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NO3291 『IS(ISIL)は後退しているのかクルド軍が奮闘』 [2014年10月01日(Wed)]
アメリカ政府がIS(ISIL)
攻撃を決定してから、いままで大きな成果は発表されていない。それどころか、民間人がアメリカ軍の空爆で出ている、というアメリカにとってはうれしくない情報が、巷では飛び交っている。

このアメリカ軍の空爆については、アラブ全体のアメリカ不信が生み出している部分もあろうから、一概には信用できない。アメリカ軍の空爆がやっと
IS(ISIL)の資金源である、石油施設に向かい始めている、というのが朗報であろうか。


他方、クルドのペシュメルガ軍が大攻勢に出ているようだ。イラクのモースル市の北部の街ラビーアでの戦いではペシュメルガが優位に立っているようだ。ただそれには相当のペシュメルガ側の犠牲も、生じていると報告されている。


最近の戦闘状況を見ていると、断定はできないが、主な戦場はイラク・シリアの北部トルコに隣接する場所での、戦闘が多いようだ。そのトルコ国境には、やっとトルコ軍が戦車部隊を送り込んでいる。

トルコ軍が戦闘に参加するのは、トルコ議会の承認を得てからということではあろうが、IS(ISIL)
にとっては、相当不安な要素となっていよう。これまでトルコはIS(ISIL)にとって、影の支援国となっていたからだ。それが敵に回れば、IS(ISIL)
の戦いは相当厳しい戦いを、強いられることになるということであろう。

さて、現在の状況はどうなのであろうか。イラクの首都バグダッドでの爆弾テロ事件が発生しているが、これはIS(ISIL)
の犯行とは断定できないかもしれないし、イラクのカルバラで起こった爆弾事件も、同様ではないか。

そう考えると、いまIS(ISIL)が戦っているのは、トルコ国境に近い地域が、主なのではないか。そうであるとすれば、IS(ISIL)
はだいぶ追い込まれてきているのかもしれない。シリア軍やイラク軍、そしてクルドのペシュメルガ軍などは、最近になってアメリカ軍の支援を、あまり必要としないという雰囲気になってきている。

それは、これまで大きな衝撃を与えてきた、IS(ISIL)の宣伝効果に、穴が開いてきているということではないのか。アメリカ政府はIS(ISIL)
の戦闘員数を、少なく見積もっていたとして、現在31000人前後と発表したが、イギリスは10000人程度だとみているようだ。

アメリカはIS(ISIL)との戦闘が長期に及び、少なくとも3年はかかろうと言っているが、それはアメリカの都合ではないのか、と思えてならない。
IS(ISIL)の実態はそれほど強力なものとは思えないからだ。つまり、この組織はインターネットやツイッターで集めた、混成軍であり、正規の戦闘集団(軍隊)
ではないのだ。

しかも、IS(ISIL)のメンバーはそれぞれに思惑があり、リーダーのバグダーデイが唱えるような、イスラム国家創立を目指してはいまい。何やら
IS(ISIL)の実態は『幽霊に見えた、枯れ小花』のような感じがしてきたのだが、これは甘い判断であろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:18 | この記事のURL
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