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NO:5600  7月7日 『イラン英タンカー拿捕で緊張増大』 [2019年07月06日(Sat)]
イギリスがイランのタンカーを、ジブラルタル海峡付近で拿捕したために、イギリスとイランとの緊張が高まっている。30万トンの大型タンカーであったこと、船の価格も積荷の石油も高額であろう。

イラン側は当然のこととして、このイギリスによる拿捕を非難し、イラン・タンカーを釈放しない場合には、報復としてイギリスのタンカーを拿捕する、と正式に発表している。イギリスはペルシャ湾から、サウジアラビアなどの石油を輸入していようから、イランがイギリスのタンカーを、拿捕するということは、起こりえよう。

イギリス側は拿捕の理由を、アメリカが掲げる『イランの石油は一滴たりとも、輸出させない。』、ということを破るものだ、ということが、正当性の根拠となっている。しかも、イランのタンカーはシリアに向かう、予定だったということだ。

イランの友好国であるロシアは、この件についてイラン側の立場を支持し、イギリスによるイランのタンカー拿捕は、非合法だと非難している。今後ロシアはイラン支持の立場を、強めていくのではないか。

イランは現在、アメリカによる制裁に次ぐ制裁で、怒り心頭であろうから、今回の件で安易な妥協が、生まれるとは思えない。しかも、いまヨーロッパ諸国は、イギリスと冷たい関係にあり、イギリスの立場を強く支持するとは思えない。

 ヨーロッパ諸国は、願わくばイランの石油を輸入したい、と思っているのではないか。今回のニュ−スが流れたとき、イランのタンカーがジブラルタル海峡付近にいたことから、あるいは石油はドイツかフランスに向かうのではないか、と一瞬思ったほどだ。

 ドイツとフランスはアメリカによる、イランに対する制裁、締め付けを、歓迎していない。制裁を緩和し、イランとの取引をしたい、と考えているからだ。しかも、イギリスはEU離脱の問題もあり、EU諸国との関係は協力的ではない。

 今回のイラン・タンカーの、イギリスによる拿捕は、何処まで発展し、緊張していくのか読めない。もちろん、アメリカはイギリスを支持しようが、アメリカは世界的に信用を落としており、追従国が増えるとは思えない。それは、イギリスに対しても然り、ということだ。

 NATO加盟国トルコでは、世論調査の結果、『アメリカは信用出来無い。』と答えた国民が80パーセントだった、ということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:28 | この記事のURL
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