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NO:5053 3月23日 『ISがシリアで基地の再構築に動く』 [2018年03月21日(Wed)]
*最近になって、ISのシリアでの活動が目立つように、なってきているようだ。ひとつは、ダマスカスの郊外にある、パレスチナ・ヤルムーク難民キャンプのそばのカダムで、ISがシリア軍を攻撃し、36人のシリアの兵士を殺害している。*

*加えて、シリア全体ではISが基地の構築に、動き出しているのだ。それはトルコ軍がシリア北部の、アフリンに進攻したことにより、相当数のクルド・ミリシアSDFが、アフリンの戦闘に投入されて、手薄になったからだ。その結果、ISは新たな基地の構築が、容易になったということのようだ。*

*このアメリカの分析にトルコは真っ向から反対し、アフリン攻撃がISの再活性化を生んだというのは、嘘だと主張している。シリアでの戦闘ではトルコもアメリカも、テロリストを味方につけて、他のテロリストを掃討する形になっているが、そのことが問題を複雑に、しているのであろう。*

*アメリカはISに再構築の機会を与えないと言っているが,本音はどうなのであろうか。ISがシリアで活動する限り、アメリカの言うテロ掃討作戦を口実に、アメリカ軍はシリアに留まれるし、大方の国々はそれを、認める形になっている。*

*トルコのアフリン作戦のさなか、トルコと共闘するSDFは、盗みを働いているし、多くの住民が逃げ出してもいる。アフリンではいま、病院も食料も不足する状態が、生まれている。トルコ政府はアフリンへの、食糧援助を始めたが、問題の解決には至っていまい。*

*トルコは今回のアフリンへの作戦を、『オリーブの枝』作戦と命名し、将来のシリア国内でのクルド独立を、支援すると言っている。その事により、マンビジュなどに集まる、クルド・ミリシアをアフリンに引き付け、トルコ側に抱き込もう、と考えているようだ。*

*
アメリカもマンビジュへの、クルド・ミリシアの抱きこみを、計っていることは、言うまでも無い。クルド・ミリシアの戦闘能力が高いことが、トルコとアメリカをクルド・ミリシアの、抱き込みに走らせているのであろう。*

*アメリカ軍はマンビジュで、クルド・ミリシアを使い、アメリカ兵の安全を確保するつもりのようだが、トルコ側はマンビジュからクルド・ミリシアを追い出せ、とアメリカに要求しており、その事が原因で、アメリカ軍とトルコ軍が、武力衝突に至る危険性もある。*

*トルコの大統領主席報道官イブラヒム・カルン氏は、トルコとアメリカとの間では、マンビジュからクルド・ミリシアを、追放する合意が出来ていると語っているが、事実はどうなのであろうか。その合意を交わしたと言われているのは、辞任したテラーソン国務長官なのだから。*

*トルコとアメリカがもめ続ければ、ISがシリア国内で基地の、再構築を進めることは、容易になろう。シリア軍だけでは充分な対応が、出来ないのではないのか、と不安が沸く。*
Posted by 佐々木 良昭 at 17:50 | この記事のURL
NO:5052 3月22日 『イブン・キャルブ(犬の子)とアッバースが言ったこと』 [2018年03月21日(Wed)]
*パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長が、アメリカ大使を捕まえて、イブン・キャルブと言ったことが問題になっている。イブン・キャルブとは犬の子といった意味だがもちろん相手を蔑む悪口だ。*

*しかし、面と向かって言ったのならともかくも、このイブン・キャルブという悪口は、アラブ人の間では軽い意味で、よく使われる悪口なのだ。友人がちょっとずるをしたりした場合に、このクソッタレといった悪口に近い軽い悪口で、非難することが多々あるのだ。*

マハムード・アッバース議長がどのような状況で、この悪口を口にしたかによろう。もし仲間内での話で出てきたのなら、あま罪は無いものと思われる。その事が問題になっているのは、アラブ人の日常の会話を知らない人達の下した、非難であろうと思われる。

イブン・キャルブは友人同士の軽い非難や、中傷の場面で使われるし、喧嘩で出てくる場合もあるのだ。それ以上の悪口も幾らでもあるのが、アラブ世界だ。何せアラブ社会は言葉の文化であり、賞賛の言葉も多いが、悪口も数え切れないほど、ある世界なのだ。

 もっと汚い悪口はクッス・ウンム、ズッビ・エーラクなどというのもあるが、とても日本語には訳せないほどの意味だ。若い頃はそうした悪口を言い合って、げらげら笑っていたものだ。

 もしこうした悪口が、公の場で出た場合は、意味合いが異なろうから、外交問題に発展しても、仕方があるまい。いずれにしろ、マハムード・アッバース議長と取り巻きたちの、品性が疑われる言葉であろう。

 パレスチナ人の発する悪口は、アラブの中でも一級品であろう。彼らはアラブから受ける差別や、イスラエルから受ける弾圧のなかで、悪口を言うことぐらいしか、ウサ晴らしのしようや、抵抗のしようが無かったのだ。

 日本人は今回のマハムード・アッバース議長の悪口を大目に見てやろうではないか。同時に彼に対して『子供ではないのだから、発言は上品にしろ。』と言ってやろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:09 | この記事のURL
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