虐待の傷は癒えるのか [2009年07月05日(Sun)]
NHK「虐待の傷は癒えるのか」NHK総合テレビ(4日)「追跡A to Z」で「虐待の傷は癒えるのか」というテーマで報道しました。「現在、大きな社会問題となっている児童虐待。相談件数は年々、増加の一途をたどっている。 しかし、虐待の現場から救い出されても、子どもたちがすぐに苦しみから解放されるわけではない。虐 待によるトラウマが襲いかかる。 カメラは長崎県にある施設に密着。 そこは、いわゆる児童養護施設や里親では対応が難しいほどの深い傷を心と身体に負った子どもたちが 、九州の他県からも入所し暮らしている。子どもたちにとってはまさに「最後の砦」のような施設だ。 今回、初めて長期にわたって撮影が許された。虐待という凄惨な体験をした子どもたちが、柔らかな心 を取り戻し、親や大人との関係を再びつくることは可能なのだろうか。そしてそれには何が必要なのだ ろうか。 番組では施設での日々の出来事と、子どもたち、施設の職員、親の生の声を丹念に記録。激増する「虐 待」の実態と、再生の可能性を描き、大人の責任で深く傷つけられた子どもたちの存在を、社会に問い かける。」(以上、NHKオンラインより) 保護された子どもは、18歳まで施設で暮らして社会に出ていく。それまでの間に、トラウマを乗り 越えるように支援される。このような領域においてもマインドフルネス心理療法は貢献できると思う。 低学年にはマインドフルネス心理療法のトレーニングは難しいかもしれないが、15歳〜18歳くらい ならばできるかもしれない。また虐待を加えた親の側に反省があって、親も変わりたいという人があれ ば、できるだろう。 マインドフルネス心理療法の中核はマインドフルネス、アクセプタンス、ストレスや感情の処理であ る。うつ病は不満や嫌悪の感情、不安障害は不安の感情の対処が焦点である。 虐待を受けた子、虐待する親にあるものも、怒り、不安、不満などが関係している。 施設を出てからも、人生の試練に出会う。種々のストレスから感情的になる出来事がある。感情の対処法をトレーニングしておくと、反応が違ってくるだろう。 すでに色々な心理療法的な手法が試みられているが、マインドフルネス心理療法も応用できるだろう。 怒りも一時的であり、1、2分の時間の経過で弱くなっていく。その間、無評価で観察するトレーニン グをする。難しいからといってやらないと、社会で生き抜いていくことが難しい。自分が子どもを持っ た時、(他の人なら激しい感情までにはならないような)不満や怒りから、虐待を再生産するかもしれない。 アメリカのリネハンの弁証法的行動療法は、怒りのコントロールの心理療法であり、他の心理療法者 も「トラウマ」や家族の不和の治療にマインドフルネス心理療法を用いている。 人生上のいつかは、感情の処理のトレーニングをして感情を爆発しないで賢明な行動をしなければ、つらい人 生になる。虐待の支援に関わる施設でマインドフルネス心理療法を応用していただくのはいいことだと 思う。私はうつ病、不安障害、自殺予防、認知症や介護予防に適用している。感情の対象や種類が違う ので、そのままは適用できないが、感情の対処法が中核の心理療法である。虐待の周辺にあるのは、広い意味での感情だろうから、応用できる と思う。 アクセプタンスは不快事象の受容であるから、種々の領域で貢献可能である。薬物依存、アルコール 依存の離脱症状の不快さ、抗うつ薬の長期服用からの離脱の不快さ、非行犯罪の再犯予防の領域にもあ るに違いない(アメリカの心理療法者は適用している)。 そもそも、依存物、非行犯罪に手をだすのが、不満、怒り、不安などの感情をまぎらすためであろう。源流の感情処理が大切である。 統合失調症の人が寛解にいたっている間の感情的な出来事による再増悪の予防のためのトレーニングの研究も 価値ある領域である。学校におけるいじめも加害者の不満、怒りのはけぐち、他者の苦しみを共感できないという感情のつらさと対処法の無理解などがあるかもしれない。 その領域に詳しい人たちによって、特定領域へのマインドフルネス心理療法による治療または予防の プログラムが研究開発されることが望まれる。 <目次>虐待の防止、虐待からの克服 |


