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NO:5316 12月1日『シリアS300入手後初のIAFとの衝突』 [2018年11月30日(Fri)]
ロシアがシリアにS300ミサイルを、供与したことにより、イスラエルはシリアへの攻撃が、不可能になった、と言われていた。このミサイルに加え、ロシアは地中海側から、航空規制の電子網も、張ったということだった。

しかし、今回のイスラエル空軍(IAF)の攻撃は、そのロシア武器の性能を、否定することに繋がったのではないか。シリア側はイスラエル軍の空爆が行われたことを認め、それは首都ダマスカスの南部のキスワ、南西部のカナカル、そして、ゴラン高原のクネイトラだった、と発表している。

今回のIAFの攻撃では、シリア駐在のイラン軍の基地が狙われ、ヘズブラのミサイル基地も、攻撃の対象となったようだ。今回のIAFによる攻撃の目的は、イラン軍とヘズブラの武力を、削ぐことにあったようだ。イスラエル側は最近の攻撃では、今回のIAFによるヘズブラと、イラン軍基地に対する攻撃は、最も広域に渡るものだった、とコメントしているということだ。

 イスラエル側はシリア側からの攻撃により、IAFの戦闘機が損傷を受けることは無かったと発表している。しかし、ヘズブラの報道によれば、ゴラン高原のイスラエル軍基地は、灯が消されているということだ。

 今回のIAFの攻撃による、シリア側の被害がどの程度なのかについては、報告がなされていないが、攻撃そのものがあったことは、事実としてシリア政府は認めている。

 また、どうもこのイスラエル軍による、シリア攻撃の報道を読んでいると、イスラエル側のシア攻撃は、しかるべき成果を挙げなかった、ということではないのか。

 それは、IAFの戦闘機がS300の攻撃を恐れ、早急に攻撃を切り上げたのかもしれない。それにしても、IAF機がシリアの領空に入り、しかも首都ダマスカスの近郊に至ったことは、注目するに値しよう。

 今後、このイスラエルのIAFによる、攻撃の詳細な報告がシリア、イスラエル、ロシアから出てくるものと思われるが、その内容次第では、ロシアの武器S300は、それほどでもなかった、という評価が出るかもしれないし、その逆かもしれない。

 従って、今回のイスラエルの攻撃と、それに対するシリア側の応戦は、実はロシアとアメリカの衝突、ということになるかもしれない。もし、S300の防衛能力がそれほどでもなかった、ということになれば、アメリカの武器への再評価が、世界の武器市場で、起こるかもしれない。

 ただ、今回シリア側が全くS300を使用しようと、しなかったということであれば、話は別であろう。あるいはロシアとイスラエルとの間や、ロシアとアメリカとの間で、S300の使用は見合せることが、決められていたとすれば話は全く変わって来よう。
 
 あるいは、ロシアとイスラエルとの間で、IAFのシリア攻撃は形だけのものにする、その見返りとして、ロシアはシリアに対してその際、S300.を使わせないということかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:22 | この記事のURL
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