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2009年度 臨時事業委員会 &国際シンポジウム開催予告 [2009年11月13日(Fri)]
 10月13日(火)に2009年度「人口変動の新潮流への対処」事業第2回目の事業委員会を、11月10日(火)に臨時事業委員会を開催しました。両委員会をつうじて本年度の国際シンポジウムの開催が議論されました。

 下記のとおり、開催が決まりましたので、ご案内いします。
(12月20日改訂)


※より最新のプログラム情報はこちらに掲載しました
https://blog.canpan.info/jinkou/archive/23

笹川平和財団主催 人口変動の新潮流への対処事業 2009年度国際シンポジウム

社会統合政策の課題と挑戦―新たな理念と役割を求めて

【日 時】  2010年1月14日(木) 10:00〜17:30

【場 所】  日本財団ビル2F

【参加費】 無料

【参加申込・問合先】笹川平和財団「人口変動の新潮流への対処」事業 事務局
             TEL:03-6229-5434 E-mail: jinkou@spf.or.jp


1.社会統合政策についての多様な考え方を知る

2.社会統合政策における政府と自治体の役割について検討する

3.国際比較を通して各国の状況や問題点を知り、
  日本の置かれた状況を理解する

4.人の国際移動に関する多国間協調の可能性について考える


ご期待ください。

※より最新のプログラム情報はこちらに掲載しました
https://blog.canpan.info/jinkou/archive/23
【勉強会】韓国における社会統合及び多文化共生に係る政策について [2009年07月27日(Mon)]
 第2分科会は移民政策・社会統合政策の国際比較を行っています。この日の委員会の後、国立国会図書館より白井京さんをお招きし、勉強会を持ちました。国会図書館は日本で唯一の国立中央図書館であると同時に、国会の為の図書館という機能を持ち、立法に役立てる資料として他国の法律・制度を調査しています。

<第1回 第2分科会勉強会>

「韓国における社会統合及び多文化共生に係る政策について」
白井京氏(国立国会図書館 調査及び立法考査局 海外立法情報課)



韓国の多文化共生の背景とその政策的な推移

 2007年、短期滞在者を含めて韓国内にいる外国人の数が100万人を超えた。韓国の人口は5000万人弱、100人に2人が外国人。その比率は欧米などよりは少ないが、80年代の韓国と比べると急激に外国人は増加している。2009年は120万人という数字が法務部から出されている。

 在韓外国人は、単純労働者と農村地域の男性と結婚した「結婚移民」といわれる外国人女性の大きく2種類に分けらる。農漁村では男性の結婚難があり、新しく結婚する人の3分の1は国際結婚という状況がある。

 外国人政策について、大きなターニングポイントとなったのが雇用許可制の導入である。それまでは日本と同じ様な研修生制度だったが、2003年盧武鉉政権が外国人労働者を正規の労働者として受け入れようという提言を打ち出し、2004年8月から雇用許可制がはじまった。中小・零細規模の製造業では韓国人の若者が就職しないため、外国人労働者が活用されている。

 外国人の単純労働者の受け入れが制度化されたことで、それまでのブローカーの高額な斡旋料が禁止され、外国人の労働者としての権利も一定保護されるようになった。金大中、盧武鉉とリベラルな政権が続き、人権に関心の高い386世代が社会の中心となってきた時代も背景もあり、外国人の社会統合、多文化な社会づくりへ大きくシフトしている。

多文化共生の2つの法律

◆「在韓外国人処遇基本法」(2007年7月施行)

 外国人政策の策定及び推進体制の設置について定めている。5年ごとに「外国人政策基本計画」を策定し、各行政機関・自治体が年度ごとの施行計画をつくる。国務総理の下に「外国人政策委員会」を設置。在韓外国人の処遇について、努力規程ではあるが、人権養護、多文化理解の推進、公共機関での外国人への便宜、外国人支援の活動をしているNGOへの支援等をおいている。

◆「多文化家族支援法」(2008年9月施行)

 この法律は多文化家族の構成員の安定した生活、社会統合のため、実態調査の実施や差別の予防、DV被害者の支援、産前産後の支援、教育支援などを定めている。背景に国際結婚の増加がある。結婚数全体の11.9%が国際結婚であり、特に一次産業に従事する新婚男性の21%は国際結婚である。それにともなって、家庭の中に多文化な背景をもつ子供が増加している。小中学校に通う多文化家族の子供は18,778人(2008年4月現在)。2年前に比べ倍増している。
 両親が外国人である家族は支援の対象ではなく、親の片方が韓国人である子供が将来、韓国人として国に資する人材となれるよう支援することを目的としている。

メディア・政界の姿勢

 現在のところ、韓国内のメディアの論調は右派も左派もそろって「多文化共生」には賛成の姿勢を示している。先の大統領選挙における各候補者の主張する施策を比較しても、外国人については「受け入れを進める」という点では違いが無かった。主張の理由には若干違いがあり、盧武鉉政権の後継候補者は「少子化対策」、「人口対策」の側面から、李明博は海外の高度人材、中小企業に必要な労働者の確保という実用主義的な側面から、それぞれ外国人の受け入れには積極的であった。
 李明博政権になってから、移民をマネジメントする視点は強くなったともいわれるが、韓国が多人種多文化社会であることを認めようという動きについては、逆戻りは見られない。

 2009年6月18日、与野党議員37名が集まった「国会多文化フォーラム」で、多文化基本法についての提言が行われた。国会議長が「政治の最もおおきな責務は社会統合である。」発言し、政界において移民の社会統合を議論するのは当然の責務であるといっている。

(文責/聞き手・事務局)

※京畿道安山市「外国人住民センター」のモニュメント。写真は事務局メンバーが撮影。
2009年度第1回 事業委員会 & 農業勉強会(1) [2009年06月18日(Thu)]
 5月8日(金)午後2時より、2009年度、第1回目の「人口変動の新潮流への対処」事業 事業委員会を開催しました。

 本年度は3年間にわたるプロジェクトの2年目にあたる事業の根幹となる一年です。昨年度から継続する3つの分科会(「人口構成の変化と労働市場に関する分科会」、「移民政策・社会統合政策の国際比較を行う分科会」、「多文化共生・社会統合に関する分科会」)に加えて、多くの外国人が従事する農業分野について実態の一端を明らかにする「農業勉強会」と、低経済成長時代の社会統合政策についてEU地域から学ぶ「EU勉強会」を設けることになりました。

 同日、午後4時より、東京大学大学院農業生命科学研究科 安藤光義准教授をお招きし、第1回目の農業勉強会が開催されました。

<第1回 農業勉強会>

「農業における外国人労働力導入の実態
 ―茨城県・大規模畑作経営の事例から―」 安藤 光義(東京大学)


 茨城県は日本有数の畑作地帯であり、農地制度や農家の相続についてご専門にされている安藤先生は、農家へ調査にいくと必ずといってよいほど外国人労働者を見かけたことから、農家における外国人労働力についての調査を行われました。農家への聞き取り調査を中心に、まずは、外国人労働力導入の是非を論じるのではなく、価値判断なく現場の実態報告をいただきました。

“以前は、農繁期には近隣農家の家族の女性や学生アルバイトが活用されてきたが、農家の家族の高齢化も進み、労働力として確実に働いてくれる人材を確保することは多くの農家にとって容易なことではなくなった。一方、家族経営が中心であるとみなされてきた農業分野でも、特に園芸農家において常雇の労働者の雇用が増えていることが先行研究で指摘されている。この場合は、家族労働力が足りないから常雇いを入れているわけではなく、農家の経営拡大のために雇用労働者を増やしている。かつてのイギリスの資本家的農業経営は雇用型経営の典型だがそれは膨大な農村過剰人口が存在していたある歴史的な時代の一時点の産物であって、その後は家族経営に戻るといわれてきた。しかし、今、日本でおきている農業の雇用経営への変質の動きをどのようにとらえたらよいのか。そこで雇用されている労働者の性質をみていくと外国人労働力の存在が大きい。

 農繁期の日雇い労働力として重宝されている外国人(聞き取り先の多くではインドネシア人)、常雇として雇用主にとって安定した労働力となる研修生・技能実習生(多くは中国人)は既に日本の野菜産地の戦力となっている。今後、外国人労働力の導入を前提とした農業の大規模化が展開されると、日本農業の構造に大きな影響を与える可能性がある。また、国内の若年失業者との関係の整理や、現行の制度のまま外国人労働力を受け入れ続けるのかということが大きな問題となるだろう。”

(文責/聞き手・事務局)