURL