「人口変動の新潮流への対処」事業とは
世界の人口構造は、先進諸国の少子高齢化、発展途上地域から先進諸国へと労働者の移動、労働者の移動にともなう家族の移動、新しいコミュニティの形成などにより、ダイナミックに変化しています。そのただ中において、日本は世界でも少子高齢化が進行している国のひとつであり、実態として労働力不足を補うために、社会の中に外国人労働者が存在しています。
その可否をめぐっては、国内の女性や高齢者の活用や、外国人を受け入れている地域の課題と展望などが、十分に客観的に検証されないまま、さまざまな議論が展開されています。2030年までに労働力人口が1070万人も減少すると推計されている日本では、外国人労働者の導入は不可欠との見方もある一方で、アジアの各国で少子高齢化が進むなか、いつまでも必要な労働力を海外から得られるとも限らない状況にあります。
このような現状を鑑みて、私たちは今後、人口構成の変化にどのように対処すべきかを検討するプロジェクトをはじめました。最終的には日本の外国人労働者の受け入れはどうあるべきかという政策提言へつなげることを目的としています。
第1分科会 「人口構成の変化と労働市場」
日本の少子高齢化による人口の減少が、労働市場に及ぼす影響を検証します。女性や高齢者の活用、海外へのアウトソーシング、労働生産性の向上などの代替策を検討すると同時に、外国人労働者に関する様々な議論を客観的に整理します。はたして新たな労働力を外国から導入する必要があるのか否かという抜本的問題を念頭に置きながら、日本の人口構成の変化と労働市場を捉えなおします。
第2分科会 「移民政策の国際比較」
多くの先進諸国では、経済力の維持向上を目的に外国人労働者の導入を図る入管政策と、あわせて定住者に対する社会統合政策を打ち出しはじめています。一方で、送り出し国も積極的な戦略のもとで人材の育成と送り出しを始めているなど、移民政策の最新動向を追います。また、単に制度の国際比較にとどまらず、制度と実態のかい離に踏み込み、特に、近年、注目のあつまっている看護・介護部門に言及します。
第3分科会 「多文化共生・社会統合」
移民政策を巡っては出入国管理に注目が集まりがちですが、ここでは移民の受け入れ後に焦点を絞り、外国人住民への自治体施策のあり方や、地域住民・NPOによる社会統合および多文化共生の取り組みについて、国内外での取り組みを分析します。外国人住民のニーズと提供されているサービスの現状から、地域マネジメントのモデルを構築し、地域のあり方のモデルを提示することを目的としています。
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