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【コラム】人口減少社会の在り方を模索 [2010年07月30日(Fri)]
【「人口変動の新潮流への対処」事業 事業委員 短信8】
Matsushita Namiko
松下 奈美子
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一橋大学大学院社会学研究科後期博士課程在籍中。2003年慶應義塾大学法学部政治学科卒業、2005年慶應義塾大学大学院法学研究科修了。2007年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。大学、大学院では国際政治学の視点から主にベトナムやフィリピンの外交政策や、労働力移動について研究。現在はアジア地域における国際労働力移動を中心に、IT技術者や留学生など高度外国人人材の受け入れ政策について研究を行っている。
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「人口変動の新潮流への対処」事業第1分科会委員


 先進諸国の人口減少が話題になって久しいが、とりわけ日本では2005年以降に少子高齢化の問題が表面化したように思う。それは、当初2006年に初めて日本は人口減少社会を迎えると予測されていたが、実際には1年早い2005年から日本の人口は自然減に転じたからである。国立社会保障・人口問題研究所が2006年に発表した推計では、2050年に日本の人口は9500万人程度になるとされている。人口が減少することそれ自体が問題ではない。

 日本が抱える深刻な問題は、人口構造が非常にいびつな形になることである。日本はすでに世界一の長寿国であるが、高齢者を支えるだけの働き手が生まれないことにある。世代間扶養による社会保障という考えは、多数の働き手の存在を大前提とする。総務省統計局の発表によると、2008年末の日本の人口は外国人も含めて1億2769万人(日本人だけでは1億2594万人)となっている。このうち、15歳から65歳未満の労働人口は8230万人で、65歳以上の老齢人口は2821万人なので、約4人の働き手が1人の老人を支えていることになるが、これが2055年になると、労働人口が4595万人になり、老齢人口が3646万人となり、約4人で3人の老人を支えることになり、単純に働き手の負担は3倍に増加する。さらに悲観的にならざるを得ないのが、子供の数の減少である。15歳未満の人口数は1717万人から751万人にまで、大幅に減少すると予測されている。
 
 日本政府の現状の少子化対策のための一連の施策はすでに生まれた子供に対しての施策でしかないように見受けられる。今後も現在と同じような経済規模、水準を維持したいのであれば、より積極的な多産奨励政策が必要となるだろう。

 少子化対策とは別に、労働人口にかかる扶養負担を減らすことが可能な政策が外国人受け入れ政策であると考えている。すでに日本政府が20年近く掲げているもののほとんど効果が上がっていない、専門的技術的分野の外国人の受け入れを積極的に推し進め、生産性の高い外国人労働者数が増加することで受け入れに生じるコスト以上のメリットが生じるはずである。

 日本企業の採用状況も大きく変わりつつある。ある大手電機メーカーでは、2011年度新卒採用の1390人の枠のうち、8割にあたる1100人を外国人留学生から採用し、日本人は290人にするという方針を発表した。大手衣料品メーカーも外国人と日本人の採用比率を半々にすることを表明するなど、これまで外国人に対して非常に閉鎖的と言われてきた日本企業も次々と積極的に外国人労働者を活用しようとしている。こうした動きが従来の政策先行型の高度外国人人材受け入れの議論を超えていくことを願う。
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