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NO4693 9月13日 『イスラエルにとって今最大の懸念は』 [2017年09月13日(Wed)]
イスラエルは中東最強の国家、と言われて久しい。それは、過去に4
度のアラブ全部を敵に回して戦った戦争で、イスラエルは破れなかったからだ。そのことがイスラエルの強さを、世界に知らしめたのだ。

第4
次中東戦争の勝者については、意見が分かれるところだが、エジプトは自国の勝利を語り、イスラエルも同じように、自国の勝利を誇っている。しかし、冷静に見ると、イスラエルは第
4次中東戦争においては、エジプト軍に追い込まれ、核兵器の使用を、口にするところまで至っていた。

結局は、アメリカがイスラエルの側に立ち、停戦から終戦に向かった。まさに命拾いということであったろう。この第4
次中東戦争以後、イスラエルは明確な勝利を得ていない。1982
年のヘズブラとの戦争では勝利したが、イスラエル軍に大きな被害を受け、戦後はイスラエル政府が混乱している。

そして、つい最近までの段階では、IS(ISIL)
がシリアとイラクで、猛威を振るってくれたおかげで、イスラエルはシリアの軍事的脅威を、感じなくて済んでいた。しかし、新たな脅威がイスラエルを襲い始めている。

シリアのIS(ISIL)
との戦いに、イランが支援部隊を送り、大きな戦果を挙げてきているが、それだけではなく、イランはイスラエルとシリアの国境地帯に、ミサイルを始めとする、兵器工場を建設し始めたのだ。

イスラエルは慌ててこれを空爆しているが、問題が解決したわけではない。そして、レバノンのヘズブラもイスラエル・シリア国境地帯に展開しているのだ。この結果、イランとヘズブラが支援するシリア軍が、イスラエル攻撃を始めるという不安が、イスラエルでは増大しているのだ。

そのシリアのアサド大統領については、今回のIS(ISIL)
との戦いで、アサド大統領は勝利したことになり、安定化していくという見通し、がもっぱらだが、イスラエルはアメリカに対し、シリアのアサド体制打倒と、イランへの軍事攻撃を要請している、と言われている。

イスラエルは最近になって『シリアのアサド大統領が、生き残りたければ、シリアからイラン軍を追い出せ。』と言い出している。アサド大統領のイランとの連携の動きに、イスラエルは過敏になっている、ということだ。

イスラエルは得意の外交を駆使して、世界の強国にシリアからイランを、追い出す作戦を進めるつもりだ。イスラエルはイランがシリア国内に、軍港を持つことも、
兵器工場を持つことも、認めないと語っている。

イスラエルはイランのシリアへの、進出意図については『イランはイランからイラクを経由し、シリアのイスラエルとの国境地域までの、ルートを確保するつもりだ。』と主張している。

このイランの計画は事実であろうし、それが完成すれば、イランは大規模な軍の移動が、容易になるということだ。そうなれば中東の戦略地図は激変しよう。
Posted by 佐々木 良昭 at 07:20 | この記事のURL
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