心理療法・2種を使い分ける(4) [2009年09月02日(Wed)]
◆配偶者、子ども、子どもの配偶者、孫などを
薬物依存症、心の病気、犯罪者にしないために
知っておくほうがいいこと、自分を変える方法のこと。
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心理療法・2種を使い分ける(4)
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患者ならば目標が明確な心理療法を選ぶだろう
精神分析療法や認知行動療法、さらに新しい第3世代の行動療法のちがいについて述べ
ています。実際、種々の問題で苦悩する人は、その心理療法、カウンセリングで治る可能
性の高さが重大な関心事のはずです。自分や家族、友人が心の病気になっている人は切実
なはずです。治るかどうかわからないカウンセリングには時間やお金を使いたくないとい
うのは、患者、クライエントにとって自然の気持です。
行動分析の人からは、精神分析派との違いを指摘しています。
「他の臨床学派の悪口を言うのは好みませんが、説明のために一例を挙げましょう。応
用行動分析の訓練を受けた臨床心理士が精神分析やその他のアプローチのケース検討会に
参加すると、よく次のような感想を持つようです。
そうしたところでのケース報告は解釈ばかりで、その解釈のもととなっているであろう
こと、実際に臨床場面で何をしてどうなったか、が語られないので、その治療がよかった
かどうかの判断もできない。」(『行動分析』ミネルヴァ書房、はしがき)
(注)ただし、行動分析は、よく知られるようになった「認知行動療法」とも違うと言っ
ています(71頁)。そこで、心理療法には、精神分析派(精神分析と傾聴)、認知行動療
法派、行動分析学派、ほかのマインドフルネス心理療法派、森田療法などがあることにな
ります。ここまで細かく区分すると、うつ病の治療に高い効果が認められているのは
、認
知行動療法、マインドフルネス心理療法(そのうちの一部=シーガルらのマインドフルネ
ス認知療法、マインドフルネスをとりこんだ行動活性化療法、弁証法的行動療法など)の
ようです。
過敏性腸症候群(IBS)の研究をしている福土審氏は、IBSも心理的ストレスで悪化する
ので心理療法が有効であるが、それは認知行動療法であるという。精神分析派と認知行動
療法派とはかなりちがっていて、仲が悪いという。
「フロイトとパブロフの時代から、精神分析を扱う者と行動を扱う者は伝統的に不仲で
ある。米国でもそうであり、心理学に限定しても、精神分析派と行動派は相容れない。」
(『内臓感覚』NHKブックス、166頁)
前の記事では、精神分析医と認知行動療法医とがお互いに協調しあういい関係が記述さ
れていたが、あれは欧米のことである。しかも、理想、希望である。日本では、無理かも
しれない。心理療法を公的保険の対象にするのは無理からぬことと思える。うつ病、不安
障害などを心理療法で治して自殺防止に貢献していこうという方針に難しい影がたちこめ
ている。どこでも、うつ病、不安障害、依存症などで認知行動療法のカウンセリングを受
けられる仕組みを作るというのは非常に難しい。なぜなら、うつ病などが治るかどうかが
期限目標もなく、効果が高い率で確認されていない心理療法、カウンセリングが日本に多
いが、それを健康保険の対象にしたら、予算が無尽蔵でないと成り立たないだろうから。
認知行動療法だけを保険の対象にしようとすると、多くのカウンセラーが反対するだろう
。「うちの心理療法も対象にしてくれ」と。それぞれ、事情があり、貢献できるとほこり
を持つから当然のりアクションである。心理療法の健康保険の対象になるのはいろいろ難
しい問題がある。
だが、心理療法がうつ病、不安障害、心身症(IBSも)などに有効であることは世界
の常識となりつつあり、日本の医療現場でも認知行動療法に期待が出てきているという。何とか、認知行
動療法の臨床心理士が報われる仕組みを作っていただきたい。それで救われる国民は千万
人規模だろう。心理療法でなおれば、薬物療法が終る。薬物療法による保険の圧迫には改善材料となる。
当事者、家族が運動を起こしてほしい。
(なお、医療モデルではない領域には、精神分析、傾聴型のカウンセリングが有効であり
、その重要性は今後も変わらないだろう。医療モデルの心理療法が普及していないことが
種々の社会問題を増加させている。)
うつ病、不安障害、心身症などの治療にはどちらを選ぶか。
「あなたはどちらの治療法を選ぶだろうか。おわかりだろうが、治療法Aは精神分析の
考え方、治療法Bは行動療法の考え方である。それぞれ一長一短はあるが、日本の医療の
趨勢は最近、Bの考え方に傾いており、また米国では、Bの考え方がすでに非常に強くな
っている。それは自分を患者の立場に置いてみれば自明であろう。いつまで時間がかかり
、金銭的にもどうなるかがわからないAよりも、はっきりした確率で有効であると言える
治療法のBのほうが好まれるのである。もちろん、Bに冷たさを感じ、Aに人間的な温か
みを感じる人もいるだろう。それを一方的に否定するものではない。」
(『内臓感覚』NHKブックス、167頁)
⇒AとBの内容はこちら
解釈者、評論家ばかりではいけない。治す人がいなければいけない。
解釈あって、治療技法が明確でないならば「学問」であっても、「医療」にならない。今
の日本は、治療法を必要としている。
これは、善良な宗教にも言えるだろう。宗教の歴史研究、思想研究ばかりがはなやかでも
、現代の国民の現実の苦悩(うつ病、不安障害、自殺、家族の不和など)を持つ人に直接
教えて解決に導く人がいないと、苦悩する多数の国民には無用の研究に見えてくるだろう
。開祖の思想、宗教実践が、現代の国民の苦悩をいかにして救済できるのか。心理療法の
学者も宗教学の学者もそこが求められているのではないか。
心理療法にも2種ある。どこまでも話しをよく聞いてくれるカウンセリング、これはさ
みしい人、症状がひどくない人、金(カウンセリング料)や時間がいくらでもある人には
好まれるだろう。いついっても自分の話しを聞いてくれる。「ああしろ、こうしろと言わ
ない。やさしい。温かい。」
逆に、やさしさ、あたたかさよりも、治りたい、復帰したい。そのためには、どうした
らいいのか教えてくれ。厳しくてもしかたがない。治りたいのだ。時間や金に限度がある
人は切実だろう。患者の立場で、患者の利益になるような支援がまだまだできていない。
がんや他の難病の領域は患者、家族がかなり勉強して、支援を求めて行動している。うつ
病、不安障害も3年治らないならば難病、難治性である。
患者の利益からみれば、薬物療法、精神分析、認知行動療法のどれでも、どこでも患者
が選択できるのがいい。
患者、家族も勉強して、行動したらいい。声をあげないと、いらないのだなと無視される
。
精神分析療法(傾聴型)と認知行動療法(積極的課題提供型)
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Posted by
MF総研/大田
at 11:09
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新しい心理療法
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