澄める心・心深き底 [2007年01月29日(Mon)]
死刑囚・島秋人さんの歌について触れた記事が人気記事ランキング52位になった。
古い記事ですが、ブログの読者のみなさんが掘り起こしてくださった。
こころ在るとは 識らず来て 刑死の明日に 迫る夜温し
(『自覚について』 西田幾多郎哲学論集3 岩波文庫、347頁) 島さんの「澄めるこころ」は、西田の「心深き底」と同じところをさしているのではな いか。 他者をいじめる子、いじめられて自殺する子、家庭も学校もつらくて自傷する子、非行 犯罪を犯す子、大人、種々のストレスで心を病む大人、自殺する大人・・・・。 こんな人たちにも、「澄めるこころ」「心深き底」がある、と島さんや西田が教えてい るのではないか。 西田の哲学を子どもに教えるのは難しい。しかし、アメリカのマインドフルネス心理療 法は、心理療法として、「澄めるこころ」「心深き底」にせまりつつあると私は思う。 アメリカで、マインドフルネス心理療法を受けた人たち(患者)が、新しい自分に気がつい た言葉を発しているからだ。西田が「直観」といっているが、直接体験を観察するマインドフルネス(注意集中=思索に移らず感覚、感情などを観察する)が関係ありそうだ。 心理療法、カウンセリング技法ならば、子どもでも「澄める こころ」「心深き底」に近づくことができそうだ。島さんや西田ほどに「底」まで達す ることは無理でも、かなり深いところまでゆくことができそうだ。 いじめられて苦しんでいる子、家庭が不幸で誰も信じられなくなった子、つらくなって 自己を失って自傷する子、そういう人たちにも、みな、「澄めるこころ」「心深き底」 があると教えている人たちがいる。大人がどんなに悪くても、自分はそれに負けてはいけな い、やけになってはいけない、家庭が不幸でも、自分の澄める心に気がついて、無茶なこ とをせず、なんとか、自立できるまで生き抜いてほしい。そんなことを、大人が支援すべ きではないのですか。西田は、こんな歌も歌っている。
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