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NO4136 『ハフタル将軍統一政府とは一緒に行動しない』 [2016年05月21日(Sat)]
リビアがカダフィ時代に、チャドに軍事侵攻したときの、司令官がハフタルだった。彼はその後、アメリカに渡りCIAの庇護の下で20
年間暮らし、リビア革命が始まると、ベンガジに戻った。

以来、彼は分裂した東リビア政府のなかで、軍のトップの座に就いている。東リビア政府は国際的に承認された、正式なものであったが、その後も、リビアの分裂と対立が続いたために、欧米は新にリビア統一政府なるものを結成させ、セラジュをトリポリに送り込んだ。

しかし、セラジュはその後、リビアの各派を纏めることが出来ず、今日に至っている。そうした混沌のなかで、大きな影響力を持つのは、東リビア政府のハフタルだが、彼は最近以下のような発言を行っている。

彼の発言を紹介する前に、まず記さなければならないのは、カダフィの故郷シルテに、IS(ISIL)
が陣取っているが、これに対しリビアの東西政府は、軍を派兵し、IS(ISIL)に対抗しているという点だ。

従って、リビア統一政府のセラジュの意向に関係なく、IS(ISIL)に対抗することについては、リビア人が一体となっているということだ。

ハフタルは『我々はセラジュとは関係がないし、東リビア議会もセラジの言うリビア統一政府を、承認していない。』

そして『セラジュはミリシアに依存しているが、そのミリシアを我々は認めていない。ミリシアには意見を統一することは出来ない。』とも語った。

またハフタルは『IS(ISIL)はリビア軍に勝利することはできないが、戦闘はまだ続くだろう。』と冷静に現在の状況を分析している。

そしてハフタルは最後に、以下の言葉でインタビューを、締めくくっている。『国際組織が我々に対して、武器禁輸を解いてくれれば、IS(ISIL)を短期間で打倒することが出来よう。』


つまり、大国は自国の都合で、次々と手を変え品を変えて、リビアに対応しているということだ。そのため、リビアの安定には時間がかかり、しかも、状況をより悪化させている、ということなのであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:38 | この記事のURL
NO4135『ISはイスラエルをターゲットにすると宣言』 [2016年05月21日(Sat)]
シリアやイラクで蛮勇を奮った、I(ISIL)が遂にイスラエルも、攻撃のターゲットにすると宣言した。述べるまでも無く、このIS(ISIL)の宣言にイスラエル政府は、真剣に対応を考えているようだ。

しかし、イスラエルが陥りやすい、間違いを犯しているのではないか、と思えてならない。IS(ISIL)の行動を、アッラーや一般のムスリムと同列にして、論評している点だ。ほとんどのムスリムは、IS(ISILに対して、反発を感じながらも、イスラエルに対してはそれ以上の、反発を感じているのだ。

アッラーを引き合いに出すことは、ムスリムのイスラエルに対する敵意をむき出しにしてしまい、IS(ISIL)に参加しないまでも、背後から支援する可能性が、拡大するだろう。

この記事で気になるのは、IS(ISIL)の幹部のほとんどは、既にイラクやシリアを、離れているのではないかということだ。アメリカはしきりに、バグダ−デイはイラクに居るようだ、と分析を巻き散らしているが、そうではないような気がする。

結果的に、イラクやシリアに残存している、IS(ISIL)のメンバーの多くは、アラブ人や東南アジア、西アジアのムスリムではないのか。そうなると、彼らにとってはエルサレムの解放という、本来の夢が前面に出てくるのだ。

それが今回のIS(ISIL)による、イスラエルをターゲットとする、という宣言の背後に、あるのではないのか。

IS(ISIL)の幹部はリビアやアフガニスタンに異動し、新たな目的のための戦闘を展開しているのだ。既に目標を達したイラクやシリアには、用はないということであろう。

このような状況で、不安になるのはIS(ISIL)の残存部隊である、アラブ人の戦闘員が本気で、イスラエルに攻撃を始めることだ。そうなれば、ヨルダン川西岸のパレスチナ人も、武器を持って戦闘に参加しようし、ガザのパレスチナ人も、然りであろう。

この段階では、いままで影でネタニヤフにおもねっていた、アッバース議長の意見など、誰も聞かなくなるだろう。イスラエル人の首がシリア人やイラク人と同様に、切り落とされる日が、近づいているのかもしれない。

イスラエルでは著名なテレビ・キャスターが、イスラエルから家族全員で離れる、と語ったというニュースが流れていた。彼らには情報がいち早く届くのであろう。その結果の判断ではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:26 | この記事のURL
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