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NO:5369 1月22日『シリアは何故S300を使わないのか』 [2019年01月22日(Tue)]
イスラエルの空軍は、昨年2度に渡って、シリアを空爆している。それなりのダメージは出たようだが、不思議なことにシリアは、ロシアから入手したS300を、使わなかった。使っていればほぼ確実に、イスラエルの爆撃機は、撃墜されていたことであろう。

この疑問に対する答えは、政治以外の何物でもなかろう。ロシアはシリアに対して、S300を49基引き渡している。加えて、このS300を動かすために必要な、レーダー装置も移動車両も、送られているのだ。ロシア軍の技術将校がシリア入りし、S300をセットし、操作の指導もしたようだ。

多分、裏の話はこうであろう。ロシアはシリアに対して、シリアが希望するS300を引き渡した。だが、ロシアはシリア政府に対して、このミサイルの使用は、限られた条件下にのみと、限定したはずだ。

 ロシアの武器が優秀であり、高性能だという評価は、世界的に広がっている。S400などはその典型であろう。それだけに、操作の技術が向上していないなかで発射され、もし役に立たなかった場合は、ロシアにとって大きな、マイナスとなろう。

 もう一つのポイントは、ロシアとイスラエルとの関係だ。イスラエルは最近、アメリカとの関係に問題が、生じてきていることを察知し、次第にロシア寄りの姿勢に、変わりつつある。

 これはロシアにとって、都合のいい話であろうから、それを拡大したい、と思っていよう。そのため、シリアに対してS300を、軽々に使用しないよう、指導しているのであろう。もちろん、イスラエル側もシリアに対しての攻撃に、手心を加える、ということだ。

 武器は入手したから、それをすぐにでも使える、ということではない。例えば、トルコがS400
をロシアから、購入することを決めたが、金を支払っているにもかかわらず、未だにS400はトルコの手に、渡っていない。

 これはトルコのエルドアン大統領の、激しい性格を読んでいるロシアが、S400をトルコが軽率に使うことを,恐れてではないのか。もし、トルコがS400を使用し,敵側にしかるべきダメージが出れば、たちまちにして国際問題となろうし、もし、うまく機能しなかった場合は、ロシアの武器に対する、国際的な評価が下がるということだ

 日本の刀ではないが、名刀はそう軽々に抜くものではない、ということか。同様に最新鋭のミサイルも、軽々には飛ばさない、ということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:25 | この記事のURL
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