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NO・2479 『オジャランPKK議長3月21日停戦発表か』 [2013年02月28日(Thu)]

 クルド人の正月にあたるノールーズの祭りの日に、PKK議長のオジャラン氏が、トルコ政府に対し、正式に停戦宣言をする可能性が、高まっている。
 この情報は先日彼を訪問した、BDP(PKKに近いクルドの政党)のメンバーが漏らしたものでありほ、ぼ間違いがなさそうだ。
 こうなると、PKKの戦闘員はイラクにある彼らの本拠地、カンデル山に引きこもることになるだろうし、そうでない者は武器を捨てて、一トルコ国民に戻るだろう。
 オジャラン議長が求めている交換条件は、数千人とも言われるPKK戦闘員の釈放だ。もちろん、トルコ人の捕虜も交換に、釈放されることになるということだ。
 この和平が実際に進むとになれば、エルドアン首相の支持は高まり、彼が望むようなアメリカ型大統領に就任するのも、夢ではなくなるかもしれない。
 3月21日はすぐに来る。和平も一緒にきて欲しいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:02 | この記事のURL
ウズベキスタンに行ってきます [2013年02月28日(Thu)]
各位
明日3月1日から3月6日までウズベキスタンに出張してきます。
ウズベキスタンの若者たちに大きな夢をもたらすべく頑張ってきます。
したがってその間は中東原稿ストップしますご了承ください。
Posted by 佐々木 良昭 at 21:51 | この記事のURL
NO・2478『大統領候補に名乗りを上げたモッタキ元外相』 [2013年02月28日(Thu)]

 イランで6月に行われる大統領選挙を前に、第一番に候補者としてモッタキ元外相が名乗り出た。これはあからさまな、アハマド・ネジャド大統領に対する、挑戦であろう。
 一時期、アハマド・ネジャド大統領はアメリカ大使館占拠事件のときの、メンバーの一人と噂されたが、モッタキ氏は20代から革命組織に名を連ね、革命達成後は革命防衛隊に名を連ねた、いわば古参の革命家だ。
 彼については諸説あり、トルコ大使を務めていた頃に、亡命イラン人を殺害した、とも言われている。しかし、日本大使も経験している人物であり、彼が大統領に就任すれば、イラン・日本関係は改善される、期待がもてよう。
 今回の彼の大統領立候補は、アハマド・ネジャド大統領が任期切れになり、彼の推すマシャイエ氏の当選を、阻止するつもりであろう。
 モッタキ氏については、ハメネイ派の学者アヤトラたちがバックアップしているし、アハマド・ネジャド大統領と対立してきた、ラリジャニ国会議長も推すであろう。
 うがった見方をすれば彼の立候補は、アメリカによる経済制裁の効果が、大分イラン国内で出てきたために、国民の不満が高まっていることを、受けての対応であるのかもしれない。
 ハメネイ師派は全ての責任を、アハマド・ネジャド大統領にかぶせ、新しい欧米との関係をモッタキ氏を大統領にすることによって、実現しようと考えているのかもしれない。
 少なくとも、モッタキ氏のほうが、西側諸国ではまともな人物としての評価が、アハマド・ネジャド大統領に比べて高いからだ。
 イランは一定のレベルまで、核開発を進めることに成功した。これで悪役アハマド・ネジャド大統領には、その責任をとる形で任を降りてもらい、次の段階に入ろうということかもしれない。
 イラン人の権謀術は、日本人などが考えに及ばない、レベルだとよく言われる。今回のモッタキ氏の大統領立候補は、最終段階まで実際のところは、分からないかもしれない。
 アハマド・ネジャド大統領に対抗してきた、ラリジャニ国会議長も大統領職への野心はあろう。ハメネイ派の推すラリジャニ氏と、モッタキ氏がぶつかり合うことは無かろうから、どこかの段階で調整が、行われるものと思われる。
 それはあと1ヶ月先か、あるいは2ヶ月先か見ものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 21:41 | この記事のURL
NO・2477『エジプトの人口9200万人に!!』 [2013年02月28日(Thu)]
 エジプトの人口が9・200万人に達したことが、最近行われた調査で判明した。その内訳は、エジプト国内に8400万人、エジプト国外には800万人のエジプト人が、居住しているということだ。
 エジプトの人口は2006年の段階では、7660万人だったが、それが10年もしないで、25パーセントも増えている、という勘定になる。
首都のカイロには、そのうちの7・1パーセントの住民が集中しており、当然、中東随一の大都会を、形成しているということだ。
 カイロとその周辺をグレーター・カイロととらえると、ここの人口は1800万人に達しているが、エジプトは基本的に、砂漠で覆われた面積の国家であることから、居住している地域は、国土の7・7パーセントだけになる。
 問題はこれだけ増え続ける国民人口に、パンを食わせること、仕事をあてがうこと、教育をすること、医療のサービスをするわけであり、政府にとってそのことは、並大抵の苦労ではあるまい。
 従って、パンを供給することだけでも、何時でも容易に国民は暴発する、という社会環境にあるということだ。
 ムスリム同胞団が支配する、現在のエジプト政治は、ムスリム同胞団の独走という感じではあるが、食糧供給(パンの供給)が決定的な弱点であろう。それをどう差配していくのかが見ものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:39 | この記事のURL
NO・2476『アメリカのシリア対応に変化の兆し』 [2013年02月28日(Thu)]
  アメリカ政府はアサド体制に批判的であり、シリアの反体制側にシンパシーを感じてきていた。しかし、なかなか具体的な方針を明らかにせず、同時に具体的な支援を行わないで来ていた。
 これまで、アメリカがシリアの状況に対応したと思われるのは、親米の湾岸諸国に対する働きかけであり、なかでもカタールやサウジアラビアに対する働きかけだった。カタールとサウジアラビアは、アメリカの意向を受け、シリアの反体制側に対し、資金や武器をトルコなどを経由して、送ってきていた。
 しかし、頑強な軍事力を有するシリア政府は、なかなか反体制側の攻撃によって、崩れることはなかった。このため、シリア内戦は長期化し、膨大な数の難民がヨルダンやトルコ、レバノンなどに流れ出している。
 そうした状況は、シリアの体制に対するロシアや中国、イランの支援があるからでもあろう。これらの国々は、シリアのアサド体制を擁護し、直接間接の支援を、送り続けている。
なかでも、ロシアは地中海地域に、唯一のロシア海軍利用可能な、シリアのタルトース港を確保し続けたいということから、シリア体制に対する支援を、行っているのだ。最近もロシア政府は、黒海から地中海に抜ける、海軍の自由を確保する必要があるとし、シリアのタルトース港に対する高い評価を、明らかにしている。
 アメリカ政府はこれらシリアの、体制擁護派の存在があり、これまでの対応だけでは、問題が解決に向かわない、と判断し始めているようだ。それでもアフガニスタンやイラクのような、直接軍を派兵しての問題解決には、アメリカ政府内部で躊躇する人士が多いようだ。
 アメリカの強硬論者のなかには、シリアの反体制派戦闘員に対する軍事訓練、武器の供与、アメリカ軍の派兵を考えている人たちもいるようだが、現段階ではそこまでは、踏み出せないでいるようだ。
 そこでジョン・ケリー国務長官はフランスの担当者と話し合い、もう一歩進んでシリア反体制派への、支援を検討したようだ。そこから出て来た当面の対応は、非軍事物資の提供、ということのようだ。
 しかし、このアメリカの一歩前に出た立場は、やがてそれ以上の前進を促し、軍の派兵もありうるのではないか、という懸念が湧いてくる。述べるまでも無く、アメリカ国内には軍産複合体なるものが存在すること、ブラック・ウオーターのような軍事支援企業が存在するからだ。
 アメリカのこうした企業群は、以前とは異なり、毎年継続して外国に戦闘員(警備員)を、派遣する必要があるからだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:04 | この記事のURL
NO・2475 『サウジアラビアのシリア反体制組織への支援』 [2013年02月27日(Wed)]
 サウジアラビアのシリア内紛への関与が、色濃くなってきているようだ。以前からサウジアラビアはカタールと並んで、シリアのアサド体制打倒に、背後から関与していると言われてきていた。
 今回表面化してきたのは、これまでの話よりももっと明確な形での、サウジアラビアのシリア問題への、関与ではないだろうか。サウジアラビアが外国から武器を購入し、ヨルダン経由でシリアの反体制側に渡している、という話が伝わってきた。
 その話によれば、サウジアラビアがクロアチアに金を払い、武器を入手しそれをヨルダン経由で、シリアの反体制側に渡している、ということだ。この動きは昨年の12月から始まっていた、とニューヨーク・タイムズ紙が伝えた、とイランのプレス・テレビが報じている。
 今回の武器給与では、小銃に加え機関銃そして重火器や、爆発物が含まれており、これまでの物とは格段に、本格的なものになっている、ということのようだ。
これらの武器はクロアチアで起こった戦闘時に、集められたものの残りであり、その処分について、クロアチアの高官が昨年訪米して相談した、という情報もある。
 サウジアラビアばかりではなく、アラブ首長国連邦はスイス製の手りゅう弾を輸入し、反シリア体制側に送った、ということのようだ。
 クロアチアから伝えられた情報によれば、クロアチアの空港から武器を詰めたカーゴが、76機の飛行機でヨルダンに運び込まれ、その飛行機便は昨年12月14日から12月23日までと、今年1月6日から2月18日に、クロアチア・ヨルダン間を飛んでいるということだ。
 アメリカとイギリス、そしてトルコ、サウジアラビア、カタールなどが、これまでシリアの反体制派を支援してきていたが、今回のサウジアラビアによる、武器の大量輸送は、それが一段階グレード・アップしたことを、意味しているのかもしれない。
 サウジアラビアはこれまで、シリア内戦に関与してきたことで、もしアサド体制が生き残れば、自国にとって危険が迫る、と判断しての行動かもしれない。確かにその懸念はあろうし、アサド体制が生き残る可能性も、現段階では否定できない。
 それは、ロシアがシリアのタルトース港を、唯一の地中海の軍港と、位置付けているからだ。ロシアは黒海の港とシリアのタルトース港を結び付けて、地中海域の海軍力を維持する、強い意志を持っていると伝えられている。
 今回のサウジアラビアの動きを起点に、シリア内戦は新たな段階に、入るかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:00 | この記事のURL
NO・2474『ガザから報復のロケット攻撃・イスラエルはどう対応』 [2013年02月27日(Wed)]
 イスラエルのマギッド刑務所で拷問を受けて、アラファト・ジャラダト氏が死亡した。この死因について、イスラエル側は彼が心臓病を患っていたことによるとし、拷問による死亡ではない、と説明している。
 しかし、パレスチナ人の誰もそう信じている者はいない。遺体を調べたパレスチナの医師団は、アラファト・ジャラダト氏が死亡したのは、頭がい骨などに受けた、打撲によるものだとしている。つまり、拷問があったと認めている。
 このアラファト・ジャラダト氏の死亡は、多くのパレスチナ人受刑者に、明日は我が身と感じさせたのであろう。4500人の受刑者のうちの、3000人が彼の死を悼んで、1日間のハンストをした。
 これだけではない、ヨルダン川西岸地区では、抗議のデモが行われてもいる。
 ガザからはロケットによる、イスラエル領土内への攻撃が行われた。これは、昨年11月に起こったガザ侵攻後に結ばれた、停戦合意を破るものであった。それだけパレスチナ人の怒りが、大きいということであろう。
 このガザからのロケット攻撃は、昨年行われた段階で、テルアビブやエルサレムまで届いたことから、大きなショックをイスラエル国民と政府に与えたが、今回のロケットはイスラエル南部のアシュケロン市の、南側の道路にダメージを与えるだけで、済んだようだ。
 だが、いまイスラエル国内では、大きな不安が持ち上がっている。それは、イランの革命防衛隊員の技術者が、ガザに入ったということだ。彼はこれからガザのハマースや、イスラム・ジハード組織に対して、ロケットの飛距離の伸びる技術を、もたらすのではないかということだ。
 そうなれば、イスラエルの危険度が、増すということになろう。イランの兵器技術は制裁のなかで、大分向上しているようだが、ロケットの飛距離を伸ばす程度のことは、技術的には容易であろう。
 そうなると、イスラエル政府はガザのロケット工場を探り出し、攻撃して破壊する必要があろう。同時に、イラン人技術者に対しても、何らかの対応をせざるをえまい。
 加えて、イスラエルとしては何とかアメリカの了承を得てイランそのものに対する攻撃を加えたいのかもしれない。
イスラエルが イランに対して、軍事攻撃を加えることは、アメリカから見れば極めてリスクの高いことだけに、なかなか許可を出すまい。その難しい許可を取るために、イスラエルは今回のガザからのロケット攻撃と、イランの革命防衛隊員のガザ入りを活用するかもしれなし。
 つまり、パレスチナ人の怒りが高まり、イスラエルが不安を高めた結果、双方の緊張は以前にも増して、高まったということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:45 | この記事のURL
NO・2473『UAEがイギリスのアラブの春会議潰す』 [2013年02月26日(Tue)]
  アラブ首長国連邦は、元はイギリスの支配下にあった国々が、一体となって構成された連邦だが、イギリスの学者たちが計画した会議を、潰す動きに出た。これは一体何を意図するのか、興味の持たれるところだ。
 イギリスの学者たちがアラブ首長国連邦で、『中東―移行期にあるアラブ世界』と題する会議を計画した。開催地はUAEであったが、この会議のスピーカーであるクリスチャン・コーテス講師が、ドバイに到着した段階で、入国を拒否された。
 この会議は2月24日から開催される予定になっていたため、講師の入国拒否を理由に、会議はキャンセルされた。
 アラブ首長国連邦の説明によれば『会議はバハレーンのアラブの春革命』を主題にしているために、開催を指し止めにしたということであろう。アラブ首長国連邦政府はバハレーン政府が進めている解決努力を、支持する立場にある。
 従って、外部の者がとやかく口を挟み、せっかくの平和的な解決が、ダメになることを恐れたのであろう。
 同様の懸念は、バハレーン問題ばかりではない。述べるまでもなく、サウジアラビアではシーア派住民が、政府に対する抗議行動を、長期間にわたって続けているし、クウエイトでもビドーン問題を中心に、政府に対する抗議行動が、展開されている。
 アラブ首長国連邦でも同様に、政府に対する抗議行動は始まっている。そのために起こった、過剰な反応と言っても過言ではあるまい。それが今回の決定に、至らしめたのではないか。
 他方、今回の会議を企画したイギリスの学者たちは、湾岸諸国でも民主化を進めたいという、明らかな意図に基づいての、行動であったと思われる。
 ただ、イギリスは常に学術を前面に出しながら、外国に間接的な関与をしてきている国なだけに、アラブ首長国連邦は今回の会議を、単なる学術的興味によるものではない、と判断したのであろう。
 それが英断なのか、あるいはイギリスとの間に、見えない対立を生み出していくのかについては、まだ分らない。少なくとも、反政府派の人士は勇気づけられることであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:48 | この記事のURL
NO・2472『エジプトからパンが消える日』 [2013年02月25日(Mon)]
 エジプトの麦の輸入が、政府民間ともに大幅に減少している、というニュースが流れて来た。その理由は、外貨不足によるものと思われる。麦の輸入が減ることは、パンが不足するということであり、大衆の暴動にもつながりかねない、危険な兆候だ。
 エジプト政府は5月末までの分の、麦の備蓄はあると言っているが、その後の保証は何処にもない。
 エジプトが外貨不足によって、麦の輸入が出来ないのであれば、国内で生産するしかないのだが、ほとんどが砂漠で覆われた国であり、これから麦畑に変えるのでは、間に合わない。
専門家の計算では、増産したとしても50万トンが限界であり、それで420万トンに達するが、エジプトの年間の麦の消費量は、1880万トンであり、とても間に合わないということになる。
 エジプトでは過去に、何度かパンの値上げによる、大衆の暴動が発生している。サダト大統領の時代にもあったし、ムバーラク大統領の時代にもあった。5ピアスタ(1円)という、あまりにも安い国家補助のパンが出回っているために、無駄になって捨てられている量が、異常に多いことが他方にある。
 そうは言っても、パンが値上げされれば、国民は不満になり騒ぎ出すだろう。そればかりならまだいいが、実際にパンが市場から姿を消したのでは、国民は飢えに直面することになるのだ。
 現在、エジプト政府が厳しい状況に置かれているのは、湾岸諸国からの援助金が期待できないこと、ヨーロッパからの援助が期待できないことに加えIMFからの借り入れには、厳しい条件が付いており、なかなか手が出せないからだ。
 そして、外国人観光客の訪問が、エジプト国内不安定によって、延びていない。スエズ運河の通過料は、世界の経済が冷え込んでいるために、伸びていない。そうなるとほとんど四面楚歌の状態、ということになる。
 この状態では、野党側も打つ手があるまい。ムスリム同胞団政権を批判はするものの、現段階では権力奪取したいとは、真剣には考えていないのではないか。どうもそうしたことが、反政府デモにおける真剣度を、感じさせない原因ではないか。
 最近、エジプトで人気を集めている、ブラック・ブロックと呼ばれる、黒装束の若者たちは『ほとんどのデモ参加者は真剣でない、だから俺たちがやるんだ』。と息巻いている。
 そうなると最後の残る期待は、軍の台頭であろう。反政府派の筆頭である元IAEA事務局長のエルバラダイ氏は『選挙がカオスを生み、そうなると大衆は軍の台頭を期待するようになる。』と語ったのは、そのことが原因ではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:43 | この記事のURL
NO・2471 『パレスチナ受刑者の死が問題を再燃させるか』 [2013年02月25日(Mon)]
 先日、イスラエルの刑務所に収監されていた、パレスチナ受刑者アラファト・シャリシュ・シャーヒーン・ジャラダト氏が死亡した。この事件が今後、イスラエルとパレスチナの関係を緊張させ、収拾がつかなくなる問題にまで、燃え上がる危険性がある。
 イスラエル側の発表によれば、ジャラダト氏は幾つかの病気を持っており、彼の死亡原因は、拷問だけによるものではないということだ。もちろん、パレスチナ側の説明はこれとは反対で、ジャラダト氏は特別な病気を、患っていなかったということになる。
 いずれにしろ、刑務所内で拷問があり、それが死亡の原因であることは、間違いあるまい。問題は2児の父親ジャラダト氏の死亡が原因で、パレスチナ大衆の間に、怒りを燃え上がらせる危険性であろう。
 既に、イスラエル刑務所に収監されている、4500人のパレスチナ人受刑者のうちの、3000人が1日のハンストを決めている。イスラエルの高官は1日のハンストであり、3食抜くだけだ、と軽く認識しているがそうであろうか。
 パレスチナ大衆がこれに呼応して、行動を起こす危険性は高いと言えよう。それはつい最近、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長と、ハマース代表のハーリド・ミシャアル氏が『穏健なインテファーダ』の実施に、合意しているからだ。
 インテファーダとはパレスチナ大衆による、武器を持たない投石を中心とする抵抗運動だが、1987年と2000年に大きなうねりとなり、イスラエル政府は対応に苦慮していた。
 イスラエル政府側はマハムード・アッバース議長に対し、ヨルダン川西岸地区での、パレスチナ人による抵抗運動が過激にならないよう、コントロールしてくれることを申し入れているが、なかなかそうはいかないのではないか。
 何としても、パレスチナ大衆の動きを侮れないのは、ガザにおけるハマースを中心とした抵抗活動が、パレスチナ人の間で一定の評価を得ていることだ。そのことがあるだけに、今回のジャダラト氏殺害事件は、大問題に発展していく危険性があるというのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:17 | この記事のURL
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