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5967 6月20日『トルコ・イタリアフランス関係悪化とリビア問題』 [2020年06月20日(Sat)]
リビア問題をめぐりイタリアがトルコに、クレームを付け始めた。イタリアのルイギ・デ・マイオ外相がトルコのアンカラを訪問して、トルコはリビアに対する武器搬入を止めろ、と言い出したのだ。

ルイギ・デ・マイオ外相はトルコ側に対して、リビアへの武器供与を止め、海軍の活動を止めるべきだと語った。これを受けて立ったのは、トルコのチャブショール外相であり、イタリア外相はチャブショール外相に対して、国連の規約に則り、出来るだけ早く手を引くべきだ、と語った。

トルコ側はイタリアと組んで、リビアのエネルギーの開発を、進めたいと望んでおり、地中海海域でのエネルギー開発での、協力をしたいという立場だ。だが、そのトルコの野望はいま、崩れかかっているということだ。イタリアはこれまで、トルコと同じ立場であり、リビアのセラジ政府を支援してきていたのだが、ここに来てそれが変更された、ということであろう。

同じように、フランスからもトルコに対して、クレームが付いている。フランス政府はトルコに対して、トルコの地中海海域での活動は、国連の合意に反するものだ、と言い出した。つまりトルコが進めている、リビアに対する武器供与が、国連の武器禁輸を破るものだということだ。

リビアに武器を搬入している貨物船は、トルコの海軍によって守られており、それをNATO
側が監視しているということだ。フランスはこの点を、トルコは明らかにすべきだ、と主張し、トルコはベルリン合意を、順守すべきとした。

どうやらトルコはイタリアという盟友を失い、フランスをますます敵に、回したということだ。イタリアは米露の動きを見て方向転換し、フランスはますます強気になったということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:15 | この記事のURL
『中東短信』 [2020年06月19日(Fri)]
:リビアへのトルコ代表団歓迎される

トルコがベラト経済相を団長とする、高位の代表団をリビアに送った、この代表団にはトルコ政府のスポークスマンである、イブラヒム・カルンや、アルバイラク情報長官も参加した。

リビアではセラジ首相が迎えに出て、大歓迎された模様だ。この代表団がリビア側と討議するであろうと思われるテーマは、トルコがリビア国内に海空軍基地を持つこと、その事によって今後もセラジ政府を支え、勝利に導くことが第一であろう。

加えて、トルコはリビアでの石油開発に、参画する意向を伝えると同時に、地中海海底のエネルギー開発に、協力していくということであろう。だが地中海海底のエネルギー開発には、ヨーロッパ諸国から相当の反発が出ており、その事が原因でイタリアとの関係は、壊れていこう。

イタリアもリビア問題では、セラジ政府支援に回っていたのだが、今後はハフタル将軍側に付く可能性が、否定できなくなってきた、ということではないか。加えてアメリカも露骨にハフタル将軍側支持の、意向を示しだしてきている。



:サウジアラビアが子供虐待

サウジアラビア政府は同国の子供たちを、逮捕し刑務所に送っているようで、その事が国際問題化してきている。5歳の少女が逮捕され投獄されていたのだが、この子供の母の国籍がアメリカであったことから、この問題はサウジアラビア政府とアメリカ政府との間の政府間トラブルになっている。



:イランがリビアには手を出すなと呼びかけ

イラン政府はリビアの尊厳と、自主性を保つために、リビアの内紛に外国は、手を出すべきではない、と言い始めている。このことは明らかに、トルコのリビア対応を、批判するものであろう。

今後、リビア問題はエジプトのシーシ大統領などの主張する、政治解決対話解決がメインストリームになろうから、トルコの強攻策には反対の声が、増えていくことであろう。国連もセラジ首相の政府を支持してはいるが、平和達成に向けては、セラジ政府とハフタル政府が話し合いで、問題を解決すべきだ、という立場であろう。

ここでも何と無く、トルコの強攻策に反対が広がっている、という感じがするのだが。トルコがリビアに代表団を送ったのは、リビアのセラジ政府との、その辺の調整のためであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:45 | この記事のURL
5965 6月18日 『トルコの動きは逆目に回っている』 [2020年06月19日(Fri)]
トルコ政府はエルドアン大統領の義理の子息、ベラト経済大臣を筆頭とする、大デレゲーションをトリポリに送り、セラジ政府側と交渉している。これには政府のスポークスマンのイブラヒム・カルン、
MIT(情報機関)のトップである、ハカン・フェダンも同行している。

現在、セラジ政府GNA
は対抗馬である、ハフタル軍に優位に立っているが、ロシアはこの流れの中で、ラブロフ外相とセルゲイ・ショイグ国防相のリビア訪問を、延期している。それだけではな、セラジ政府を支持していた、イタリアの外交トップのリビア訪問も、延期されている。

ルイジ・デ・マイオ外報は当初、6月17日にリビアを訪問することに、なっていたのだ。何故ロシアとイタリアの代表団の訪問が、同時期に延期になったのか、気になるところだ。当然そこには両国の読みあがろう。アメリカや他のヨーロッパ諸国、なかでもフランスの動きが、影響しているのではないか。

こうしたトルコの派手な動きに合わせ、トルコは戦域を拡大しているようだ。国内では反政府勢力が、拡大しているし、リビアをめぐってはロシアと対立し、シリアでもイエメンでも然りだ。

トルコはリビアに対し空軍と海軍を、送り込んでいるのだ。述べるまでも無く、プーチン大統領はトルコと反対の、ハフタル軍側を支援している。そうしたなかで、トルコはミスラタの海軍基地化、ワイテイヤの空軍基地を使っているのだ。

トルコはギリシャ、エジプト、キプロスなどを敵に回し、地中海海底資源の開発も、進めている。これらの国々が、トルコの敵に回るのは、当然であろう。トルコはリビアとの間に、地下資源の開発やビジネスの拡大を、計画しているのだ。

シリアでもイドリブに武器弾薬を送り、軍も派兵している。アサド体制と真っ向から、対抗しているのだ。そのアサド体制はロシアが、支えているのにも拘らずだ。そして、イラク北部のクルドにも、攻撃を強化している。

また、国内ではコロナが拡大し、多数の感染者が出ているにも拘らず、エルドアン大統領はヨーロッパから、観光客を誘致する予定だ。それは国民の反発を招いて当然であろう。エルドアン大統領は壊れたのであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:17 | この記事のURL
5964 6月17日 『エルドアンの野望ギリシャアルメニア攻撃』 [2020年06月17日(Wed)]
トルコがギリシャとアルメニアに対して、軍事攻撃を仕掛けるのではないか、という情報が流れ始めている。これは11世紀以来の話だ。その事に関する秘密の文書が、明らかになったのだ。

2014年6月13日に出された、トルコ軍の報告によれば、計画は未だに生きているということだ。アルメニアへの軍事侵攻計画は、2000年8月15日に出されている。これらの文書が明らかになったのは、一寸したミスによるものだった。

それは、2016年7月のエルドアン政権打倒の、クーデター事件に絡んで、明らかになったものだ。この情報は当然秘密扱いされていたが、裁判所がそれを明らかにすべきだとして、表に出たのだ。

計画はシリアの軍事情勢によるとされており、もし、シリアの情勢がトルコに有利に働いた場合は、軍の一部を西側に移動できる、ということだ。そもそも、トルコのギリシャへの攻撃は、大分古くからあった。

それはチャカ・ベイに始まっており、彼は最初のオスマン帝国のアドミラル(海軍提督)と呼ばれていた人物だ。彼はビザンツの皇帝になることも、目論んでいたということだ。また、彼はオスマン帝国の海軍を、近代化しようと努力していた人物でもあるのだ。

その大野望が、エルドアン大統領の時代に、復活したということだ。2019年3月の段階で、エルドアン大統領はイスタンブールにある、ギリシャ時代のハギア・ソフィア教会を、イスラム教のモスクに変更することを、言い出している。

もちろん、このエルドアン大統領の発言に、ギリシャ側は猛反発している。ギリシャのジョージ・カトロガロス外相は『この問題は単にクリスチャンの、琴線に触れるという、問題ではない。この問題は国際法を犯すことであり、国際社会への挑戦だ。』とトルコを激しく非難している。

トルコのエルドアン大統領が夢想家であり、大オスマン帝国の復活を、望んでいる人物だ、とはこれまで何度と無く、語られてきたが、ギリシャやアルメニアへの軍事攻撃を、本気で考えているのであろうか。

トルコは今でも、シリアとリビアで軍事行動を起こしているのに、そのうえギリシャとアルメニアを、敵にするのであろうか。ギリシャのジョージ・カトロガロス外相が語るように、もし、ハギア・ソフィア教会をモスクに、変えるようなことになり、トルコがギリシャやアルメニアに戦争を仕掛ければ。ヨーロッパ諸国もアメリカも黙ってはいまい。

それをエルドアン大統領は、充分に検討し、計算に入れているのであろうか。もし、そうであるとすれば、彼の神経は正常とは、言え無いのではないか。世界はコロナ禍もあり、ある種の精神異常な状態にある。一寸したことが民族意識をあおり、人種差別の戦いを引き起こす、危険性があるのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 08:58 | この記事のURL
5963 6月16日 『イラク人IS関係者トルコで逮捕8人』 [2020年06月16日(Tue)]
6月15日にトルコの首都アンカラで、IS(ISIL)
関係者が多数逮捕された。アンカラの対テロ特殊警察は、アンカラでの取締りを強化していて、逮捕したものだ。この逮捕された者の合計は、10人で皆イラク国籍だった。

そのうちの8人は、既にIS(ISIL)
との関係が、明確になっており、それ以外の二人については、取調べが進められている、ということだ。この二人については、早晩結論が出るだろうが、彼らも
IS(ISIL)との関連があったことが、明らかになろう。

トルコはIS(ISIL)がテロ組織である事を、2013年の段階で明確にしており、以来、トルコはIS(ISIL)
によって、何度と無く攻撃を受けている。例えば、そのうちの典型的なテロ事件は、10人以上の特攻部隊員による、攻撃だった。そのうち7人は爆弾攻撃、4人は武器での攻撃であり、その攻撃では315人のトルコ人が、負傷している。

そうした経験以来、トルコはトルコ国内でも外国でも、対IS(ISIL)攻撃を続けている。以来、トルコを狙ったテロ事件は減少していた。

今回の10人に達する、アンカラでのIS(ISIL)戦闘員の逮捕は、今後、トルコでIS(ISIL)
による、テロ活動が活発化することを、予測させるものであろう。実際に、イラクやシリアでは、IS(ISIL)によるテロ事件が、最近になって増加傾向にある。

実際にはどうなるか分からないが、アメリカ軍はイラクで縮小することが、どうやらイラク政府との間で、話が付いているようだし、シリアのアメリカ軍は、シリア政府と軍による、攻勢を受けている。ここからも、アメリカ軍が後退することになれば、
IS(ISIL)は今後、勢力を復活する可能性がある、ということではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:08 | この記事のURL
5962 6月15日『フランスがトルコのリビア介入を非難』 [2020年06月15日(Mon)]
フランスのマクロン大統領が、トルコのリビア介入を非難した。マクロン大統領の言い分は、トルコがNATOのメンバー国であるにも拘らず、国連の武器禁輸を破って、リビアに武器を提供しているからだ。

トルコは戦時下にあるリビアに対して、船舶を使い大量の武器を、リビアに届けている。この動きはカタールの支援を受けており、相当に大規模のものになっているようだ。もちろん、武器の供給先はセラジ首相が中心の、GNAであることは間違いない。

フランスの主張によれば、トルコは禁止されているリビアの海岸に、国連の武器禁輸を破って、武器を送っているということだ。マクロン大統領は既に、このことについて、アメリカのトランプ大統領とも、話し合っている。

加えて、マクロン大統領はこの問題を、NATOメンバー諸国との会議でも、話し合うつもりでいる。トルコのセラジ政府に対する、武器の供給と軍事的アドバイスは、受け入れられないものであり、看過出来ないもだ、ということだ。

この問題はバチカンのポプ・フランセとも、話し合っているようで、バチカンとすれば、リビアで発生している、移民者、難民、亡命希望者、家を追われたリビア人などを放置することは出来ないということだ。

もし、トルコからのリビアのセラジ政府に対する、武器の供給が止まり、トルコ軍の軍事アドバイスが止まれば、セラジ政府側は窮地に、立たされることになろう。ここまでフランスが動くのには、それなりの裏がある。

フランス政府はセラジ政府側ではなく、ハフタル将軍の側LNAを、支援してきていたのだ。そのLNAが今では、トルコ軍に支援される、GNA側に追い込まれる形になっているから、フランスは動き出したのだ。

アメリカは一時期、ハフタル将軍側を支援していたが、途中から国連が認めているということで、セラジ政府側に支持を変えていたが、今回のマクロン緒大統領の働きかけで、立場は元に戻ろう。

リビアは大産油国であることから、欧米各国はことのほかの、リビアの戦局に関心を、寄せているのだ。こうなると、トルコの立場は苦しくなり、リビアへの支援は後退するかもしれない。

つまり、マクロン大統領が放った新たな動きは、大きくリビアの戦況を、変更させるかもしれない。欧米の頭の回転に、エルドアン大統領が勝てるのか、あるいは敗れるのかは、これからが見ものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 08:20 | この記事のURL
5961 6月14日 『カルン報道官リビア問題政治解決希望』 [2020年06月14日(Sun)]
トルコのカルン報道官が、6月12日トルコの首都アンカラで語ったところによれば、トルコ政府はリビアの内戦解決に、軍事力ではなく、政治交渉を進めることを、希望すると語った。

これまでトルコ政府は政治交渉を、進めたいということは口にせず、エジプトの和平交渉を拒否していたのだから、大きな変化と言えるだろう。これはカルン報道官が、ドイツのベルリンを公式訪問した後に、語られたものであるということは、ドイツ政府も同様の解決方法を、模索しているということであろう。

カルン報道官は軍事力ではなく、政治交渉による解決を強調している。そのうえで、トルコ政府は今後も、リビアの西側政府セラジ首相側を、支援すると語った。トルコに言わせると、セラジ政府は正統な政府であり、国連も認めているということだ。その正統な政府による解決策が、理にかなっている、ということであろう。

カルン報道官はハフタル将軍側が、戦略拠点を西側の、セラジ軍によって奪われた後、急遽、停戦を言い出しているということだ。だが、これはハフタル将軍が、彼の立場を堅持することが、条件となっているということは、述べるまでもあるまい。

これから、ドイツを始めとするヨーロッパ諸国を味方につけて、トルコはリビア内戦の終結を図りたい、ということであろうが、それが上手く行くかどうかは分からない。リビアでもシリアでも、トルコ兵がコロナに感染しており、必ずしも軍事的に優位に立っている、とは言え無い部分があるからだ。

そして、ハフタル軍の背後には、今でもエジプトやアラブ首長国連邦が控えているし、ロシアも傭兵を送っている。ハフタル将軍側が戦術を、上手く構築出来れば、情況が一気に反転することも、ありうるということではないのか。今後を見よう。
Posted by 佐々木 良昭 at 08:55 | この記事のURL
5960 6月13日『米軍ハサカから石油盗む・シリアのトルコ軍コロナに感染』 [2020年06月13日(Sat)]
:アメリカ軍の石油泥棒

アメリカ軍のコンボイが、シリアのハサカから石油を、盗み出しているようだ。これは50台からなるタンカーが、シリアのハサカからイラク領土に向けて、石油を満載し盗み出している、ということだ。

アメリカ軍は2019年以来、シリア北部のユーフラテスア川東
岸を、支配しているが、この地域はシリアにあって、石油を大量に埋蔵している地域だ。これまでも、アメリカ軍はこの地域から、石油を盗掘していたのだ。

今回はシリアからイラクに抜ける、ワリード国境を6月7日に通過し、石油を盗み出しているということのようだ。イラク側にはアメリカ軍の、巨大な基地があり、そこからまた他に、石油を移送するということであろう。

:トルコ軍コロナに感染

シリアに駐留しているトルコ軍や警官が、現地でコロナに感染した、という報告が入った。これまで何度かその事を懸念して、推測として伝えてきたが、今回はそれが正しかったということが、証明されたわけだ。

当然であろう、シリアにはコロナが大発生している、イランから革命防衛隊員が、多数入っているし、トルコからも軍人や警官が入っているのだから、コロナが発生しないわけが、無かったのだ。しかし、軍の士気もあり、トルイコ政府はその事をこれまで、正式には明らかにしないで、来ていたのであろう。

そうであるとすれば、コロナに感染したトルコ兵や警官の中からに、既に死者も出ている、という事では無いのか。この報告によれば、シリアとトルコの国境に近いハタイから報告が入り、トルコ兵と警官のなかから、140人のコロナ感染者が出ている、ということだ。

ハタイの地方長官であるラフミ・ドアンは、イドリブやアフリンからは何の連絡も無い、と言っている。しかし、それは嘘であろう。既に、シリア国内でコロナに感染した者が出ている、と報告が出ており、その内訳はコロナ検査をした結果、警官が120人感染、兵士が20人感染した、と報告している。

このシリア国境地域には、トルコ軍がシリアのトルコ寄りのグループである、FSAと共同で戦闘を展開しているのだ。その結果が今回の、コロナの発症であろう。もちろん、感染者の数は報告の140人ではなく、その何倍かであろうことが、推測される。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:40 | この記事のURL
5959 6月12日 『シリア経済苦のなか首相更迭』 [2020年06月12日(Fri)]
シリアのカミース首相がアサド大統領の発した、143号勅令によって更迭された。この更迭の原因は、経済問題が昂じたためだ。カミース首相は2016年から、首相職に就いていたが、現在58歳、政治家としてはまだ、現役の年齢なのに首になったのだ。

後任にはフセイン・アルノウス水資源相が就任する。だが、このポジションは来月の投票日までであり、長期の指名ではない。

シリアでは議会選挙が予定されているが、これまで2度延期されてきている。それはコロナ禍がシリア国内で、拡大した結果だった。コロナの拡大は緊急に、阻止する必要があり、議会選挙をやっている状態では、無かったということだ。

7月に選挙が予定されているが、現在の経済問題をどう解決するか、ということが主題となろう。9年間のも及ぶ内戦のために、シリアの経済は大幅に悪化し、シリア・リラは1ドルに対して、3000リラにまで値下がりしている。

シリア・リラの公式レートは1ドルに対して700リラだが、それは2011年の内戦開始以前と比べると、60倍も値下がりしているということだ。この2011年にスエイダで大規模デモが起こり、38万人が死亡しているということだ。

この木曜日には、首都ダマスカスでデモがあり、庶民は反アメリカ法を訴えている。彼らは『アメリカの制裁に反対』と叫んでいるが、本音は急激な物価上昇に対する、抗議であろう。

食品の値上がりは酷く,
今年月から5月の間だけで、11パーセント値上がりしている。これでは庶民の貧困は、間も無く大規模に、拡大するものと思われる。こうした国内の経済問題の拡大に伴い、アサド大統領は彼の親族マクルーフの資産を、差し押さえしている。

しかし、その事がシリアの経済改善に、役立つとは思えず、あくまでも親戚マクローフの資産差し押さえは、国民の不満の目を、ごまかすためだけのものであろう。そうだとすれば、シリアの国内混乱は、今後拡大していくということであろう。それはトランプ大統領の得意とする、経済戦争をシリアに対して、始めたということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:25 | この記事のURL
5958 6月11日『韓国はイランに借金・返済迫られて逃げる』 [2020年06月11日(Thu)]
 イランは韓国に、これまで大量のガスと石油を輸出しているが、その代金は支払われていない。その理由はアメリカによる、イランに対する経済封鎖だ、というのだがどうも、それだけではないようだ。 
 イランに言わせると、アメリカは人道的な取引商品の、イラン向け輸出は許可している、ということであり、イランが韓国に要求してきた、コロナ関連緒物資はこの制裁の、埒外にあるということになる。
 しかし、それでも韓国は医療物資を、イラン側に引き渡さないために、もめているのだ。韓国の銀行には、イランに払うべきドルが、数十億ドルと巨額になっている。その金利も膨大な額に、達していることであろう。
 イラン政府は韓国がイランの金で、金利を稼いでいる、と見ているようだ。まさにその通りであろう。こうした無茶なことが、韓国に出来るのは、アメリカにあわせて、サウジアラビア政府も韓国に対して、イランに金を渡すな、物を渡すなと働きかけているからだ。
 これに対して、イラン政府は『我々の主張は当たり前のことであり、韓国に対して金を返せ、それで人道的物資を輸入したい、と言っているだけだ。アメリカは人道的物資の、取引については、輸出制限はしていないと言っている。韓国はイランに支払わず、物資を渡さず、外貨を自分たちの銀行に貯めて、外貨備蓄があるように、見せているのだ。』と韓国を非難している。
 イランは義理堅い国であり、自分たちが窮地にあるときに、助けられたことは忘れない人達だ。日本がモサデク政権下で、制裁を受けたときに、イラン石油を買い助けたことを、イラン人は今でも忘れていない。そうしたイラン人の特徴を、韓国は分かっていないのだろうか。その付けはこれから回って来よう。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:17 | この記事のURL