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NO5213   8月26A日  『イスラムの巡礼は命がけエジプト人39人死亡』 [2018年08月25日(Sat)]
サウジアラビアの砂漠の中の盆地にある、イスラム教の中心地メッカへの巡礼は、定められた期間に、定められたコースを回ると、ハッジとなることが出来る。ハッジと呼ばれることは、イスラム教徒にとっては、すこぶる名誉なことなのだ。

イスラム教の聖典コーランには『行けるものは人生に一度はハッジに行け。』という教えがある。従って、世界中のムスリムはハッジのために貯金をし、無理をしてでもハッジに向かうことになる。

ただ、貯金が貯まってハッジに行けるのは、高齢者の場合が多い。もちろん、サウジアラビアに近いアラブ諸国の場合は、費用も肉体的負担も、他の地域からの巡礼者に比べて、楽であろう。

しかし、イスラムのカレンダーは毎年ずれていくので、今年のような8月の炎天下では、まさに命がけということになる。サウジアラビア政府はハッジの健康管理に、相当神経を使っているが、やはり犠牲者は出る。

 今年の場合、他の国のことは分からないが、エジプトはハッジにおける死者数を、公表している。8月25日現在での、エジプト人のハッジ死者は、39人だということだ。他の国からのハッジの死亡者数を合計すると、既に数百人に及んでいるのではないだろうか。

 我々からすれば、そんな悪天候の炎熱地獄での、ハッジに何故無理をして、高齢者たちが向かわなければならないのか、と考えるのだが、それは彼らムスリムの信仰心の強さから、来るのであろう。

 一日5回の礼拝をし、断食を守り、貧者に施しをし、善行を積み、ハッジをすれば天国に入れる、と世界中のムスリムは固く信じているのだ。だから無理をしてでも、ハッジに向かうということになるのだ。

 数年前には、巡礼者が移動中に将棋倒しとなり、1000人を超える死者が出る、という大惨事が起こった。その犠牲者の多くがイラン人であったことから、この大惨事はその後、サウジアラビアとイランとの、国家間の争いにまで発展している。

 日本の高度な技術がハッジでの、安全管理に一役買っている、というニュースが伝えられている。監視カメラでハッジの移動状況を把握し、サウジアラビア警察が誘導できるように、なっているのであろう。

 ハッジといえば1500年もの、古い時代からの、催しなのだが、今では科学技術がそれを、下支えする時代になっているのであろう。もちろん、医療技術や医薬品の進歩も、ハッジの健康管理に貢献していることであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 20:00 | この記事のURL
NO5212  8月26日 『ロシア評価上昇プーチンサウジアラビア訪問トルコ関係強化』 [2018年08月25日(Sat)]
トランプ大統領の理解に苦しむ、対外的な言動の影響であろうか。あるいは、シリアでのロシア軍の貢献によるのであろうか、このところ中東諸国の間で、ロシアに対する評価が、際立って高まっている。

同時に、それはロシアのプーチン大統領に対する、評価も高めているようだ。サウジアラビアのサルマン国王は、プーチン大統領に対し招待状を送り、サウジアラビアを訪問してくれるよう要請した。

ご存知の通り、サウジアラビアはアメリカとの関係が、最も強い中東の国であり、その国の国王が、アメリカのライバルであるロシアの大統領を、招待するということは異例であろう。

プーチン大統領のサウジアラビア訪問時に、何が話し合われるのか、サウジアラビア政府はコメントしていないが、直接サウジアラビアのサルマン国王と、プーチン大統領が会った段階で、テーマが明らかになろう、ということのようだ。

ロシアとサウジアラビアのトップが会うということは、述べるまでも無く、石油価格と生産について、語られるのではないかと思われる。OPEC諸国を代表するサウジアラビアと、NONOPECの産油国ロシアとが、話し合うということだ。

それ以外には、やはり中東情勢全般に関する、意見交換が行われるものと思われる。サウジアラビアが敵対関係にある、イランとロシアの関係は良好であることから、ロシアがイランとサウジアラビアの仲介に、回ることもあろう。

ロシアとエジプトの関係も良好であり、エジプトのシーシ大統領は事ある毎に、プーチン大統領とロシアを賞賛している。エジプトは中東諸国のなかにあって、最も強大な軍事力と、人口を有する国であるだけに、この国の大統領の発言には重みがある。

プーチン大統領はトルコとの関係が、前進していることについても発言し、トルコとロシアは極めて良好な関係にある、と言っている。プーチン大統領に言わせれば、ロシアとトルコとの関係は深まっており、地域問題での協力、経済問題での協力が、進んでいるということだ。

トルコからは最近情報のトップである、ハカン・フェダン氏がロシアを訪問し、シリア問題を討議した、と伝えられてもいる。ロシアの考えるシリア問題の解決は、イランとトルコそしてEUを加えて、国連を活用しながら進める、ということではないのか。

そうしたロシア主導の、中東問題解決が進められれば、当然のことながら、アメリカの影は薄くなろう。ロシアには高度な武器を生産しており、強大な軍事力があることも、アメリカ離れを中東諸国にもたらすのではないか、と推測させるではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:15 | この記事のURL
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