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NO3598 [2015年01月19日(Mon)]
トルコのエルドアン大統領は昨年8月、遂に大統領に就任し、首相の公邸を奪い自分の城にし、そこに収まった。そのエルドアン大統領の城には、1150
の部屋があり地下室を加えると、5000
の部屋があるといわれている。しかも、そのなかにはカナダ製の特別な金庫のような部屋が、幾つか用意されているということのようだ。


問題はこの大豪邸で最近始まったセレモニーが、何を意味しているかだ。先日パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長が、トルコを訪問した際にエルドアン大統領と会っているが、エルドアン大統領は高い階段から降りてきて、マハムード・アッバース議長に会っている。

その高い階段の脇には、左右8
人ずつの兵士が並んでいた。その兵士の服装がオスマン帝国時代のものであり、荘厳な感じのものとなっている。もし、エルドアン大統領がオスマン帝国のスルタンの服装でもしていれば、映画のシーンではないか、と思うほどだった。


一体、エルドアン大統領は何を考えて、このようなことを始めたのであろうか。加えて、エルドアン大統領はトルコ軍の徽章を、新しいものにするつもりのようだ。それを見るとやはりオスマン帝国時代のものに、極めて近いデザインとなっている。

エルドアン大統領のヨーロッパに対する強気の発言や、アメリカの立場を無視したIS(ISIL)
対応での非協力的な姿勢、そしてイスラエルのネタニヤフ首相に対する暴言は、彼がオスマン帝国のスルタンになった、という錯覚を抱いているからこそ、出るものだと言えるのではないのか。


しかし、錯覚は錯覚であり、それは一時の夢に過ぎない。オスマン帝国が滅びていくとき、同国の経済は相当悪化していた。しかし、大オスマン帝国の夢が、その現実をスルタンには伝えなかったのであろう。


いまトルコの経済は次第に悪化しているし、国民はインフレに泣いている。トルコ・リラの下落もトルコ経済には、決して役に立っていない。輸入物価を引き上げているだけなのだ。歴史は繰り返されるものなのであろう。その歴史の繰り返しが早まるか否かは、指導者の資質によるのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:00 | この記事のURL
NO3601 『イスタンブール3か所で爆弾テロ』 [2015年01月19日(Mon)]
トルコ最大の都市イスタンブールは、世界の観光客の人気スポットだが、そこで爆弾テロ事件が起こった。以前にもテロ事件はあったのだが、今回は3
か所がほぼ同時に、テロのターゲットとされた。

第一に狙われたのは、ファティ地区であり、手製のクラスター爆弾が爆発した。幸いにして怪我人は出なかったようだが、危険であることに変わりはあるまい。


第二に狙われたのは、アタチュルク像があるマルテペ地区だが、これは不発に終わったようだ。そして第三のターゲットとなったのは、スルタンガズイ地区だった。これも爆弾処理班によって処理され、不発に終わったようだ。

今回の爆弾テロは二つの組織によって、計画されたものだと発表されている。一つは、海岸線の観光地としての開発に抗議する、ジズレ地区の人たちによるものだ、といわれている。ここでは長い間、開発に反対する抗議行動が続いているが、
12歳の少年がその抗議行動のなかで、警察の放った銃弾によって死亡しており、それに抗議するものだった、といわれている。

もう一つのグループは、YDG-H(愛国的革命青年運動)という、PKK(クルド労働党)
の姉妹組織によるものだった、ということのようだ。それは、このテロ組織であるYDG-H
の名前が、爆弾ケースに書かれてあったことから、明らかになったと報じられている。

トルコでは6月7
日には、地方選挙が予定されているが、その選挙に向けての、動きなのであろうか。エルドアン大統領は汚職閣僚問題を早く処理して、地方選挙の前に汚職事件を、トルコ国民に忘れさせる作戦を、立てているようだが、なかなかそうはいかないのではないか。このようなテロが頻発すれば、与党
AKPにとっては選挙での、苦戦も免れまい。


トルコはいま、国内外に幾つもの反対勢力と対峙している、ということであろう。国外からは、オランダの野党キリスト民主党が、エルドアン政権がシリアのテロリスト組織に、武器を供与していた証拠がある、と発言している。

それは、トルコのMIT(情報機関)が秘密裏に、シリアのアルカ―イダに対し、トラック3
台の武器弾薬を送った、という問題だ。しかも、このことはエルドアン大統領の、命令に沿ったものだった、ということだ。

西側諸国がシリアやイラクのテロリスト組織に対する、空爆作戦を展開しているなかで、NATO
の一員であるトルコが、これらテロリストに武器弾薬を送るということは、今後、非難されて当然、ということになろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:29 | この記事のURL
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