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NHK「うつ病治療 常識が変わる」多剤療法 [2009年09月24日(Thu)]

NHK「うつ病治療 常識が変わる」

=(3)プロローグ(2)
 =うつ病の薬物療法の問題点、限界、今後の新しい治療法と新しい支援の方向のまと め

 NHK取材班による「うつ病治療 常識が変わる」(宝島社)から、日本のうつ病治 療の現状をみます。

「プロローグ」(2)

 最初に「プロローグ」がある。これは、本書の要約になっている。

薬が多すぎて薬の副作用が加わりかえって長引くケースも

 薬が多すぎる、1人の患者さんに対する診断が医者によってまちまち、薬も違う

NHK取材班の言葉(本より)

 杏林大学の教授、田島浩さんからみて、精神科医の診断や薬の投与が不可解なありさ ま。
 同じ1人の患者が同じ症状を訴えて5箇所まわったら、診断と処方薬がまちまちだっ た。診断が違えば、処方する薬が違う。「プロローグ」の言葉である。
 (1)診断の違い、(2)薬が多すぎて、患者の精神状態に薬の影響があり、うつ病本来の 症状との区別がつきにくくなって、「病気が治らない」ようにみえる現象が起こってい る。薬の重複投与によって身体、精神に影響して、「治らない」ように見えているかも しれない。

<多すぎる薬のために心と体に変調が、それをうつ病の症状と誤解してまた増薬、悪循 環>
 「医師が少し鈍感になってしまっている。”うつの人だからこのくらい出して当り前 だ”と。抗うつ薬は、今の医師が思っている以上に色々な心の働きに影響する薬ですの で、適切に使わないと、患者さんの病状だと思っているものが、実は薬による影響だっ たということも、かなりあり得る。そのくらい強力な薬なんです。 ですから、うつ病というものの見立てとか、薬の役割とか、そういう根本的なところも 考え直さないといけない」(P2)

<薬を異常に多く出す医者がいる>
 「なかでも問題なのは、処方された薬の種類と量が初診の患者に出すものとしては異 常に多いことだと、田島さんは指摘する。 さらには、そもそも日本の精神科医の多くが、抗うつ薬を安易に処方していると警告し ている。症状が良くなえあなければ、薬の量も種類も増やしていく。「多剤療法」 と呼ばれているが、これは日本独特の治療法だという。「抗うつ薬の投与は基本的 に1種類 」というのが、国際的にも共通の大原則なのだが、これが守られず、多くの場合、 症状をかえって悪化させてしまうケースが少なくないと、田島さんは主張する。 」(P2)

 田島さんは、多剤を投与されて長引いている患者については、薬の種類も量も少しづ つ減らしていく。一度薬の影響を取り除いて、本来の症状をみきわめて、適切な薬を処 方する。そうすると、数年も治らないといっていた人が治る。(後述、1章)

(ここから大田のコメントです)
 うつ病がなかなか治らない人がいるのだが、うつ病本来の症状+多くの薬の影響による症状 (副作用)があるケースがあるというのだ。このうちには、 薬を減らして、1種類の薬を適切に処方すれば治るひとがいるというのだ(田島さん) 。そうすると、医者の多剤処方をやめることや、治療技能をあげることが必要だ。 技能不足の医師もいるという。大学で精神科を詳しく勉強しないで開業している医師も いる。(→第2章 クリニック乱立の闇)
 また、アメリカの調査では、3割は薬の効果がないわけで、日本でもこういうケース にいつまでも薬物療法のみが続けられることが多いだろう。公的保険のために無制限に 処方される。 いったん寛解になった人に再発予防のために、服用し続けるというのは、別なケースで 、理由がわからないわけでもない(これさえも心理療法を併用すれば薬をやめることが できるケースが多いだろう)。だが、薬の効果がない人に薬物を投与し続けるのはおか しい。長期間には副作用もある。何かあれば悪化して自殺も起きる。他の療法、たとえ ば、心理療法が提供されれば治る可能性のある人もいるはずだが、医者はその心理療法 を知らない。薬を服用しても治らない患者が出てくる。アメリカでは3割、日本のうつ 病治療も同様だろう。こういう人の中から自殺も起きるだろう。アメリカでは、心理療 法が発達していることもあるせいか、自殺率が日本ほど高くない。
 自殺対策には、この問題が考慮されるべきだ。医者の診断スキルと治療スキル不足、 多剤療法の問題。心理療法もあるが、イギリスのように、政治家が革命的な考えで心理 療法者の育成でもすすめないと心理療法は普及しそうもない。(→第4章)。
NHK「うつ病治療 常識が変わる」
  • <目次>序節=テレビ報道の内容とほかの情報を加えた本が出版された
     これまで、うつ病の啓蒙本やマスコミで紹介されたものはうつ病の”真実”ではなかった。隠されていた情報が公開され、これからは、これがうつ病の”常識”となる。
  • (1)本の目次から=医者、カウンセラーだけではうつ病を治せない
     ”不適切”な投薬 、クリニック乱立の闇 、抗うつ薬の死角 、心理療法の壁 、うつからの生還、うつ病治療の新しい”常識”
  • (2)プロローグ(1)=抗うつ薬治療は5割が再発、3割が効果なし
     =うつ病の薬物療法の問題点、限界、今後の新しい治療法と新しい支援の方向のまと め。そのうち、長期間の追跡調査で、抗うつ薬で軽くなっても5割が再発、効果のない のが35%
  • (3)プロローグ(2)=薬が多すぎて薬の副作用が加わりかえって長引くケースも
  • (続)

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Posted by MF総研/大田 at 21:15 | 自死防止 | この記事のURL