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NO:5652   8月22日『イラン米の圧力無視2隻目のタンカー動く』 [2019年08月21日(Wed)]
イラン政府はアメリカの圧力を、ものともせずに行動を、続けているようだ。アメリカはイランが外国に石油を売ることを、阻止するために、イギリスに依頼し、ジブラルタル海峡でジブラルタル自治政府を使い、イランのタンカーを拿捕していた。

しかし、その後、アメリカの反対があったにもかかわらず、イギリス政府はこの拿捕した船を釈放し、自由に航行出来るようにした。このアメリカとイギリスの立場の違いは、何故起こったのか不明だ。

イランのタンカーはその後、ギリシャの港に入るだろう、と予想されていたが、ギリシャ政府は未だに、入港の要請が無いと語っている。つまり、当分の間イランのタンカーは地中海のなかに、留まるということであろう。

ところが、ここに来てイランは二隻目のタンカーを、シリアに向けて出港させている。この2隻目のボニタ・クイーン号には、60万バーレルほどの石油が積んであり、アフリカの角を経由し、地中海に向かう予定になっており、現在ドバイで給油している、ということだ。

ボニタ・クイーン号は今年後半には、地中海に到着し、そこで待ち受けているシリアのタンカー2隻に、積み替える予定だということだ。

さて、アメリカはこのイランの行動にどう対応するのであろうか。ジブラルタル海峡ではイギリスと、ジブラルタル自治政府を使って拿捕したが、今度の場合は直接アメリカが動くのか、あるいは何処かの国を使って、拿捕させるのか見ものだ。

しかし、地中海周辺の国々のなかで、いまアメリカの言いなりに動く国は、あるだろうか。トルコはイランとの関係が良好だし、まさかエジプトやイスラエルが、動くとも思えない。案外アメリカは今回の場合、あっさり諦めるかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 08:22 | この記事のURL
NO:5651  8月21日『トルコ軍遂にシリアのイドリブに侵攻』 [2019年08月20日(Tue)]
トルコ軍が大挙して、イドリブに向かって動き出した。イドリブは日本で言う、県のような単位であり、広大な面積からなっている。そのなかには、幾つもの拠点都市があり、シリア軍を始め各種テロ組織が、拠点として立てこもっているのだ。

 シリア軍はこれまでに、イドリブに隣接する南側の、ハマ県を抑えたが、これはイラン軍とロシア軍の支援の下に、進められたものだ。シリア軍はいまイドリブのハンシェイクンから、400
メートルの位置に陣取り、攻撃に備えている。

 また、シリア軍はホバイト、タルタリ、ファキル、サッバーギーヤ、カフル・アイドン、スケイクなども占領している。

 こうしたシリア軍の大攻勢を前に、トルコはしかるべき地位を、占めておかなければならない、と考えたのであろう。シリアの北部はトルコに隣接しており、少しでも注意を怠れば、シリア軍やその配下のテロ組織が、トルコ領内に侵入してくる、危険性があるからだ。

 それで今回トルコ軍が戦闘車両50台、その中には戦闘員輸送車も含まれている、そして5台の戦車も加わっての、イドリブに向けて侵攻したのだが、当然、シリア軍側はこれを阻止するために、トルコ軍のコンボイの車列に空爆を、加えることになった。その結果、3人が死亡12人が負傷している。いまのところトルコ軍側は、死傷者について発表していない。

 今回、シリア軍がトルコ軍の車列に、空爆を加えた裏には、ロシア軍の支援があったわけだが、ロシア政府はイドリブを、最も危険な地域とみなしている。そこには、反シリア政府のテロリストが、多数拠点を構えており、シリア軍は相当力を
入れて攻撃しなければ、奪還できないからだ。

 そこにトルコ軍が新たなファクターとして、加わったことはシリアにとっては、極めて不愉快なことであったろう。トルコ政府は今回のシリア側の攻撃について、ロシアとトルコとの間で交わした、不戦の合意が破られたものだ、と非難している。

 場合によっては、トルコが進めて来た、ロシアとの兵器開発と輸入に、悪い影響を与えるかもしれない。もしそうなれば、アメリカは大喜びであろう。トルコはアメリカからF35戦闘機の輸入がだめになり、代替え機として、ロシアからスホイを、輸入することを検討し始めていた。

 もし今回の件がもとで、トルコとロシアの関係が悪化すれば、アメリカは大喜びであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:29 | この記事のURL
NO:5650   8月20日 『イギリスがアメリカとの関係冷却化』 [2019年08月19日(Mon)]
イギリスはかつて、アメリカをコントロールする国、と評価されていた。湾岸戦争が開始されたのは、当時のイギリスのサッチャー首相が、アメリカのジョージ・ブッシュ大統領と政府をけしかけ、尻を叩いて始められたのだ、と言われていた。

それほど90年代までは、イギリスとアメリカとの関係が、強かったということであろう。しかし、最近では何かに付けて、イギリスとアメリカとの関係が、疎遠なものになってきているように思える。

それは、イギリスがEUから離脱することに、起因しているのかもしれない。これまではイギリスがEU内部にあって、アメリカの意向を反映するように、動いていたのであろう。言わば、イギリスはアメリカがヨーロッパ全体をコントロールするための、回し者のような役割を、演じていたのではないか。

しかし、イギリスがEUを離脱すれば、イギリスのEUへの影響力は無くなり、アメリカのための工作も、スパイ活動も無くなってしまおう。こうなっては、アメリカにとってイギリスは何の価値も、無くなるのではないか。

そのため、アメリカのイギリスに対する対応には、これまでのような親密さは無くなり、ビジネスライクに変化しているのかもしれない。それをイギリス側も感じ、これまでのようなアメリカを考えての、外交は止める方向に、向かっているのかもしれない。

イギリスとアメリカとの関係が、醒めたものになり始めたのは、数年前にイギリスが中国の設立した、AIIBに参加することを、決めた頃からであろうか。このAIIBに対して、アメリカは真っ向から、反対していたのだ。

そして最近では、イランのタンカーがジブラルタルで拿捕されたが、その後のイギリスの動きは、アメリカの意向に反するものに、なっているように思える。ジブラルタル政府はイギリスの、言わば管理下にあるわけであり、ジブラルタル政府の決定は、イギリス政府の決定ということなのだろうが、そのジブラルタル政府はイランのタンカーを釈放することを決めた。

アメリカは法的な問題をちらつかせ、何とかイランのタンカーを再拿捕したい、と望んでいるようだが、世界の何処の国もそれには賛成すまい。EUはもちろんのこと、イランのタンカー拿捕賛成していない。

結局のところ、ジブラルタル政府の決定に基づき、イランのタンカーは釈放され、帰国することになったようだ。もう、アメリカの意向には沿わない、という姿勢であり、そのジブラルタル政府の決定の裏には、イギリスの強い意向が、働いているからであろう。

イギリスはアメリカの唱える、イラン包囲軍にも直接は、参加しなかった。日本と同じような玉虫色の解決、という間接参加に止めている。これではアメリカの威信は、大分傷つくのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 08:56 | この記事のURL
NO:5649   8月19日『アラブでは石油施設への攻撃が増えている』 [2019年08月18日(Sun)]
どうも気になる現象が、アラブ世界では、始まっているようだ。これまでは、石油施設に対する攻撃は、無言の了解の下に、各国が実施しないで来た時期が長い。60年代から80年代、あるいは90年代にも、石油施設に対する直接的な攻撃は、起こる件数が、極めて少なかったのではないだろうか。

ところがいまの時期になり、石油施設への攻撃が明確に、増加しているような気がする。その最たるものは、イエメンによるサウジアラビアの、石油施設への攻撃だ。ドローンを使い、石油貯蔵所やパイプ・ラインに対する攻撃が、起こるようになっている。

以前、サウジアラビアの石油パイプ・ラインへの攻撃が、イエメンによって行われたときは、このパイプ・ラインが紅海側から、ペルシャ湾側に繋がる、大パイプ・ラインであったために、世界は震撼した。

最近は、イエメンのドローンを使った、サウジアラビアの石油施設に対する攻撃が、頻繁に起こっており、サウジアラビアのシャイバ油田地帯に対する、ドローン10機を使った攻撃が行われた。

シャイバ油田地帯は、サウジアラビア最大のものであり、アラブ首長国連邦に隣接する地域にある。この攻撃では石油貯蔵庫や製油所も、攻撃されているのだ。しかも、イエメン側は今後、攻撃範囲を拡大する、と言っているのだ。

こうしたイエメンによる、サウジアラビアの石油施設に対する、攻撃が行われているのは、サウジアラビアがイエメン内戦に、首を突っ込み攻撃をし始め、それが甚大な被害を、イエメン国民にもたらすようになったからだ。

イエメンによるサウジアラビアの石油施設への、攻撃ばかりではなく、バハレーンの石油施設への、攻撃も起こっている。これは、シャイバ製油所であり、述べるまでも無く、バハレーン最大のものであろう。

バハレーンはサウジアラビアと同じように、シーア派国民に対する、厳しい取締りを続けてきており、先日もシーア派国民に対する、死刑判決が出されたし、多くのバハレーン国民が、国籍を剥奪されてもいる。

そして、そのバハレーンのシーア派国民を、裏で支援しているのはイランだ。イエメンの場合もホウシ・グループを 始めとして、イランによる武器や資金のた供与が、噂されている。つまり、イエメンによるサウジアラビアの、石油施設に対するテロも、バハレーンの石油施設に対するテロも、背後でイランが糸を引いている可能性が、あるのではないか。

 バハレーンはアラブ湾岸諸国のなかで、最大のアメリカ海軍基地のあるところだ。そこの石油施設に対するテロが続き、大事故にでもなれば、アメリカ海軍は活動出来なくなる、可能性がある。こう考えてみると、最近頻発している、アラブの石油施設に対する攻撃は、アメリカによるイラン包囲作戦に対抗する、イラン側の動きかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:40 | この記事のURL
NO:5648   8月18日『イスタンブール大地震は近いか』 [2019年08月17日(Sat)]
トルコの新聞フッリエトが、イスタンブールで大地震が起こる、可能性について言及している。その地震が何時起こるかわは分からないが、もし、起こった場合には、相当のダメージがある事を、警告する記事を、書いている。

イスタンブールはトルコ最大の、人口を 擁する街であり、歴史的な街なだけに、多くの老朽化した建物があり、1600万人という多数の人達が住んでいる。そこで地震が起これば、多くの建物が崩壊し、おびただしい数の犠牲者が、生まれるということだ。

 1999年8月17日に、イズミットで起こった地震では、17400人の住民が、犠牲となっている。

 イスタンブールでは、今後10年以内に、マグニチュード7.7クラスの地震が、予測されている。そうなれば、ガスのパイプ・ラインがカットされ、使用不能になるし、そのガスに引火すれば、大火災が発生しよう。また、老朽化したビルは皆、崩壊してしまうということでもあろう。

 2月にはイスタンブールで地震に関係なく、老朽化したビルが崩壊し、20人の人達が、ビルの下敷きになって、死亡している。地震が起これば、これに似たビルの崩壊が、もっと起こることがあろうと、予測されるということだ。

 イスタンブール市としては、グリーン・スペースを多くして、避難が可能なようにすることや、駐車場やショッピング・センターでの、犠牲が出ないように、策を講じる考えだ。イスタンブール市の対応策が、急がれなければ、甚大な被害が出ることになる。

 イスタンブール市の関係者は、地震を防ぐことは出来ないが、被害を最小限に留める工夫は出来る、と語っている。そのためには、民間の地震専門協会なども、活発な活動を展開している、ということだ。

 イスタンブールは観光客にとって、極めて魅力的な街だ、風光明媚、多くの歴史的な建物、美味しい料理、どれをとっても群を抜いていよう。しかし、歴史的な街は同時に、耐震性に大きな問題を抱えている、ということでもある。

 観光でトルコを訪問する方は、出来るだけ堅牢なホテルに、泊まることをお勧めする。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:52 | この記事のURL
NO:5647  8月17日『イランのタンカーは結局返却されることになった』 [2019年08月16日(Fri)]
イランのタンカーがシリアに、石油を運んでいる、という嫌疑により、ジブラルタルで拿捕され、イギリスの監視下に置かれて久しい。そのタンカーが釈放されるという予測は、イランから出ていたが手こずっていた。

それは後で、アメリカがそのタンカーを受け取りたい、と言い出したことで分かった。イギリスがイランのタンカーを返却するというので、アメリカはそう簡単にイランに、タンカーを返してなるものかと考え、それに待ったをかけようとしたのであろう。

しかし、そもそもこのタンカーの拿捕は、初めから何の正当性もなかった。イギリスはあるいはアメリカの要請で、やったことだったのかもしれない。そして、それを口実にアメリカとイランとの、緊張関係を盛り上げ、すわ、戦争というムードをペルシャ湾海域に、アメリカは創ろうとしたのであろう。

アメリカが唱えた合同軍の結成もしかりで、この流れの一部を構成していた。それでアメリカは最大限の圧力を、イランにかけようとしたのであろう。しかし、合同軍の結成は失敗に、終わっている。トランプ大統領のから元気な脅しなど、イランには全く効果がなかったのだ。


 アメリカの兵隊にも、戦争をする気などないし、第一アメリカの国家財政は、火の車でもあり、とても戦争をやれるだけの、体力はあるまい。戦争をあおっていたのは、一部の政治的エリートたちであり、彼らは血を流すことも、自腹を切ることもない。

 そうしたことを十分わかっていたのは、アメリカの敵イランだった。だからイランはどんなにトランプ大統領が、戦争を口にしても、全く歯牙にかけなかったのだ。『馬鹿犬が吠えている。』という程度に、受け止めていたのであろう。

 結果的に、イランのタンカーは、アメリカには引き渡されずに、イギリスによってイランに、返却されることになった。イギリスはそれでイランから点数を稼いだろうし、最初の拿捕でアメリカには、貸しを作ったということであろう。イギリスの経済は相当厳しい状況にあり、イランとの取引を、熱望しているのであろう。アメリカともしかりだ。

 イギリス政府はこれで十分役割を果たした、と胸を張っている。しかし、それはイギリスが海賊国家であることを証明する以外の、なにものでもあるまい。これからはこのような蛮行が、イギリス政府によって、繰り返し行われるようになろう。それは、新しいイギリスの首相に、ボリス・ジョンソンが就任するからだ。
今後まともな首相が、イギリスに誕生するには、10年20年という歳月がかかろう。それが過ぎるまでは、狂気の若い血が暴れまくり、法も秩序も消えてしまおう。それは全ヨーロッパとアメリカも同じであろう。当分は我慢の時代が続く、ということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:15 | この記事のURL
NO:5646  8月16日『イランがホルムズ東までパイプ・ライン敷設』 [2019年08月15日(Thu)]
イラン政府はペルシャ湾の緊張に伴い、石油輸出の上で問題が発生する、可能性が高いためと、ペルシャ湾内が混雑し、ホルムズ海峡通過に、危険が伴うようになることから、ペルシャ湾北西部からホルムズ海峡の東まで、パイプ・ラインを敷設することを決めた。

このパイプ・ラインは、1100キロにも及ぶ長大なものであり、それに要するパイプの量は、莫大な量になる。そこでイランはヨーロッパや中国、韓国からの輸入ではなく、自前のパイプを使用することを決めた。

その結果、パイプの費用は半減するということであり、なお、建設の費用総額は20億ドル、と見られている。このパイプ・ラインは、ペルシャ湾北部のブシェールのゴウレから、ホルムズ海峡東の南ホルムズ県の、バンダルアッバースの南に位置する、ジャスクまで敷設される。この工事を請け負ったのは、イランのPEDEC社(イラン石油技術開発社)だ。

 このパイプ・ラインが完成すると、日量100万バーレルの石油が、このパイプ・ラインを通じて、ゴウレからジャスクまで、輸送されることになる、また、ジャスクには大型貯油タンクが建設されるが、それは2000万バーレル(BPD)ということだ。なお、パイプ・ラインの完成は、2021年3月ということのようだ。

 世界の石油を輸送するタンカー会社にとっても、これは朗報であろう。ペルシャ湾内を航行し、北上して石油を積み込む必要が無くなり、輸送コストは大分下がることになろう。また、このパイプ・ラインが完成すれば、安全は格段に改善され、保障されよう。

 イランはアラブ湾岸諸国全体との、関係改善が進んでいるが、こうしたプロジェクトは、益々イランとアラブ湾岸諸国との距離を、縮めるのではないか。そうなると、孤立するのはサウジアラビアであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:42 | この記事のURL
NO:5645  8月15日 『ハンガリーのユダヤ人人口、米より多い』 [2019年08月14日(Wed)]
ハンガリーでユダヤ人か否かをテストする、DNA検査が行われた。そうは言っても、限られた人口の人たちが、対象になったのであり、ハンガリー人全ての、DNAを調べたわけではない。ハンガリーに居住する4981人を対象に、テストしたところ、何と7・6パーセントが、ユダヤ人のDNAを持っていることが、判明した。

アメリカではDNA検査の結果、3・5パーセントがユダヤ人であり、カナダでは3パーセントがユダヤ人であることが判明している。つまり、アメリカやカナダに比べて、ハンガリーのユダヤ人の割合が、高いということだ。ほかのテストではアメリカ人の4.7パーセント、カナダでは4パーセントが、ユダヤ人ということが、発表されている。

 ハンガリーのユダヤ人口は、130000人と報告されている。彼らはアシケナ−ジ(ヨーロッパ系ユダヤ人)だ。彼らは片親あるいは両親が、ユダヤ人ということだ。これにセファラデイ(東洋系ユダヤ人)を加えれば、割合はもっと高くなろう。

 こうしたテストが行われたのは、最近になって、反ユダヤ反セムの動きが、活発になってきたためだ、ということだ。しかし、これが将来、ユダヤ人の領土がハンガリーにも及んでいる、といったでたらめな、主張が盛り上がれば、それこそユダヤ人は、攻撃の対象となろう。

 アラブ世界では、ユダヤ人たちはナイル川からユーフラテス川までを、彼らの領土だと思っており、それが現在なお進んでいる、と思われている。自分たちを守ろうとする、あらゆる試みは、ある程度を越したとき、逆に攻撃される口実になる。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:18 | この記事のURL
NO:5644   8月14日 『中東短信』 [2019年08月13日(Tue)]
今日はこれといったニュースは無かった。それだけ情況が沈静化している、と判断すべきか、嵐の前の静けさと判断すべきかは、何とも言え無い。しかし、それでも幾つかのニュースは入っている。


:ISは米合同軍とクルド(SDF)に対する攻勢を強めているようだ。

:イランのザリーフ外相カタールとの関係強化。

:ザリーフ外相アメリカのガルフ合同軍結成は失敗。

:イエメン内戦40人死亡260人負傷。

:トルコは東ユーフラテス地域から、クルド(SDF)を追放すると宣言。

:トルコ軍米軍失敗なら北シリアで戦闘本格化。


これでも沈静化といえるのだろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:13 | この記事のURL
NO:5643   8月13日『危険な橋を渡るかトルコ露武器装備へ傾斜』 [2019年08月12日(Mon)]
トルコはいま危険な橋を、渡りかけているのではないか。先にトルコ政府が進めたロシアの、S400ミサイル輸入に当たっては、アメリカとの間で大分問題化していた。アメリカのポンペオ国務長官は、未だに『トルコはロシアのS400ミサイル輸入を、止めるべきだ。』と圧力を掛けている。
トルコのロシアからの、S400ミサイル受け取りは、今年の6月12日から始まり、来年4月まで継続して、行われるそうだが、アメリカとしては不愉快でたまるまい。アメリカにしてみれば、経済苦のなかで、何とかパトリオット・ミサイルやF35戦闘機を、トルコに売りつけたいのであろう。
トランプ大統領はトルコのS400ミサイル輸入に、あまり文句を言わず、何とかアメリカ製武器のパトリオットやF35を、売りつけたいのであろう。そのために、硬軟両方の対応を、トランプ大統領とポンペオ国務長官が、演じているのであろう。
そうしたなかで、アメリカはトルコが言うことを聞かず、S400ミサイルをロシアから輸入したことに腹を立て、トルコが欲しがっている、F35戦闘機の輸出を止め、パイロットやメンテナンス要員の訓練も、取り止めている。
そうすると、強気のエルドアン大統領は、『戦闘機や武器は何処からでも買う。』と言い出し、遂には、ロシアのSU35戦闘機を、輸入する方向で交渉し始めることを、検討し始めている。もし、ロシアのSU35をトルコが輸入することになれば、トルコはロシア製S400ミサイルと、SU35戦闘機で守られることになるのだ。
S400ミサイルの輸入で、アメリカが腹を立てたのは、そうなればロシアから技術要員が、多数トルコに入り、F35戦闘機の構造を、なかでもステルス性能と構造を、知られることになるからであろう。それは当然起こりえよう。
さあ、アメリカは今後トルコにどう対応するのであろうか。トルコに圧力を掛け続けるのか、妥協するのか。ここまで来ると、アメリカに残された道は、強硬対応しかないのではないか。例えばトルコの経済に、大きなダメージを与えるとか。
トルコの経済が維持出来ているのは、外国からの投資と借入金、そして、輸出、観光産業だが、この外国からの投資資金が途絶えれば、S400ミサイルやSU35の輸入代金の支払いは、相当厳しいことになり、エルドアン大統領が嫌う、IMFの関与を受けざるを、得なくなるかもしれない。
トルコは遂に、ルビコン川を渡ったというか、レッド・ラインをまたいでしまった、というのか。いずれにしろ、エルドアン大統領の地位さえも、危険な情況に入ってきた、ということではないのか。また、この一件は アメリカの力が、相当弱まっていることを、感じさせる動きでもあろう。トルコが SU35までも輸入することになれば、世界の兵器市場は、大変革を遂げることになろう。それはアメリカ経済に、致命的なダメージを与えかねない。
Posted by 佐々木 良昭 at 08:53 | この記事のURL