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NO:5226  9月6日 『ついに始めたロシアのイドリブ攻撃』 [2018年09月05日(Wed)]
シリアのイドリブに対する攻撃が、何時始まるのか、と誰もが注目していた。それは、アメリカが以前から、シリアがイドリブに対して、化学兵器を使用して、攻撃するのであれば放置しない、と言っていたからだ。

そうした緊張のなかで、ロシアは遂に、9月4日イドリブに対する、空爆を開始した。同時に、シリア軍も動いている。これではアメリカは放置できなくなるのだが、どう動くのであろうか。既にアメリカは、イギリスとの協力の下に、イドリブ近郊にガス兵器のキャニスターを、30発持ち込んでいるといわれている。

プーチン大統領のスポークスマンであるペスコフ氏は『シリアの軍は本格的な戦闘をして、問題を解決する覚悟を、固めていることを、我々は知っている。』と語っている。つまり、ロシアだけではなく、当事者のシリアもイドリブから、テロリストを追放する作戦を、本気でやる覚悟を、固めているということだ。その事が、シリアとアメリカとの緊張あるいは、軍事衝突を起こすことも、承知の上でのことであろう。

ロシアのラブロフ外相も『シリアはテロリストをイドリブから掃討する、全ての権利を有している。』と語っている。こうしたなかで、トルコはイラン、ロシアと連絡を取り、何とか平和的な解決が出来ないか、と苦心しているようだ。

シリアのイドリブはトルコの国境から近いこともあり、戦闘が激化して行けば、多数の難民がイドリブから、トルコに逃げて来よう。それはトルコにとって、大変な負担となろうし、ヨーロッパとの関係にも影響を及ぼそう。

こうしたことから、今週の金曜日にはイランのテヘランで、ロシア、トルコ、イランの間で、シリア問題をめぐる会議が、開催されることになっている。これらの国々の関係は良好なのだが、シリアをめぐる立場は、それぞれに異なる。

シリアのイドリブに対する攻撃が激化し、イスラエルをけん制する意味で、シリア南部に駐留する、イランの革命防衛隊が何らかの行動を、イスラエルに対して取れば、それがイスラエルとイランとの、軍事緊張を生むことにも繋がろう。

イドリブ問題はシリア単独の問題では無く、アメリカとロシアとの軍事的緊張を、生み出しているばかりではなく、イスラエルやイラン、へズブラも巻き込む、複雑な状況を生み出しているのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:19 | この記事のURL
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