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NO:5368 1月21日『カルンがマクガーグに反論』 [2019年01月21日(Mon)]
アメリカの政府高官や議員が、トルコを訪問する頻度が、高くなっているような気がする。それはトルコにビップで迎えられると、それなりの快適な滞在が、可能になるからではないのか。

トルコの料理は世界三大料理の一つと言われ、ホテルの部屋も豪華だ。そこに官費で泊まれ、相応の土産をもらって帰るのだから、やめられまい。トルコは土産文化の国であるだけに、訪問先々でなにがしかの土産を、渡されるのが慣例といなっている。

しかも、アメリカの政府高官や議員たちは、トルコでは傲慢な発言をしても、何の危険も感じずに、済む少ない国のひとつだ。だがそうしたアメリカの態度に、遂にトルコの高官も、頭に来始めているようだ。

マクガーグなるアメリカの議員が、トルコを訪問し、言いたい放題の発言をしたところ、トルコのスポークスマンであるイブラヒム・カルン氏が、ついに怒り心頭に達したようだ。

イブラヒム・カルン氏はマクガーグの発言を、誤りだと訂正し、重ねて『貴方の発言はトルコの仇敵である、PKK(クルド労働党)の宣伝ではないか。』と言ったのだ。彼は『トルコは何十万何百万という、シリアのアラブ人やクルド人を、救ってきている。それにも関わらず、貴方はPKK
に、勝利をもたらしたいというのか。』と問い詰めた。

 確かに彼の言うことは正しかろう。350万人とも500万人ともいわれる、シリアの難民を受け入れ、彼らに生活の道を開いてやっているのは、トルコなのだ。その上、トルコ国籍を与え、トルコ人と変わりない生活と権利を、保障してもいる。

 3月31日予定されている地方選挙では、シリア人でトルコ国籍を取得した人たち53000人も、投票権が与えられている。他方、アメリカはと言えば、メキシコとの間に壁を作り、中南米からの移民者を、入れまいとしている。

 ドイツのメルケル首相は『武器はアメリカから買うのではなく、自国生産しよう、EUで協力して作ろう。』と言い始めている。世界中がアメリカの横暴さに、辟易しているということであろう。それを感じないのは、無神経な日本の政治家たちだけであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:17 | この記事のURL
NO:5367  1月20日 『ホワイト・ヘルメット米軍に代わりシリアに駐留』 [2019年01月20日(Sun)]
いまの時代は何事も、代行業の時代なのかもしれない。近くは家の掃除、洗濯、料理、年寄りの介護などは、代行業者が金さえ払えば、何でも代行してくれる。それがいまでは戦争も、代行屋に頼む時代のようだ。

アメリカのトランプ大統領が、戦争なんか金がかかって馬鹿らしい、シリアにいる米軍は即決撤退させる、と息巻いたのは去年の、クリスマス前のことだった。しかし、現実にはアメリカ国内の、いろんな勢力がこのトランプの考えに反対し、彼の所属する共和党内からも、反対が出ているのだ。

結果的には、一部の戦略物資は引き上げたものの、アメリカ兵は未だにシリアに、張り付けられているようだ。トランプ大統領はこのアメリカ兵も、引き上げさせたいということで、出てきたのが代行業者を使うアイデアだ。

それは、ホワイト・ヘルメットと呼ばれる、かつてのブラック・ウオーターという戦争の代行業者だ。ホワイト・ヘルメットは表向き正義の味方、人道支援といわれているが、その実は、ガス兵器の使用や殺戮、偽旗作戦を得意とする組織だ。そもそも、ホワイト・ヘルメット社はブラック・ウオーター社の評判が、悪くなったために、名前を変えて出てきた、同じ組織なのだ。

その偽旗作戦を口実に、アメリカはこれまで、シリアのアサド体制が、シリア国民を殺していると非難し、戦争を継続し駐留を、正当化してきていたのだ。そこでは声高らかに『アサド大統領は国民を殺している、アメリカがそれを止めるために、駐留を継続する。』と叫ばれてきた。

そして、その見え見えの嘘を、世界の主要マスコミは、まことしやかに報道し続けていたのだ。官とマスコミの癒着は、日本でも見られるが、この場合は人が死ぬのだから、たまったものではない

今回、そのホワイト・ヘルメットの社長である、エリック・プリンスはホワイト・ヘルメット社が、アメリカ軍に代わってシリアに駐留する、と言い出しているのだ。それは事実であろう。

彼に言わせると、アメリカ政府には戦争に関する、長期的展望が無いということで、それに代わるということだ。彼はいけしゃあしゃあと、『私もシリアに長期駐留するつもりは無い。』と語っている。つまり、早い仕事をやるということであり、これは相当乱暴な作戦が、展開されるということであろう。

このホワイト・ヘルメットの部隊は、これまでアメリカ軍と協力してきた、クルドのYPGなどと、協力作戦を展開するということであり、その結果、トルコ軍が軍事行動に出れば、相当の犠牲が、双方に出るということであろう。トルコもまたFSAという、アラブ人を中心に組織された、ミリシアを代行業者として使う、ということであろう。

ブラックジョーク的に言うと、『トランプ大統領、そしてエルドアン大統領、あなた方は偉い、国民の犠牲を最小限に抑えることに成功しそうだ。シリア人が何人死のうが、代行業者の戦闘員が何人死のうが、それは金で済むことだ。トランプ大統領は,アメリカ軍をシリアに駐留させるより、ホワイト・ヘルメットを使うほうが、経費は安く上がる。と豪語している、さすがはビジネスマン上がりの大統領、しっかり算盤をはじいていらっしゃる。』ということになるのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:56 | この記事のURL
NO:5366  1月19日 『イスラエルは消えるとユダヤ歴史学者』 [2019年01月19日(Sat)]
イスラエルのベングリオン大学教授で、左派シオニストのベニー・モリス氏は、『イスラエル国家がやがて消える。』と語った。彼の説明では『今の情況をイスラエル単一国家がアラブの多数のなかに存在している。』ということだ。

 『アラブ人が権利を得たとき、イスラエルはユダヤ人の国家として存在しえなくなる。そこからどう抜け出すのか私には分からない。ユダヤ国家は70万人のアラブ人(パレスチナ人)を追放するというのだろうか。』

 『5〜6〜700万人のユダヤ人が、何千万人何億人ものアラブに取り囲まれているのだ。ユダヤ人はアメリカや西側の国に、亡命せざるを得なくなるだろう。』というのだ。

 ラビのドビド・ウェイス氏も『ユダヤ人にはアラブ人の土地を占領する権利は無い。』『どの土地にもユダヤ人には権利が無い。』と語っている。

 イランのハメネイ師は『パレスチナはパレスチナ人の抵抗運動で解放される。もし パレスチナ人やアラブ人が団結すれば、25年以内にイスラエル国家は消える。』と語っている。その最大の根拠は、パレスチナ人の占領地とイスラエル国家内の、人口増加であろう。

 こうした冷静な判断は、ネタニヤフ首相にもあるはずだ。そのために、彼は何とか現状を変えようとしているのであろう。西岸のほとんどを支配して、そこからパレスチナ人のほとんどを、追い出そうというのも、その一案であろうか。

 しかし、こうした追放政策には限界があろう。ガザ地区についても、全てのパレスチナ人を殺すということは、無理であろう。イスラエルの賢いパレスチナとの妥協策を、考えるべきではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:00 | この記事のURL
NO:5365 1月18日『イラン軍支援部隊1万人がイラクからシリア入り待ち』 [2019年01月18日(Fri)]
 イラクに控えているイランの部隊と、イラン部隊を支援するイラクの部隊が、イラクからシリア入りを、計画している。このイラクのイラン支援部隊とは、ハシド・シャアビ部隊で、これらの部隊の行動を決めるのは、イランの革命防衛隊のトップ、スレイマーに司令官だ。
 この部隊はいま、シリアのアサド大統領の、許可待ちをしている。許可が下り次第、部隊はイラクからシリア領内に、入るということだ。そうなれば、今後、続々とこの第一陣に加わる、別の舞台がイラクやイランから、シリアに向かうことになろう。
 イスラエルが恐れているのは、今回入るであろう部隊だけではない。その後に続く部隊が、シリアに入りアサド体制を、強化することだ。もちろん、ネタニヤフ首相はこうした、イラン・イラクの動きをけん制しており、『シリアに入るな。』と警告している。
 もし、このイランとイラクの部隊が、シリアに入ることになれば、イスラエル軍は直ちに空爆し、このイラン・イラク合同部隊を、殲滅するであろう。しかし、1万人の部隊、それに続くであろう、新たな部隊を前に、空爆だけで阻止できるのであろうか。
 このイランの動きは、イスラエルに対する警告であろう。これまでもイスラエル側は、イランの核開発問題や、シリアへの軍事介入と、シリアのゴラン領近くに、武器製造工場を開き、軍事基地も設置したことに対し、強い懸念を抱き、何らかの対応が必要だ、と強調してきていた。
 イランはそうした、イスラエルの攻撃的な対応に対し、逆に警告するのが今回の、部隊の派兵計画であろう。ことが緊迫していることと、イスラエルの不安の大きいことから、これが何時イラン・イスラエルの、武力衝突になっても,不思議はあるまい。
 ただ大量のミサイルを、保持する状態になったイランは、そう簡単な相手ではないことは、確かであり、イランがイスラエルに対する、ミサイル攻撃を行えば、相当の犠牲がイスラエル国民の間に、生まれることになろう。従って、イスラエルとすれば、アメリカの軍事圧力に、期待したいところであろう。
 だが、アメリカはイスラエルやサウジアラビアを使って、イラン攻撃をし、アメリカ自身は軍事的対応はしたくない、というのが本音だ。このようなことから、最近、アメリカとイスラエルとの関係に、溝が入っているのではないか、という疑問が、出始めているのであろう.
Posted by 佐々木 良昭 at 11:28 | この記事のURL
NO:5364 1月17日『トルコの安全地帯創設にクルドが反発』 [2019年01月17日(Thu)]
ロシアの情報によれば、シリアのクルド組織SDFが、トルコ主導で進められようとしている、トルコ・シリア国境地帯への、安全地帯設置構想について、反発し始めている。これは当然の反応であろう。

トルコが進めようとしている安全地帯は、シリアの領土内部であり、そこにトルコが主導で、安全地帯を設置すれば、当然管理はトルコ、ということになろう。そして、トルコ政府が反YPG、SDFであることから、安全地帯に設けられる難民キャンプには、彼らは入れないことになろう。

シリアのクルド・ミリシアの主張では、安全地帯はシリア政府の管轄になるべきだ、というのだから正論であろう。だが、アメリカはトルコを主体にして、この安全地帯設置を考えている。シリアとアメリカとの関係を考えれば、これまた当然の帰結であろう。

シリア・クルドの政治家アドラール・ハリール氏は、安全地帯は国連によって、運営されるべきだと主張している。そうでなければ、シリアの主権が侵され、クルドの主権も侵されることになる、ということだ。この安全地帯の構築には、合同軍なかでもアメリカの支援が、欠かせないということは自明であろう。トルコのチャウソール外相も、筋が通らないとクルドの主張に、反発している。

 他方、ロシアはというと、シリア北部のシリアの主権は、犯されるべきでないとし、シリア北部地域はシリア政府と、シリアの治安軍に渡されるべきだ、と主張している。その流れの中では、ロシアはシリア政府とクルド・ミリシアの対話が、始まったことを歓迎している。いまの段階では、残る未開放地域は、イドリブだけとなっているが、それも近く解放されよう。

 さて、今後の動きはというと、トルコとシリア、そしてクルドが話し合いに、入るかもしれない。だがその場合、トルコ側はクルドの交渉への参加を、拒否するのではないか。そうなれば、シリア政府がクルドを含めて、代表する形になろう。

 そのシリアとトルコとの交渉を、アメリカとロシアが支援する、ということになろうか。この交渉は簡単ではないかもしれないが、ここまで来れば、進めないわけにはいくまい。

 もし、この交渉でトルコとシリアの、冷たい関係が改善されれば、両国にとっては幸いであろう。もちろん、いままでもトルコとシリアは、地下水脈を通じて、交渉をしてきている。従って、不可能ではないということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:01 | この記事のURL
NO:5363 1月16日『トルコのクルド対応・物事は常識に帰結』 [2019年01月16日(Wed)]
アメリカのトランプ大統領と、トルコのエルドアン大統領という、世界的にも有名な毒舌二人が、クルドの問題をめぐり怒鳴りあっていたが、結局、常識の線に帰結したようだ。当たり前であろう。アメリカもトルコも、戦争などしたくないのだ。

これだけ兵器の値段が高くなり、一度戦争をしようものなら、どれだけの出費につながるのか、想像もつくまい。戦争をすることは、国家を疲弊させ、破綻させることになるのは必定だ。

アメリカ軍のシリアからの撤退後、シリアのミリシアをどう処遇するかをめぐり、トルコとアメリカとは、言い争いしていたわけだが、結局、常識の範囲に収まったようだ。

前にも書いたが、トルコとシリアの国境沿いに、安全地帯を設定し、そこからはトルコ軍も、クルドのミリシアを攻撃しないし、クルドのミリシア側もトルコに越境攻撃は、かけないということだ。

少なくとも、この合意は当分の間は守られよう。しかし、一定の時間が経過すれば、特にクルドからのトルコへの攻撃が、起こるのではないかと思われる。それは、トルコ国内にいるクルド労働党(PKK)の意志が、クルド人全体に強く働くものと、思われるからだ。

今回のトルコとアメリカの、クルド庇護をめぐる合意は、大いに歓迎だが、これにはトルコを歓喜させる、幾つもの合意が隠されている。まず、今回の合意でトルコはシリアの領土9万6000平方キロを、支配することができるようになるわけだ。

トルコとシリアの国境は3000キロあり、それの32キロ内部を安全地帯と設定した。つまり、そのエリアは96000平方キロということになる。それは日本の総面積のおよそ、4分の1にあたるのだ。

  もちろん、実際的にはクルド人の支配地域の、国境地帯だけということになり、それは3000キロではなく、2000キロになるかもしれないが、それでも広大な地域ということになろう。しかも、シリアの北部は地下資源の豊富な地域でもある。

 トルコは安全地帯を確保し、そこを開発し、人が住めるような状態にした後、トルコに逃れたシリア難民を、安全地帯内部に帰すつもりでいる。これは国際的な人道問題であることから、トルコは国連やEU,アメリカも巻き込み、安全地帯の開発を進めることになろう。

 EUにしてみれば、もしこのトルコの構想に賛同し、一定の援助金を出さなければ、トルコに居るシリア難民を、大量に送り込まれる不安があることから、喜んで(?)資金を出すことになろう。アメリカは資金を出すのと同時に、トルコと組んで、開発事業に乗り出し、ビジネスチャンスをつかもう。アサド政権にも少しはうまみを分け与えて、賛同させるということではないか。

エルドアン大統領の粘りは結果として、多くのメリットをトルコにもたらしたようだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:13 | この記事のURL
NO:5362 1月15日『アメリカ・トルコのクルドめぐる攻防』 [2019年01月15日(Tue)]
アメリカとトルコがいま、クルドのミリシアに対する対応をめぐり、真っ向いから衝突している。アメリカに言わせると、クルドのSDFやYPGは、IS(ISIL)対応に全面的に協力してくれた戦友であり、彼らを守らなければならない、と考えている。

他方、トルコにしてみれば、トルコのクルド労働党(PKK)とつながっているYPGは、テロ組織であり放置できない、せん滅すると考えている。トルコにしてみれば当然のことであり、たとえエルドアン大統領といえども、クルドのことで妥協すれば、国民から大反発を、受けることになろう。

アメリカはそんなことはお構いなしで、シリアからのアメリカ軍の撤退にあたっては、出来るだけ多くの武器を、SDFやYPGに残してやりたい、と望んでいる。その武器は近い将来、トルコに向けられるものだということは、全く気にしていないようだ。

トルコはアメリカ軍のシリアからの撤退を、要求してきていたが、やっとアメリカ軍が撤退の運びとなったいま、その空白を埋めるべく、軍をシリア国境に大移動している。まさに即戦闘の体制を敷いている、ということだ。

これに対してトランプ大統領は、トルコに対して『もしトルコ軍がクルドを攻撃するのであれば、トルコ経済に壊滅的な打撃を与える。』と脅しをかけたのだ。これにはさすがの、強気のエルドアン大統領も、対応に躊躇していることであろう。

トルコは既にアメリカの仕掛けた経済戦争で(昨年8月)、相当のダメージを受けているだけに、今回のトランプ大統領の脅しは、真剣に受け止められていよう。さて、そうなればトルコはアメリカとの間に、何とかメンツを保ちながらの、妥協を探らなければならない、ということだ。

 多分、トルコとアメリカは、トルコとシリアとの国境地帯に、安全地帯を作り、そこにはトルコ軍が入らないし、クルド側もそこからトルコ側には、越境攻撃をかけてこない、ということであろう。トランプ大統領は脅しをかけた後に、トルコの経済が活性化するよう、支援する用意もある、と語っている。まさに飴とムチの発言だ。

 トルコとてクルドを撲滅したい気持ちは強いが、自国経済を破壊されたくはないし、自国兵士の犠牲も生みたくないだろう。そこでこんな妥協が生まれる可能性が、高くなってきているのではないか。
 トランプ大統領の大口はハッタリであり、武力を伴わない恫喝なのだが、経済で攻撃されたのではたまるまい。それにしても、アメリカはもう実戦が出来ない国になり下がった、ということであろう。考えてみれば、アメリカはベトナム戦争以来、実戦で勝った戦争は一つも無い。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:53 | この記事のURL
NO:5361  1月14日 『アメリカがカタールの完全擁護に回った』 [2019年01月14日(Mon)]
アメリカ軍の中東最大の基地が、アラブ湾岸諸国のカタールにあることは、ある程度日本でも知られていよう。それは考えようによっては、カタールがアメリカと姉妹関係(属国)になった、ということを現していよう。まさに一衣帯水の関係ということだ。

その中東最大のアメリカ軍基地が、今後さらに拡張されることが発表れた。これではカタールの領土の何割が、実質的にアメリカに支配されているのか、疑問が浮かぶ。カタールは現在、アラブ湾岸諸国からボイコットされており、サウジアラビアは機会があれば、カタールに対する軍事侵攻も、辞さないという姿勢だ。

以前には、サウジアラビアがカタールの国王を、暗殺する計画を立てたこともある、と伝えられているほど、両者の敵対感情は、激しいものになっているようだ。サウジアラビアはイエメンと言い、カタールと言い、イランと言い、兎に角敵対することが、好みなのかもしれない。

 それは実はサウジアラビアの国内情勢が、極めて不安定だからではないのか。だから国民の関心を、国外に向けよう、国民の怒りを国内ではなく、国外に向けようという作戦なのではないのか。

 そうしたサウジアラビアの敵意の前に、カタールには対抗手段が無く、唯一頼れるのはアメリカ軍の存在であろう。このため、カタールはアメリカ軍の拡張を、簡単に認めたのであろう。

 カタールはそれだけでは無く、アメリカに45億ドルの投資を、行うことも決めた。金の力でアメリカを引き付けておきたい、ということであろう。カタールにしてみれば、国を失うよりは45億ドルの金で、アメリカに守ってもらえるのなら、安いものであろう。

 アメリカはこうしたカタールの、好意的なオファーに対して、アラブ湾岸諸国はカタールをボイコットすることを止め、受け入れるべきだと言い出している。それは正論なのだが、同時にその言葉はサウジアラビアに対する、警告でもあろう。

 アメリカとサウジアラビアとの関係は、カシオギ事件以来、最悪の状態にあると評する専門家もいる。確かにアメリカの居住権を持つ、アメリカ一流紙の評論家が、こともあろうに、サウジアラビアの領事館で、殺害されたのだから、アメリカにとっては面子丸つぶれ、であったろう。

 トランプ大統領のサウジアラビア擁護も、最近、影を潜め始めているが。アメリカ議会では民主共和両党共に、サウジアラビアに対する厳しい対応を、求めている。

 これでアメリカは完全に、カタールとサウジアラビアを、手玉に取れるようになった、ということか。ご丁寧にも、イランが核濃縮を始めており、アメリカはアラブ湾岸諸国に、大量の武器を買わせるつもりでもあろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:01 | この記事のURL
NO:5360  1月13日 『ポンペオ国務長官は何を根拠に楽観』 [2019年01月13日(Sun)]
 アメリカのポンペオ国務長官は、アラブなど中東の9カ国を訪問し、その後に成果の一部を、口にしている。訪問した国はトルコに加え、エジプト、ヨルダン、オマーン、クウエイト、イラク、サウジアラビア、カタール、バハレーン、アラブ首長国連邦などだ。

 つまり、ほとんどの主要アラブ諸国を、訪問したということだが、その主題はアメリカ軍のシリアからの、撤退であったはずだ。昨年の12月に、トランプ大統領は『全てのアメリカ兵をシリアから引き上げ、帰国させる。』と宣言したのだが、物事はそう簡単で、無さそうだ。

 こうしたことから今回の主要訪問国は、トルコであったと思われるのだが、ポンペオ国務長官は『話し合いは上手く行った、希望が持てる。』といったコメントを、訪問先のアラブ首長国連邦で語っている。

 彼の受けた印象では、トルコ軍がシリアのクルド・ミリシアを守り、武力衝突はトルコ軍とクルドのSDFやYPGとの間には、起こらないというのだ。それは少し虫のいい話ではないか。

 何度も書いてきたが、クルドのミリシアはトルコのクルド・テロ組織PKK(クルド民主党)
と繋がっており、このPKKはトルコで、4万人以上のトルコ国民を、殺しているのだ。そしてPKKと連携するYPGは、国際的にもテロ組織とされているのだ。

 その仇敵であるクルド・ミリシアを、トルコ軍が守るというのは、どうも納得がいかない。だからいままで、アメリカ軍がシリアから撤退した後に、クルド人の虐殺が起こる、という予測が出ていたのだ。

 ポンペオ国務長官は彼の訪問が、成功であったことを印象付けたいために、根も葉もない話をしたのではないのか。加えて、彼が提案した来月のポーランドでの、中東会議も成功するとは思えない。

 10カ国が参加して開催される予定だが、その参加国は何処なのか、エジプトやサウジアラビアは参加しても、それでは肝心の問題に関する立場を持った国が、出て来ないのではないか、といわれている。

 もし、この会議を成功させたいのであれば、当事国のシリア、トルコ、クルドの参加は絶対必要であろうし、イラクも然りであろう。アメリカ軍がシリアから撤退した後には、IS((ISIL)が再台頭してくることが、予測されるからだ。

 ポンペオ国務長官には世界の流れが、見えていないのではないか、。あるいは、あくまでも無責任に、持論を披瀝しているだけなのか。こんな無責任な人物が、世界最強国家アメリカの国務長官、というのは怖い感じがするが。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:40 | この記事のURL
NO:5359  1月12日  『欧米のIS参加者はオリジンはアラブなど』 [2019年01月12日(Sat)]
最近ニュースを見ていると、イギリス人のIS(ISIL)戦闘員が、エジプトから追放されたという話が伝えられていた。そして、その前にはアメリカ人のIS(ISIL)戦闘員が、イラクだったと思うが、逮捕されたというニュ−スが、伝えられている。

ニュースの表面だけを見ていると、多数の欧米人がIS(ISIL)の戦列に並んでいるような印象を受けるのだが、どうも必ずしもそうではないようだ。彼らのオリジンはアラブなのだ。例えば、イギリス人のIS(ISIL)戦闘員で、エジプトから追放された人物は、エジプト出身でイギリス国籍を、取得していた人物だった。

もちろん、純粋なヨーロッパ人がIS(ISIL)の、戦闘員になっているケースも、多数見られた。彼らは豊富な知識を持っていることから、IS(ISIL)のなかでは、幹部になっていた者も少なくない。
 IS(ISIL)はイスラム原理主義のテロ組織であることから、イスラム教徒で無ければ不都合なはずなのだが、IS(ISIL)側はキリスト教徒の彼らを、受け入れていたということであろう。もちろん、IS(IISL)側は彼らがキリスト教徒からイスラム教徒に、改宗したと 言うだろう。
 こうした傾向を見ていて思うのは、ある人物の国籍が欧米人でも、彼らのオリジンはアラブ人であったり、中央アジア人であったりアフリカ人であったり、アジア人というケースが、多数見受けられる時代になっているのだ、ということだ。

 また、そうした安易に国籍を与ええる傾向が、欧米諸国にはあった(現在もそうかは不明)
ということであろう。シリアの難民が多勢でヨーロッパ、なかでもドイツに入り込むと、彼らの一部は市民権を与えられたり、国籍を与えられたりする。

 トルコからは政治亡命者が何千と、ドイツなどヨーロッパ諸国に押しかけ、居住権を獲得しており、一部は国会議員になったり、カナダでは確か市長になった者もいた。つまり、今の時代はその人のオリジンがどうであれ、入国した国の居住権を得たり、国籍を得ることが可能だということだ。

 実は日本でも同じようなことが起こって久しい、多くの韓国オリジンの人たちが何時の間にか日本国籍を取得し、国会議員になってもいる。彼らは当然、韓国の利益を第一に考える人達が、多いのではないだろうか。

 日章旗をたなびかせて、街宣車でガナリ立てる右翼のなかにも、在日韓国人が多いと聞く。こうなってきたらもう、通常使われる名前や、国籍では区別が付かなくなってこよう。朝鮮半島の出身者の多くは、日本名を名乗っており、日本のマスコミはそのまま、日本名で報道している。これでは犯人は日本人だ、と思う人が多数であろう。
 
 そろそろ、日本でもその辺のこと、きちんと決める時期に、来ているのではないだろうか。そうしないと、突然、民族主義や愛国主義の大波が、日本社会で拡大していった時、彼らを守りきれなくなるのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:50 | この記事のURL