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Handbook: The Foreign Laborer and the Social Integration Policy of Japan [2010年02月10日(Wed)]
In January 2010, The Sasakawa Peace Foundation published a handbook entitled ‘The Foreign Laborer and the Social Integration Policy of Japan’, one of the fruits of the research conducted under the ‘Global Demographic Change and Labor Migration in Asia’ project. This handbook is comprised of three chapters, ‘Changes in population composition and the labor market in Japan’, ‘International comparison of migration policy in Asia’, and ‘Social Integration and Multicultural Community Building Policies in Japanese Communities’.

Here we provide the chapter ‘Social Integration and Multicultural Community Building Policies in Japanese Communities’ in English translation. The summary and full content of the chapter are available for download in Adobe Acrobat Portable Document Format (PDF) via the link given below.
・Summary (100BK)

・Full-Content (678BK)

Copyright © The Sasakawa Peace Foundation
The Nippon Foundation Bldg., 4th Fl. 1-2-2, Akasaka, Minato-ku, Tokyo, Japan
http://www.spf.org/e/

For inquiries about the original handbook (Japanese language only), please contact us.
jinkou@spf.jp

*Our Project Overview is available here.
『外国人労働者問題をめぐる資料集1』発行 [2010年02月08日(Mon)]
「人口変動の新潮流への対処」事業 2008年度研究報告
『外国人労働者問題をめぐる資料集1』 発行のお知らせ


 2010年1月、これまで長く議論されながら、総合的な見地から示される資料が少なかった「外国人労働者問題」をめぐる諸データや論点の整理を試みる資料集を発行しました。

 とどまる気配のない少子高齢化や、昨今の経済状況、雇用の急激な悪化を背景に、今こそ、外国からの人の受け入れをめぐって堅実な議論が必要とされています。

◆第1部では、日本の人口変動と外国人登録者数、その地域差や国籍、
 滞在資格、産業別の現状をデータで俯瞰し、これまでの外国人労働者政策、
 論争の推移や研究を整理しました。

◆第2部では、中国、フィリピン、インドネシアといったアジアの主要な送り出し国を
 網羅する調査を行い、アジアにおける送り出し・受け入れ両サイドの移民政策の
 国際比較を試みています。

◆第3部では、日本国内の地域特性に応じた社会統合施策の必要性を調査し、
 外国人を短・長期滞在の労働者としてだけでなく、住民としてとらえる統合モデルを
 論じています。

 ひとつの国家内だけの議論ではもはや完結しえない国際移民について、包括的に、且つ、地域や産業別の現実にも根差した議論ができる基礎となる資料を提供することを目的に編纂しました。

 本書は、3年間にわたる研究プロジェクトの1年目の研究報告にあたります。

 笹川平和財団は、国内の急激な人口構成の変化、大きくなる国家間の労働力の流動性とその影響を背景に、2008年「人口変動の新潮流への対処」のための研究会を立ち上げ、3年計画で外国人労働者問題をめぐる包括的な研究を開始しました。
 上記の3分野についてより調査を深めた2冊目の資料の発行も近日予定しており、将来的な移民・社会統合政策の制度設計に資するシミュレーションや、政策提言へとつなげていきます。

*  *  *

※現在、品切れのため、PDF版をご利用ください。 



<問い合わせ先>

 笹川平和財団 「人口変動の新潮流への対処」事業事務局
 電話番号 03-6229-5443  
 FAX番号  03-6229-5473
  Email  jinkou@spf.or.jp
【国際シンポジウム】「社会統合政策の課題と挑戦 ― 新たな理念と役割を求めて」開催報告 [2010年02月05日(Fri)]
 2010年1月14日(木)、日本財団ビル2階において、国際シンポジウム「社会統合政策の課題と挑戦 ― 新たな理念と役割を求めて」を開催しました(当日プログラムはこちら)。昨年度、ご好評いただいた国際ワークショップに続き、「人口変動の新潮流への対処」事業の2年目企画です。アジア、EU、日本の地域から社会統合政策の専門家や実践の現場にいる担当者をお招きし、約140名の方にご参加いただきました。

 冒頭の挨拶では羽生会長より、「日本では少子高齢化の問題よりも、移民の社会統合について国民的にも政治家の間にも、コンセンサスがないことが課題である」と語られました。「異民族間の結婚率が外国人の社会統合を示す指標であるというエマニュエル・トッド氏の説を採用するなら、1975年から2007年までの間に、結婚数全体に占める国際結婚の割合が0.6%から5.6%にまで増加した日本は間違いなく外国人受け入れの方向に向かっていると言える。その時に備えて、笹川平和財団は東アジアにおける人口問題の研究センターを目指したい」と、大きな事業の方向性が示されました。


第1部 多様な展開を見せる社会統合政策―EUにおけるダイナミズム


 第1部は、安里和晃笹川平和財団特別研究員・京都大学大学院准教授より、「外国人登録者数が200万人を超えた日本では、『外国人を入れる』『入れない』を議論する時期は既に過ぎている。どのように受け入れるかをEUやアジアの社会統合の経験から学ぶことが今の私達に必要だろう」と、今回の国際シンポジウムの趣旨を確認する講演から始まりました。

 続いて欧州評議会文化政策・多様性・対話部長Irena Guidikova氏から、住み分け型の多文化主義や同化のマイナス面を排除した社会統合モデル、インターカルチュラルシティ・モデルについてお話いただきました。移民のもたらす多様性が都市の活力となるという新しい概念です。OECD国際移民部政策アナリストJonathan Chaloff 氏は、世界の労働力移動・その賃金の傾向について述べ、社会統合過程に問題があって移民の能力が活用されなかったり、移民の子供たちの世代が受け入れ社会でチャンスを得られないという状況を避けるために必要なことをOECDの提言として紹介されました。


第1部ファシリテーター:小川全夫氏  第2部ファシリテーター:明石純一氏  

 昼食休憩をはさんで第2部の開始にあたり、ファシリテーターである筑波大学助教明石純一氏より、昨年日本の入管法が20年振りに大きく変わったことが言及され、まだ、真正面からの移民政策を持たない日本にとっては受け入れの先輩にあたるアジア諸国から学ぶことは多いのではないかという期待が語られました。

 距離は欧米より近くても、あまり知る機会のないアジア諸国の社会統合政策には参加者から驚きの声も。シンガポール大学アジアリサーチ研究所シニアリサーチフェローLai, Ah-Eng教授から説明されたシンガポールのユニークな多文化主義について、台湾大学社会学部Tseng, Yen-Fen教授と韓国培材大学社会学部Lee, Hye-kyung教授からは、それぞれ台湾と韓国でともに増加している結婚移民への社会統合政策が解説されました。女性の社会進出が急速に進展している一方で、社会が外国人女性に対して、「よき妻」「よき母」「よき嫁」であることが最も重要であるかのように押し付けかねない言語施策、統合施策について、両氏から警鐘が鳴らされ、移民の女性化がはらむ複雑な課題が浮き彫りになりました。


第2部 アジアにおける社会統合政策の胎動


 第3部では、地方自治体の社会統合・多文化共生担当者や労働組合というコミュニティから現場の声を聞くことができました。デュースブルク市岐阜県美濃加茂市は外国人が集住している地方都市という共通点があります。デュースブルクはかってはドイツ有数の工業都市でしたが鉄鋼産業の衰退ともに移民のゲットー化が社会問題化し、現在は生き残りをかけて、移民の持つ異文化の力を活用しようとしています。市統合局長Leyla Oezmal 氏は、自身がトルコ系移民2世でもあり、移民の子供への教育、社会参加の機会の重要性を熱く訴えました。美濃加茂市からは、日本が国としての社会統合政策を持たない中で、自治体が先駆的に外国人住民と地元住民との相互理解や課題解決に奮闘してきた事例を、坂井嘉巳氏(美濃加茂市市民協働部生涯学習課課長兼中央公民館長)よりご紹介いただきました。
 オランダのアバカボ労働組合連盟政策アドバイザーMarco Borsboom 氏からは、オランダにおける医療・福祉分野に従事する移民受け入れの経験について、好況期の人材不足の時期から、移民を実現するための「三国間協定」の試み、またその後の経済状況の変化と見えてきた課題について実状をシェアしていただきました。


第3部 多様な主体が推進する地域の社会統合


 最終討論では、フロアの参加者よりいただいた多くのご質問をもとに意見交換をおこない、過ぎてゆく時間を惜しみながらクロージングを迎えました。今年も、多くの皆様から当プロジェクトの最終年度にあたる3年目に向けて、確かな示唆をいただきました。


ほぼ満席の会場と最終討論