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NO:5700   10月12日 『トルコ軍シリア侵攻への各国の反応』 [2019年10月11日(Fri)]
トルコ軍がシリアの北東部に、軍事侵攻し始めて間も無く、各国からこれに対する、反応が出ている。イランは直接的には非難していないが、トルコとの国境に、軍を移動している。これは場合によっては、トルコ軍と対峙するつもりがある、ということだ。
アラブの大国エジプト、のシーシ大統領は明確に、トルコ軍の軍事行動を、非難している。その事は、必要があれば軍事行動を起こす、ということであろうか、あるいは単なる、サウジアラビアやアメリカに対する、リップ・サービスであろうか。
ギリシャはもし、フランス軍が行動を起こすなら、フランスの軍事作戦に、参加してもいいと言い出しているが、それはギリシャとトルコとの関係が、基本的に悪く敵対関係に、あるからであろう。
ヨーロッパ諸国は総じて、今回のトルコによる、軍事作戦に反対の立場を、採っている。もし放置し、トルコが付け上がるようなことになれば、将来、危険がヨーロッパ諸国に及ぶ、と考えているのであろう。
そもそも、今回のトルコ軍の動きには、かつてのオスマン帝国の領土を、奪還したいという意向もあるのだ。そうなると、東ヨーロッパ各国の領土も、将来はその対象になろう。つまり、シリアで起こっていることは、他人事では済まされないのだ。
 アメリカではトランプ大統領が、トルコに対してシリア侵攻を、認めたということに対する非難が、燃え上がっているが、ポンペオ国務長官はそれを、否定している。いずれにせよ、アメリカ議会の議員たちからは、トルコに制裁を加えるべきだ、という声が高まっており、経済制裁が実施される、可能性は高い。それは、トランプ大統領も既に、口にしていることだ。
 さて、今回のトルコ軍の、シリア攻撃の裏では、多数のIS(ISIL)戦闘員が、シリアの刑務所から逃亡している、という事実が明らかになってきた。現段階で把握されているのは、いまシリアの刑務所には、11000人から12000人の、IS(ISIL)受刑者がおり、そのうちの1000人から1200人が、逃亡したろうということだ。
 そのなかには、多数の外国人戦闘員も含まれており、イギリスのビートルと呼ばれる戦闘員も、その中にいるようだ。こうしたことが起こったのは、これまでIS(ISIL)戦闘員を投獄していた、SDFの戦闘員がトルコとの戦争に備えて、多数が北シリアに移動したため、刑務所の警備が緩くなっていたからだ。
 昨夜トルコのインテリと話したが、彼はIS(ISIL)が、エルドアン側に付いて戦うだろうと言っていた、私はそれに対して、逆であり、IS(ISIL)はアメリカ側、つまりシリア側に付いて戦おう。従ってトルコはシリアのクルド・ミリシアである、YPGやSDFに加えて、IS(ISIL)とも戦うことになろう、と言っておいた。
 そうしたことには、時間が正解を出してくれるだろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 05:39 | この記事のURL
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