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NO:5069 4月8日 『トランプのシリア撤退と算盤勘定』 [2018年04月07日(Sat)]
*トランプ大統領が『シリアからアメリカ軍を撤退させる、しかも早急にだ。」と言い出したのはつい最近のことだが、その後、どうもこのシリア撤退の話しは、胡散霧消しそうな気配に、なってきている。アメリカ国内の各層から、反対意見が多数出てきたからだ。*

*ある者たちの間からは『巨額の資金を費やして軍を派遣したのに、何の見返りも得ないで撤退するのか。』という意見が多かったようだ。確かにそうであろう、アメリカが外国に手を出す時は、そこに何らかの見返りがあるからだった。*

*シリアの場合はペルシャ湾海底ガスの、地中海・欧米への搬送ルートの確保があったし、シリアのガス・石油もある。ガスについては、東地中海しかも北上するほど、大量に海底に眠っている、という報告がある。それをアメリカが手放すはずがない、と考えるのが妥当であろう。*

*地上も然りで、アメリカ軍が駐留する、シリアのマンビジュのそばには、石油があるのだ。だからマンビジュを狙って、アメリカは基地を構築したのだ、と言われている。どれだけトルコがアメリカに対して、マンビジュから撤退しろと言っても、アメリカがその意志は無い、と繰り返しているのは、そのためであろう。*

*さてここに来てアメリカは、マンビジュに新しい基地を、建設し始めている、という情報が流れ出している。その事は、トランプ大統領の発言とは、真逆な現象ではないのか。こうした事から、トランプ大統領と軍部には意見の違いが、目立ってきているという憶測が、飛び交っているのだ。

*トルコ側は何度となく、アメリカ軍とマンビジュで武力衝突することを懸念し、アメリカ側に軍を撤退させるよう、働きかけてきているが、全く効果は無いようだ。もちろん、アメリカには面子があり、トルコ軍を恐れて撤退したとあっては、トルコはもちろんのこと、世界の笑いものになろう。*

トルコはトルコで、エルドアン大統領が必ずマンビジュに進攻する、と息巻いている。実際に武力衝突となれば、緒戦はトルコが勝利し、後でアメリカが猛反撃をして、勝利する形にしようが、それは双方に大被害を、生み出すことであろう。

さて、トランプ大統領は何故シリアからの早急な撤退、という言葉を口にしたのであろうか。実はそれは彼一流の、金儲け作戦だったのではないか。サウジアラビアにシリア撤退を語り、脅しをかけ軍資金を稼ぐつもりなのであろう。このためトランプ大統領とペンタゴンは、立ち位置が違うように、振舞っているのであろう。

トランプ大統領が未だに撤退の話を、取り下げていないということは、サウジアラビアなどアラブ湾岸諸国が、まだトランプ大統領の考えるだけの額を、出す意向が無いということかもしれない。その駆け引きにはもう少し、時間がかかろう。アラブ湾岸諸国の台所事情も、決して楽ではないのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:21 | この記事のURL
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