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NO:5519  4月26日 『その後のISはどうなっているか・世界展開?』 [2019年04月25日(Thu)]
シリアとイラクでは、ほぼ完全な敗北を期したIS(ISIL)は、その後どうなっているのか、今後何をどこでする気なのか、が気になるところだ。IS(ISIL)は確かに、シリアとイラクでは敗北したが、物事はそう簡単ではないようだ。

IS(ISIL)はゲリラ攻撃をかけ、細胞として未だに、シリアに潜んでいるが、それはイラクも同じだ。しかし、どうやらシリアよりも、イラクの方が、再活性化は早いとみられている。いまだにイラクでは、2000人のIS(ISIL)メンバーが、潜伏しているということのようだ。

 シリアではIS(ISIL)のスリーパーたちが、陰に潜んでいるとみられている。彼らは爆弾テロや、襲撃作戦を繰り返している。いまでもIS(ISIL)の敵は、シリアのクルド組織であり、SDFやYPG との武力衝突がみられる。

 イラクでは西部のサラーハデーン、アンバル、キルクーク、ニネベ、デヤラといったところで、IS(ISIL)によるゲリラ攻撃が繰り返されており、スリーパーの活動も目立ってきている。

 今後、イラクでは再活性化の時期が、来るかもしれない、とみられている。それはモースルがイラク国内では、シリアのラッカのように、IS(ISIL)にとって、重要な拠点であったことによろう。

 ナイジェリアもやはりIS(ISIL)にとって、活動しやすい場所のようだ。イラクやシリアが陥落する前の段階から、リビアを始め、幾つかのアフリカの国々に、IS(ISIL)は潜り込んでいたのだ。

 アフリカ中央部では、イスラム国家西アフリカ地方(ISWAP)と命名された組織が、出来上がっており、ナイジェリア、カメルーン、チャド、ニジェールなどで、既に活動が始まっている。
ISWAPに所属する戦闘員数は、5000人から18000人程度であろう、とみられている。この組織は貿易商や漁民などから徴収する、税で賄っている、と言われている。

 エジプトでは、シナイ半島北部での、IS(ISIL)の活動は、ほぼ抑え込まれたようだ。特に、2018年2月の戦闘で受けた、IS(ISIL)のダメージは大きかったようだ。北シナイのシェイク・ズエイドでは、IS('ISIL)がエジプト軍との交戦で、相当ダメージを受けているが、ここでは15回の武力衝突が、繰り返されたと報告されている。

 サウジアラビアでは北リヤド襲撃事件が起こり、治安部隊との衝突が報告されているし、シーア派ムスリムに対する襲撃も、報告されている。しかし、サウジアラビアの厳重な警戒の中では、思うように活動できていない、ということであろう。

 アフガニスタンでは市民を狙ったテロが、カブールなどで起こっている。アフガニスタンには2000人以上のIS(ISIL)戦闘員が、いると言われている。しかし、実際のアフガニスタンにいるIS(ISIL)の数はこんなものではなく10000人近いのではないか。

 インドネシアではシリアの戦闘に参加した、インドネシア人の数が500人、と報告されており、IS(ISIL)シンパの数は多い、それはインドネシアがイスラム国であり、ムスリム人口が世界最大であることによろう。
 
 フィリピンは南部地域ミンダナオ地域が、ムスリムの居住地域であり、以前からイスラム分離独立派の、活動が目立っていた。そこにIS(ISIL)が、手を出したということであろう。IS(ISIL)
はこのミンダナオのイスラム分離派(過激派)に資金援助をし、思想教育をしており、何時でもリクルートできる状態になっている、と言われている。

 つまり、IS(ISIL)はシリアやイラクでは、現段階では細々と活動を継続し、他のアフリカや東アジアでは、活発な活動を展開する、方向にあるということのようだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:37 | この記事のURL
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