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NO:5347  12月31A日  『シリアは各国の草刈場か?希望が始まったのか?』 [2018年12月31日(Mon)]
  シリアの内戦はほぼ終わったようだ。そのため、地域各国がシリアに対する対応を、大きく変更しつつあるようだ。例えばUAEやバハレーン、カタール、オマーン、ヨルダンといった国々は、シリアにある大使館を再開する方向に、動き出している。

 バハレーンはシリアを、地域大国として認めるべきだ、と言い出しているが、このバハレーンの発言の裏には、サウジアラビアの意向が働いていよう。サウジアラビアはアサド政権を打倒する、と言っていたわけだから180度方向を変えた、ということであろう。

 ヨルダンの動きは、シリアとの経済関係拡大に、第一目的があるようだ。隣接する国同士が協力することになれば、その効果は大であろうし、シリアはまだ未開発の遺跡が沢山あり、観光開発しようと思えば、大きな可能性を持っている。しかも、シリア料理は旨いことでも有名だ。

  他方、地域の国々のシリア進出には、これとは異なる傾向も見えている。その筆頭はトルコであろうが、トルコはシリアなかでもシリア北部への、影響力を拡大する方針であり、大軍を国境地域に送り込んでいる。

 これはシリア北部を拠点とする、クルド勢力に対する軍事的圧力の、行使であろう。クルド人たちはなんとかシリア国内での、自治権の獲得を願うと同時に、トルコ東部を奪取し、将来のクルド国家の設立を、夢見ていたからだ。

 そのクルド人の夢は、アメリカ軍が早期に撤退したため、当分進展しそうには無い。アメリカはクルドのSDF,YPG,PYDを使い、シリアへの軍事的影響力を維持していたのだが、突然撤退する形となった。これではクルド勢力は、トルコ軍と対等に闘うことは出来まい。

 イラクもトルコ同様に、シリアに対する影響力を、拡大するつもりのようだ。その主張は、あくまでもIS(ISIL)を掃討する、ということにあり、イラク軍はシリアとの国境地帯に集結している。これでは、各国はなかなかイラクの動きを、非難し難いのではないか。

 イランもまた、シリアに確固たる地歩を、固めたいようだ。それはシリアがイランの構想する、シーア派地域の拡大と、サウジアラビアの包囲にあろう。イラン、イラク、レバノンのヘズブラ、シリアのアサド政権、イエメンのホウシ派は、いずれもシーア派であり、サウジアラビアとは宗派を異にしているのだ。

 ロシアはどう動いているのであろうか。当然のことながら、ロシアは今後のシリアに対する、各国の動きを調整し、自国に有利な形にしていこう、と考えていることであろう。トルコのシリアに対する軍事攻勢では、ロシアが待ったを掛けているし、イランの軍事台頭にも、ブレーキを掛けている

 ではアメリカはどうかというと、アメリカは撤退後のシリア対応に、まだ明らかな方針を示していない。言えることは、イラクに新設した2基地を使い、シリアに何時でも再進出できる形を、維持していくということであり、アメリカにはシリア再台頭の意思が、明らかだということであろう。こうして考えてみると、新年もシリアをめぐる活発な、ポジテブ、ネガテブな動きがあるということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:21 | この記事のURL
NO:5346  12月31日   中東TODAY  『傭兵の傭兵の傭兵、、、』 [2018年12月30日(Sun)]
豊かな国は自国の兵士を、戦場に投入しても戦闘はさせない、という雰囲気が世界的に広がったのが、今年の特徴だったのではないか。金の有る者は血を流さず、金の無い者は自分の血で、少しばかりの金を得るということだ。

 世界中を騒がせた、IS(ISIL)の戦闘員についても然りだ。彼らは何もIS(ISIL)の思想に惹かれて、IS(ISIL)に加わっていたわけではない。基本は生活苦の解消に、あったのだ。

 ごく一部の例外はあっても、IS(ISIL)に参加した者たちは、経済的に厳しい国の人達が、多かったのだ。アラブではチュニジアがそうであり、この国では失業、物価高などが際立っている。中央アジアのウズベキスタンや、タジキスタンからの参加者も然りだ。

 シリアの内戦では、アメリカ兵はシリアに入ったものの、飛び道具(空爆やミサイル攻撃)
での戦いがほとんどで、地上戦にはほとんど、加わっていなかったのではないのか。アメリカはトルコ兵に戦闘を任せたが、トルコも比較的経済的には、余裕があったのであろう。

 トルコも下請けの雇い兵を募ることになった。その雇い兵はシリア国内の、アラブ人やマイノリテイなどであり、集められた戦闘員たちは、FSA(自由シリア軍)と名づけられた。そして、それをアメリカは自由の戦士たちであり、イスラム過激派テロ集団ではないとした。

 アメリカもまたシリアでは、クルド人を傭兵とした。彼らはSDFとかYPGとかPYDと名づけられ、戦闘に参加した。これも、アメリカはクルドの自由を求める戦士たちであり、自由の戦士であり、イスラム過激派ではないとした。

 アメリカの認定はいい加減であり、その時々のアメリカの都合によって、一つの戦闘集団がイスラム過激派になったり、自由の戦士になるという具合だ。例えばアルカーイダのシリアにいるグループは、ヌスラと名乗り始め、穏健派と見なされるようになったが、彼らはシリアでの戦闘の始まりには、人の内臓を食うシーンを、ネットで流していた。
                                            
 サウジアラビアも然りで、イエメン戦争ではスーダンから少年を集め、銃を持たせて戦わせている。彼ら少年たちが一日に受け取る日当は、多分1ドルか2ドル以下ではないのか。それは少年たちの命の代償なのだ。

 一番酷いのは自国の政府が、自国民を戦闘員にする形ではないのか。パレスチナのガザにいるハマースは、大衆蜂起の名の下に、子供たちまで危険な前線に狩り出し、デモをさせ死亡させている。

 アメリカのトランプ大統領は、国民を戦線から戻すと言い出し、シリアから撤退させることを明言し、アフガニスタンからも撤退させようとしている。彼の本音が何処にあるかは知らないが、表面的には最もその通りであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:27 | この記事のURL
NO:5345  12月30日 『ムバーラク元大統領の名誉回復』 [2018年12月29日(Sat)]
サダト大統領の後を継いで、長い間エジプトの大統領職を勤めたムバーラク大統領は、アラブの春の嵐の中でムスリム同胞団に追い詰められ、失脚させられることになった。その罪状は独裁、汚職、拷問など、幾つもの嫌疑によるものだった。

ムスリム同胞団はエジプト人大衆の、生活苦から来る不満を抱え込み、ムバーラク大統領を失脚させるのだが、その後の選挙で、シャフィーク氏と争いムスリム同胞団のモルシー氏が、大統領に就任した。

そして、そのモルシー大統領の政権は、現在の大統領であるシーシ将軍の率いる、軍のクーデターで倒され、モルシー大統領は獄中に繋がれることになった。つまり、ムバーラク大統領とモルシー大統領は、二人とも大統領公邸から、獄中の人となったということだ、

ここに来て興味深いことが、起こり始めている。それは、このムバーラク大統領は裁判所で、もっと証言させろと言い出したことだ。述べるまでも無く、ムバーラク大統領は彼が失脚に至る、アラブの春革命の中で、ムスリム同胞団が裏で何をやっていたのか、熟知する立場にいた。

ムバーラク大統領はムスリム同胞団が、ガザの戦闘員たちを秘密トンネルを使い、エジプト領に入らせ、破壊活動をさせていたと言い出したのだ。ガザから入ったパレスチナ人の戦闘員たちは、容赦なくムスリム同胞団に反対する、エジプト国民を殺していたのだ。

何故ガザの戦闘員がそこまで、ムスリム同胞団を支えたかというと、彼らの主体はエジプトとのそれと同じ、ムスリム同胞団なのだ。ガザのムスリム同胞団が、戦闘を展開するために、結成したのがハマースであり、彼らは宗教的よりも、政治よりも、戦闘を主体とする組織なのだ。

アラブの春の頃、カイロではビルの4
階から、市民が投げ落とされて殺される、シーンが報道されたし、黒尽くめの戦闘員たちが、行進する様子も報じられた。そうしたネガテイブなイメージはそのうちに、カーテンの後ろに押しやられ、民主的なムスリム同胞団の政権、というイメージが表に出てきた。

だが、それは全くの嘘だった、モルシ−大統領はエジプトの金産出地域、ハラーイブをスーダンにくれてやり、シナイ半島北部はハマースにくれてやる、ということを工作していたのだ。述べるまでも無く、これはエジプトの国益に、反する行為だった。

ムバーラク元大統領はこうしたムスリム同胞団による、反国家の動きを全て語ろうとしているということだ。それでは、それが何を生み出すのかということになるが、ムバーラク元大統領はムスリム同胞団の真の姿を、国民に知らせたい。そして、彼自身は非難されるべきではなかったとし、ムバーラク元大統領を失脚させた、ムスリム同胞団に報復すると共に、彼の地位は未だに大統領だ、と言いたいのであろう。

現在90
歳のムバーラク大統領が、大統領職に復帰することを望んでいるとは思えないが、今回の証言で、彼は名誉を回復し、彼の二人の息子も無罪となる可能性が、出てくるということであろう。父親の名誉、そして子供を思う親の愛が感じられる、ニュースではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:53 | この記事のURL
NO:5344 12月29日『アラブには年末にパンで泣く人たちが沢山いる』 [2018年12月28日(Fri)]
2018年という年は、ほとんどの日本人にとっては、不満はありながらも、最低生活に困るような状況には、無かったのではないか。それなりに自分の生活レベルで、小さな幸せと満足を、感じて過ごしたのではないか、と思っている。

私もその一人で、高価な買い物をしたわけでもなければ、豪華な食事を楽しんでいたわけでもない。しかし、だからと言って、自分をみじめだとは、思わなかった。つまり、それなりの満足を感じていた、ということであろう

ところが、いったん日本から外国に目を向けると、多くの国でその日暮らしに、困窮している人たちが沢山いる。そのうちの何割かは、銃を持って命がけで戦い、そこでなにがしかの金を受け取って、暮らしている。IS(ISIL)のほとんどの戦闘員は、この類であろう。

最近、インターネットで中東のニュースを見ていると、幾つもの国で食糧不足が、騒がれるようになってきている。食糧不足と諸物価の値上げが、直接的に庶民の日々の生活を、苦しいものにしているのだ。

スーダンではもう1か月以上にも渡って、パンの値上げ反対デモが続き、一部には死者や負傷者が出ている。政府は何とかしたいのだが、無い袖は振れないために、状況を放置するしかないのだ。

本来、スーダンは食料に事欠くようなことの、無い国だったはずだ。それはエジプトと並ぶ、ナイルのたまものだったからだ。その国が食料で苦しむということは、一言で言えば政治が、間違っているからであろう。かつて、ビン・ラーデンはスーダンのゴマの取引で、財を成していた時期がある。

スーダンのこの状態は当分続き、犠牲者が出続けるということであろうが、北アフリカのチュニジアでも、同様の状況が発生している。ここでもパンが値上がりし、諸物価が上がり、庶民は生活苦に追い込まれているのだ。

失業率が上がり、大学を出た若者たちが、仕事がない状態に追い込まれ、数か月前には、確か大卒の若い女性が、自殺したように記憶する。つい最近も、チュニジアの若者が自国の現状を悲観し、焼身自殺を図っている。

若い女性はおしゃれをしたいし、男性は恋を語りたい。しかし、そんな余裕は無く、暗い毎日が続いているのだから、自殺をしたくなる気持ちが分らないでもない。そんな状況だから、チュニジアはIS(ISIL)に、一番多く戦闘員を、出していたのであろう。

それはレバノンでもヨルダンでも、エジプトでも言えることであり、リビアでもしかりだ。カダフィ大佐の時代には、アフリカで最も豊かな国、と言われた産油国のリビアが、内戦の継続で今ではパンすらも、買えないような混乱状況にあるのだ。

ここで忘れてならないのは。アラブの多くの国の国民は、いまだに国家というよりも、部族単位で連帯しているということだ。いったん独裁者による押さえつけが無くなると、たちまちにして、各部族が勝手なことを言い出し、欲の皮を突っ張らせ、戦闘が展開されるようになるのだ。

 従って、こうした国では独裁者がいなければ、ならないということだ。それを民主的でない、と非難することは、聞こえはいいが、沢山の死傷者を生み出す元なのだ。イラクのサダム体制も、国民にパンを食わせないという状態は、創り出さなかったのだ。

 必要悪としての独裁者たちに、万歳と言いたい気持ちになるような、暗いニュースの多い、最近のアラブ世界だ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:40 | この記事のURL
NO:5343 12月28日『米軍撤退後のトルコシリアなどの分捕り合戦』 [2018年12月27日(Thu)]
アメリカ軍はシリアに公式には、2000人いたと言われているが、実質は1万人を超えていたようだ。その事はアメリカ軍のシリアからの撤退の後には、多くの未だに使えるものが、放置されているものと思われる。

それらは食料であったり雑貨であったり、カメラやラジオなどの電化製品であったり、武器であったりしよう。アメリカ軍は壊れた武器をご丁寧に、自国に持ち帰ることなどあるまい。

しかし、物不足の生活をしている人たちには、壊れた電化製品も武器も修理して、使えるようにすることができるのだ。以前そんな光景をカイロの街中で、見たことがある。どう見ても日本人にはもう使えない、と思われる電化製品がそこでは修理されていた。もちろんパーツとしても、売れる価値があるのだ。

そのことに加え、アメリカ軍が支配していた地域は、その土地に価値がある。

地下資源があるところを狙ってアメリカは支配し、基地を建設していたのだ。

そのようなことがあるために、いまシリアのアメリカ軍占領地域は、各国各派の、草刈り場のような状況になりつつある。トルコ軍が入り、シリア軍が入り、トルコの意向を受ける
FSA(アラブ人が主体)アメリカ軍の配下だったSDF(クルド人)も入っている。

なかでも、アメリカ軍基地のあるマンビジュは、各国各派ともに強い関心を示している。ここはユーフラテス川東岸の油田地帯に近い地域だからだ。かつては
IS(ISIL)がこの辺を支配し、石油を密売して軍資金を稼いでいたのだ。

これからはアメリカ軍が撤退したことをいいことに、トルコが自国領土のように大きな顔をして、軍事行動を始めることであろう。トルコはシリア軍とは比べものにならないほどの、武器を持っているはずだし、兵士の訓練も行き届いていよう。

そのトルコ軍とまずクルドのYPG
が武力衝突しよう。トルコとシリアとの間には、あるいは密約が出来ているかもしれない。そう思われるのは、ロシアがシリアと強い関係にあり、ロシアはトルコとも良好な関係にあるからだ。

今回の陣取り合戦で一番不利なのは、あるいはクルドのYPGかもしれない。これまではIS(ISIL)対応で、シリア政府とYPG
との間には、ある種の密約があると言われていた。シリア政府はYPGがIS(ISIL)
対応で協力してくれるならば、シリア北部の自治権を、クルド人に与えると約束した、と言われていた。

しかし、いまは状況が変わったろう。一番シリア政府が妥協しなければならないのは、クルドではなくトルコではないのか。そうなると、クルドのトルコに対する憎しみは何倍にもなり、激しいクルド(
YPG)とトルコ軍の戦闘が、展開されるのではないか。そうはなってほしくないものだ
Posted by 佐々木 良昭 at 11:22 | この記事のURL
NO:5342 12月27日『トランプは恥じ知らずか』 [2018年12月26日(Wed)]
アメリカはとんでもない人物を、国家元首に選んだようだ。それはアメリカ国民のレベルを、表しているのであろうか。『貧すれば鈍する』という言葉があるが、失業が増え生活が苦しくなる中で、アメリカ国民はトランプが希望を与えてくれると思い、大統領に選んだ。

トランプはアメリカ国民に希望を与えただろうか。アメリカ軍のシリアやアフガニスタンからの撤兵は、その一つであろうが、帰国後に彼らを受け入れてくれる職場は、あるのだろうか。

 今のアメリカの景気は、政府が作ったまやかしであり、実質的なものではない。まともな輸出品と言えば武器だが、これも欠陥が目立っている。しかし、開発に莫大な投資をしているために、その元を取らなければならない。結果として友好国(?)に、強引に売りつけることになる。

 売りつけられる側の主な国々は、サウジアラビアを始めとした、アラブ湾岸諸国という産油諸国、そして日本だ。これらの国のトップは誰も、トランプに対してノーと言えないのだ。

 そればかりではない、シリアから何のメリットもないとして、米軍の撤兵を決めたトランプ大統領は、いけしゃあしゃあと『サウジはシリアの復興資金を出す。』と公言している。そしてカタールやアラブ首長国連邦、トルコに対してもだ。

 誰がシリアのインフラを破壊したのかと言えば、アメリカに決まっているのだが、そんなことはお構いなしだ。壊した者が弁償するのが、世のあたりまえの理屈、それすらもトランプ大統領は無視しているのだ。

 理屈を分かっていてやっているのだから、トランプ大統領は確信犯なのだ。そしてメキシコとの国境に、塀を作ると言い出した彼は、国家予算の執行を止めて、それを実現しようと考えている。これではアメリカは国家の体を、なしていないではないか。

 アメリカのシリアからの撤兵は、とんでもないことを、いま起こそうとしている。アメリカに捨てられたSDFやYPG、つまりクルドの勢力は32000人以上のIS(ISIL)のメンバーを、釈放すると言い出している。

 これまでYPGはアメリカの意向を受けIS(ISIL)の掃討に邁進してきていたのだが、この期に及んでは、もうそんなことは忘れる、と言うことであろう。クルドとIS(ISIL)が一体となった場合、相当の破壊力を持つことになろう。それは周辺諸国ばかりではなく、アメリカにも向かいうるのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:32 | この記事のURL
NO:5341 12月26日『トランプ大統領の無責任が来年を暗くする』 [2018年12月25日(Tue)]
突然、トランプ大統領がシリアから撤退すると宣言し、後はトルコに任せると言ってのけた。そもそも、トランプ大統領がシリアからの撤退を決断したのは、エルドアン大統領がせかすからだった、と語っている。

確かに、エルドアン大統領は、何度と無くシリアのマンビジュからの撤退を、アメリカ側に要求していた。そうでなければ、トルコ軍がアメリカ軍と武力衝突する危険性があるからだ、ということだった。

アメリカのあまり国際関係を考えない国民にとっては、アメリカ軍のシリアからの撤退は、軍人の家族への、最大のクリスマス・プレゼントだとして、歓迎されよう。しかし、状況はそれほど簡単ではないし、アメリカの責任を問われることになろう。

アメリカ軍が本当に、全面撤退するようなことになれば、それまで保たれていた軍事バランスは、大きく変わり、武力衝突が関係各国や、ミリシアとの間で起こる、ということだ。

例えば、一番最初に考えられるのは、トルコ軍とSDFやYPGとの、武力衝突であろう。SDFもYPG
もクルド勢力であり、反トルコの立場にある。そして、トルコ政府はYPGやSDFを打倒したい、と考えているのだ。

もし、トルコがYPGやSDFの存在を放置すれば、将来、トルコの東部地域がクルド人によって奪われ、クルド国家が出来上がる危険性があるのだ。従って、トルコ軍はどうしても、このクルド勢力と戦わなければならない、ということになる。

シリア政府にしてもクルド勢力を、のさばらせておくわけにはいくまい。クルドのYPGやSDF
は、アメリカの支援を受け、武器を大量に与えられ、十分に戦闘する能力を、持つに至っている。クルド勢力はシリア北部を支配し、トルコ東部と結び付け、クルド国家を作る意思を、強めているのだ。こうしたことから、シリア政府はクルド勢力を、打倒しなければならない立場にある。

ロシアはどう動くのであろうか。ロシアはこれまでシリアのアサド体制を、支援してきている。それは、シリアにロシアが軍港を持っているからに、他ならない。しかし、状況の変化は、ロシアにトルコを選ぶのか、シリアを選ぶのかという、難しい問題を投げかけているのではないのか。

結果的には、ロシアはトルコもシリアも、自分の側に引き付けることになりそうだが、それはアメリカとの軋轢を高めることにつながり。ウクライナ問題などで、アメリカともめることになろう。

こうしたことから、来年は相当国際政治軍事問題が、複雑になるのではないか、と思われる。フランスもシリアの旧宗主国という立場と国益から、アメリカに対し厳しい注文を、付け始めてもいる。またSDFとFSAとの対立も激化するし、そこにIS(ISIL)も介入して来よう。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:56 | この記事のURL
NO:5340  12 『クリスマスというのに・中東は混乱の継続』 [2018年12月24日(Mon)]
クリスマスを祝って、楽しく過ごせる国は、世界に幾つあるのだろうか、と考えさせられる。キリスト生誕の地の中東では、相変わらず殺し合いが続いている。その敵対は同じ民族の間でも、起こっている。

パレスチナからは44人のパレスチナ人が、土地をイスラエル側に売ったとして、逮捕されたというニュースが、伝えられてきている。その土地を売った家族は、ご主人が刑務所に入れられ、残された家族はクリスマスだというのに、暗い悲しい情況に、落とし入れられた、ということであろう。

そうしたこともあってか、パレスチナ人の間では、パレスチナ自治政府ではなく、ハマースへの支持が高まっている。大衆は絶望の中で、イスラエルに憎しみを向け、命がけで戦うことで、鬱憤を晴らしているのかもしれない。

イラクからはサンタクロースの格好をした人が、警察によって逮捕された、というニュースが伝わってきている。警察はこれを否定してはいるが、多分逮捕は事実なのであろう。イスラム教徒にしてみれば、キリスト教徒のお祭りは、面白くないのであろうか。

この程度の話はあまり問題ではない。トルコの場合はまさに、地獄がそこまで迫ってきているようだ。トランプ大統領がエルドアン大統領をおだて、アメリカ軍はシリアから撤退し、その代わりにトルコ軍をシリアに送り込むことに、成功したようだ。

これまでも、アメリカ軍はシリアに駐留しているとはいえ、空爆やミサイル攻撃はするものの、地上部隊が勇敢に戦ったという話は、聞いていない。今回のトルコへのIS(ISIL)掃討作戦の委譲は、完全にアメリカ軍将兵の血を、流さないようにする考えに、基づいているのであろう。

もちろん、このことにエルドアン大統領も、気が付いていないわけではあるまい。明日にでもシリア侵攻、と言っていたものが、いまになると出兵を遅らせる発言が、目立っている。エルドアン大統領は『アメリカ軍が完全にシリアから出たら、攻撃を開始する。』と言っているが、それはアメリカ軍のシリアからの完全撤退は、無いとみての発言であろう。

もし、トルコ軍が本格的なシリア侵攻を実施すれば、トルコ兵の中からもクルド兵のなかからも、相当の犠牲が出るものと思われる。そこにIS(ISIL)も加わってくるのだから、戦闘は複雑を極め、凄惨なものとなる可能性が、高いだろうと思われる。

キリストの祭りクリスマスは、血に染められた祭りに、なるということであろうか。加えて、イスラエルのネタニヤフ首相とトルコのエルドアン大統領は、激しい口喧嘩を始め、ネタニヤフ首相はエルドアン大統領を反セムだとまで非難している。

神は平安を求め、民は戦闘を求める、ということなのだろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:26 | この記事のURL
NO:5339  12月24日『アメリカ軍シリアに残存』 [2018年12月23日(Sun)]
 トランプ大統領はアメリカ軍を、シリアから撤収する、と公言した。それは、トルコのエルドアン大統領の助言に、基づくものだったとされている。しかし、その後の動きを見ていると、どうもアメリカ軍のシリアからの完全撤退は、ありえないようだ。

 シリアの北東部にあるタヌフ基地には、未だにアメリカ軍が留まり、撤退の様子は見えていない。そのタヌフ基地でアメリカ軍と協力している、マガウイール・サウラというグループは、ムハンマド・アッタッラーが主導しているが、彼はアメリカ軍は撤退する気配がない、と語っている。

 これまでロシア、ヘズブラ、シリアは、アメリカ軍の撤退を、呼びかけてきていた。そこには、5万人を収容する、難民キャンプがあるからだ。しかし、この地域に近いところに、イラン軍が陣取っており、なかなかアメリカ軍も、立ち去り難いのであろう。イラン軍はここから近いブカマールに、陣取っているからだ。

 イスラエルの専門家の語るところによれば、アメリカ軍はシリアの全域から撤退したくは無く、継続して留まりたいと考えている。アメリカ軍はクルドを放置したくない。これに対してエルドアン大統領は、アメリカに猶予を与える方針だ。

 アメリカ軍の撤退は、40日から60日とされているが、実際には4ヶ月から6ヶ月の長きに及び、最終的には撤退が覆されるのではないか、と見られている。

 アメリカとイラクは交渉を続けており、イラクの特別作戦部隊(ISOF)は、IS(ISIL)のイラクからの追放に、活躍した部隊だ。その部隊の幹部ムハンマド・ドレイミは、アメリカ軍はこのシリア・イラク国境のそばに、新たな基地を構築している、と語っている。

 今後の情況はロシア・アメリカ・トルコの協議の結果、決まっていくのではないか、ということだ。つまり、トランプ大統領の発言とは異なり、アメリカ軍には今後も少なくとも、一定期間はシリアに留まる必要がある、と判断しているということであろう。
 
 確かに今回のトランプ大統領の突然の撤退発表は、多くの関係諸国にショックを与えたのだから、さもありなんということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:10 | この記事のURL
NO:5338  12月23日 『アメリカ軍のシリア撤退はエルドアンに任せた結果』 [2018年12月22日(Sat)]
 何処まで信用できるか分からないが、今回のアメリカのトランプ大統領のシリアからの、アメリカ軍の全面撤退はトルコに後を任せたからだ、という報道がトルコのフッリエト紙に掲載されている。

 それによると話はこうだ。12月14日エルドアン大統領は、アメリカ軍のシリアからの撤退を、強く要求したということだ。これに対してトランプ大統領はエルドアン大統領に対して、トルコ軍は東ユーフラテス地域から、IS(ISIL)を追放できるかと尋ねた。

 トルコはこれに対して、YPGはIS(ISIL)掃討に役立っていない。YPGが望んでいるのは、東ユーフラテス地域を支配することだけだと答えた。そして、トルコ軍はIS(ISIL)と戦い、彼らを打倒することができる。実際に2016年には、トルコ軍がIS(ISIL)を攻撃し、4000人のジハーデストを、降伏させることが出来ている。

 サウジアラビア、イスラエル、ヨーロッパ諸国、クルドはアメリカ軍の撤退を望んでいない。アメリカ政府内でも国防省などは、撤退に反対している。シリア軍はアメリカ軍の撤退にあわせて、東ユーフラテス地域のYPG掃討作戦を、開始するだろう。と語ったということだ。

 トルコ側にすると、問題はアメリカがYPGに与えた武器を、回収するか否かということだ。トルコ政府はアメリカ政府に対して、以前からYPGへの武器供与に反対し、止めるよう要求してきたが、これに対して、アメリカ政府は時期が来たら取り上げる、と答えてきている。

 しかし、アメリカ政府がこれまで信頼して、共同で作戦を行ってきていたYPGから、与えた武器を取り上げるとは思えない。そうなると、トルコ軍の作戦には相当の犠牲が、伴うことになろう。

 トランプ大統領らしい無責任な、政策の現れであろう。アメリカ軍が撤退した後、IS(ISIL)が再度活性化したら、トルコ軍の責任にするのであろう。アメリカ軍はシリアからの撤退と時期を同じくして、シリアに近いイラク領内に、軍事基地を構築している。

 相当数のアメリカ兵士は、シリアからそこに移動するのであり、もし、シリア国内の情況が悪化すれば、何時でもシリアに進軍できる体制を、残すということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:17 | この記事のURL
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