• もっと見る
«アジアン・エイジング・ビジネスセンター(AABC) | Main | 人口変動の新潮流への対処事業 資料集発行<予告>»
プロフィール

SPF人口チームさんの画像
SPF人口チーム
プロフィール
ブログ
カテゴリアーカイブ
最新記事
月別アーカイブ
最新コメント
リンク集
https://blog.canpan.info/jinkou/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/jinkou/index2_0.xml
2009年度第1回 事業委員会 & 農業勉強会(1) [2009年06月18日(Thu)]
 5月8日(金)午後2時より、2009年度、第1回目の「人口変動の新潮流への対処」事業 事業委員会を開催しました。

 本年度は3年間にわたるプロジェクトの2年目にあたる事業の根幹となる一年です。昨年度から継続する3つの分科会(「人口構成の変化と労働市場に関する分科会」、「移民政策・社会統合政策の国際比較を行う分科会」、「多文化共生・社会統合に関する分科会」)に加えて、多くの外国人が従事する農業分野について実態の一端を明らかにする「農業勉強会」と、低経済成長時代の社会統合政策についてEU地域から学ぶ「EU勉強会」を設けることになりました。

 同日、午後4時より、東京大学大学院農業生命科学研究科 安藤光義准教授をお招きし、第1回目の農業勉強会が開催されました。

<第1回 農業勉強会>

「農業における外国人労働力導入の実態
 ―茨城県・大規模畑作経営の事例から―」 安藤 光義(東京大学)


 茨城県は日本有数の畑作地帯であり、農地制度や農家の相続についてご専門にされている安藤先生は、農家へ調査にいくと必ずといってよいほど外国人労働者を見かけたことから、農家における外国人労働力についての調査を行われました。農家への聞き取り調査を中心に、まずは、外国人労働力導入の是非を論じるのではなく、価値判断なく現場の実態報告をいただきました。

“以前は、農繁期には近隣農家の家族の女性や学生アルバイトが活用されてきたが、農家の家族の高齢化も進み、労働力として確実に働いてくれる人材を確保することは多くの農家にとって容易なことではなくなった。一方、家族経営が中心であるとみなされてきた農業分野でも、特に園芸農家において常雇の労働者の雇用が増えていることが先行研究で指摘されている。この場合は、家族労働力が足りないから常雇いを入れているわけではなく、農家の経営拡大のために雇用労働者を増やしている。かつてのイギリスの資本家的農業経営は雇用型経営の典型だがそれは膨大な農村過剰人口が存在していたある歴史的な時代の一時点の産物であって、その後は家族経営に戻るといわれてきた。しかし、今、日本でおきている農業の雇用経営への変質の動きをどのようにとらえたらよいのか。そこで雇用されている労働者の性質をみていくと外国人労働力の存在が大きい。

 農繁期の日雇い労働力として重宝されている外国人(聞き取り先の多くではインドネシア人)、常雇として雇用主にとって安定した労働力となる研修生・技能実習生(多くは中国人)は既に日本の野菜産地の戦力となっている。今後、外国人労働力の導入を前提とした農業の大規模化が展開されると、日本農業の構造に大きな影響を与える可能性がある。また、国内の若年失業者との関係の整理や、現行の制度のまま外国人労働力を受け入れ続けるのかということが大きな問題となるだろう。”

(文責/聞き手・事務局)
コメントする
コメント