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NO3676『イラン予測サウジアラビアはイエメンで敗北する』 [2015年04月11日(Sat)]
イランのアヤトラ・アハマド・ハタミ師が、テヘランで行われた金曜礼拝の場で、サウジアラビアのイエメン侵攻について語っている。

その内容が実に興味深いので、ご紹介する。アヤトラ、アハマド、ハタミ師は『サウジアラビアはイエメン戦争で、確実に敗北する。イエメンはガザよりも広大な国家だ。サウジアラビアはイスラエルよりも、軍事的に弱い。そのイスラエルはガザ戦争で敗北した。したがって、サウジアラビアはイエメンで敗北する。』というものだ。

サウジアラビアのイエメン戦争に、参加する国についても『人を殺すことを支持する国民はいない。}と語り戒めている。

サウジアラビアはエジプト、ヨルダン、モロッコ、パキスタンなどを、支援国として期待しているが、既に、パキスタン国会はサウジアラビアの、イエメン戦争を支持しないし、参戦もしないことを決議している。

エジプトは海軍を派兵し、必要によっては陸軍の派兵もある、としてはいるが、まだ分からない。エジプトはサウジアラビアの金が必要ではあるが、隣国リビアが内乱状態であり、
ISの台頭もあり、ムスリム同胞団のリビアでの動向も気になる。加えて、シナイ半島北部では戦争状態が、継続してもいるのだ。

そうしたなかで、エジプトがイエメン戦争に、自国軍を派兵するのには限度があろう。その規模は、サウジアラビアが期待するレベルには、なるまいと思うのだが。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:39 | この記事のURL
NO3675『トルコがIS(ISIL)に偽パスポート配布』 [2015年04月11日(Sat)]
トルコのメイダーン・デイリー紙が、とんでもないニュースを伝えた。それは『トルコは偽パスポートを、IS(ISIL)のメンバーに10
万冊も配布した。』というものだ。

このトルコが配布したパスポートでIS(ISIL)
のメンバーはトルコに入国し,シリアやイラクに移動しているということだ。トルコはシリアやイラクに向かう戦闘員が、無事にトルコに入国できるよう、世界中でこの偽パスポートを、配布しているということだ。

すでに、ウイグルからは偽パスポートを所持し多人たちが、中国、タイ、マレーシアを経由して、5
万人がトルコに入国しているということだ。彼らは短期間トルコにとどまり、観光でもしているのであろうか、その後にシリアに入っている。

彼ら偽パスポートを持ったウイグル人たちは、一旦トルコの空港で捕まるが、その後釈放されている。トルコには秘密の法律があり、ウイグル人に対する、特別な対応があるらしい。その結果で、ウイグル人たちはシリアやイラクに、向かうことができているということだ。

トルコはこればかりではなく、IS(ISIL)への戦闘員のトルコからシリアやイラクへの移動を、黙認していることはよく知られているが、そのことに加え、
IS(ISIL)から石油も買っているということだ。述べるまでもなく、その石油はIS(ISIL)が、シリアやイラクで盗掘したものだ。

また、IS(ISIL)の戦闘員が負傷した場合、トルコの病院で治療も受けている。トルコはIS(ISIL)
のスポンサー的(擁護者)な立場にある、ということであろう。

しかし、トルコ政府は最近になって、IS(ISIL)のテロ行為を、激しく非難するようになっ
たし、彼らの行動はイスラムとは、何の関係もないと言っている。まさに二枚舌というべきか、言行不一致といえるような、行動ではないのか。それを喜ぶ国は何処なのか?アラブ湾岸の一部の国か、あるいは欧米のどこかの国かを、考えてみたいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:49 | この記事のURL
NO3674『大丈夫かサウジアラビアのイエメン介入』 [2015年04月11日(Sat)]
現在イエメンでは、イエメン政府とホウシ派との間で、内戦が続いており、イエメン政府は窮地に追い込まれている。そこで、サウジアラビアがイエメンの内紛に、本格的に介入することになった。

サウジアラビアはイエメン内紛への介入前に、支援国を集め連合組織を結成した。モロッコ、ヨルダン、サウジアラビア、エジプト、パキスタンが、それらのメンバー国ということになっている。

これらの国の中で、実戦能力の高い国は、エジプトとパキスタンであろう。それ以外の国の参加は、政治的かつ外交的な意味合いのものであり、形式的なものということになろう。戦闘能力を期待されたためではなかろうと思われる。

エジプトは海軍を動かし、イエメン海域に迫っているし、最近になってエジプトのシーシ大統領は、陸軍の派兵も考えていると語った。パキスタンも同様に、今後の成り行き次第では、陸軍を参戦させる可能性がある。

すでに何度か書いてきたが、イエメン内紛の裏には、イランの思惑があり、それにサウジアラビアが対向している、という構図ではないのか。イランが支援しているホウシ派が、イエメンを完全掌握するようなことになれば、イランはペルシャ湾の出口のホルムズ海峡と、紅海の出口のバーブルマンデブ海峡を、支配下に置くことになり、そうなれば、アラビア半島の国々は、石油の輸出を含む、すべての外部との交流のドアを、閉められてしまうということだ。

また、サウジアラビアにしてみれば、イエメンがホウシ派によって制圧されることになれば、これまで存在していた、イラン、イラク、シリアに加え、もう一つの仮想敵国が、登場することにもなるのだ。

したがって、サウジアラビアが真剣に取り組む気持ちはわかる。だが、イエメンに対して、空軍による空爆だけではなく、陸軍を投入するということは、明確な勝利を収めない限り、軍隊を撤収することが、出来なくなるということでもある。

このことから、アメリカの軍事専門家は『イエメン内戦へのサウジアラビアによる軍事介入は、サウジアラビアにとっての、ベトナム戦争だ。』と表現している。そこで頼みの綱は、連合を組んだ国々が、どこまで陸上戦闘に参加してくれるか、ということになろう。

すでに述べたように、期待できる戦闘能力を持った国はエジプトであり、パキスタンだが、パキスタンに対してはすでに、イランがザリーフ外相を派遣している。つまり、イエメン戦争に軍隊を派遣するな、という警告を発するための訪問であろう。

パキスタン側も早い段階から、陸軍の派遣はリスクが大きいとして、首相が『現段階での派兵は次期総尚早。』という判断を明らかにしている。

それではエジプトはどうであろうか。エジプトは述べるまでもなく、アラブ諸国内にあって、最大の軍事力を有する国であり、実戦経験もある。また、エジプトは60
年代に、イエメン派兵の経験もある。

エジプトはいま、国内的にイスラム原理主義者を始めとする、反体制勢力を抱えており、自国の問題で忙しいということになる。そうしたなかで、エジプトがイエメンイ軍を派兵するとなれば、それ相応の見返りを期待するだろう。エジプトの経済状態はまさに瀕死の重傷にあるのだから。

そうであるとすれば、エジプトはサウジアラビアの陸軍派兵要請に対して、どれだけの対価を支払う用意があるのか、ということを言い出すだろう。もし、それに対して、サウジアラビアが渋るようであれば、エジプトは全く陸軍を送らないか、ほんの形式的な小規模の部隊しか、送らないということであろう。

サウジアラビアは単独でも、イエメンのホウシ派と戦う覚悟が、出来ているのかということだ。それ無しに軽々に軍隊を派兵すれば、とんでもない火傷尾を負うことになろう。また、戦死者が多数出た場合には、国民の反政府感情が、拡大していく危険もあろう。

サウジアラビアは大きな敵を意識して、小さな敵に手を出したが、それが国内問題に火をつけかねない、危険なものになる可能性がある。もちろん、イエメン内紛への介入そのものも、危険極まりないのだが。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:46 | この記事のURL
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